映画レビュー0137 『アイ・アム・サム』

今日も早めに帰ってきたので、BS録画シリーズより。

アイ・アム・サム

I Am Sam
監督
ジェシー・ネルソン
脚本
クリスティン・ジョンソン
ジェシー・ネルソン
出演
ダコタ・ファニング
音楽
公開
2001年12月28日 アメリカ
上映時間
133分
製作国
アメリカ

アイ・アム・サム

知的障害者のサムに娘が産まれるが、母親は産んだ直後に姿を消す。サムは男手一人で彼女を育て、幸せに暮らしていたのだが、ある日「父親としての能力がない」と見なされ、彼女は施設に引き取られていく。

想像通りだけど、いいもんはイイ。

8.0

知的障害者の育児、というのは非常に重たいテーマで、実際どれだけの人がこういった難題に立ち向かっているのか…と、そんな現実に思いを馳せながらも、ある意味ではエンターテイメントらしい、「綺麗な物語」にすることで、暗い気持ちにならずに幸せに泣ける映画でした。そう言う意味では、少しリアリティに欠けた話ではあると思います。

思春期前とは言え、“周りと違う”父親を本当にここまで愛せる娘がいるのか、超多忙の弁護士が意地とタイミングで無償弁護なんて引き受けるのか。そんな疑問が無いわけではありません。

でも、いいじゃん?(軽)

ルーシー(娘)はルーシーで、映画に描かれていない長い長い時間、きっと父親から「何物にも代え難い」愛情を受け、彼女の中にも揺るぎない愛情を育てたんでしょう。

ビートルズのウンチクを言い合う場面でその辺が伺えますよね。サムはビートルズが好きで、ルーシーも同じく好きになってくれた。このビートルズの存在が、この親子の絆を強固にしたんでしょう。

かたやエリート弁護士のリタ。最初に会ったときも、ある意味では至ってフツーの人と同じリアクション。仕事柄無下に扱うことも出来ないし、かといって相手する暇も余裕もないわよ、といった感じ。

ところが無償で引き受けることになったのは、メンツやタイミングもそうですが、やはり「子供と一緒に暮らしてるけどうまくいってない」自分へのヒントのような何かを、サムの姿勢から感じ取れそうな予感があったから、ではないでしょうか。

ここではあくまで予感。でもその予感で彼女も変わった。

僕には、その“彼女の変化”というのがすごく良かった。

サムは良くも悪くも変わらないし、ルーシーも反抗する時が来るかと思いきやずっと父を思い続ける素敵な女の子。一番変わったのはリタなんですよね。

ありがちと言えばありがちですが、ずっと気を張ってがんばってきた女性が、自分の弱さを認めて、違ったがんばり方を見つける。そのプロセスがすごく自然で、素直に感動しました。

物語での知的障害者というのは、ある意味ステレオタイプな人物像が多くて、簡単に言えば「善人」であるケースがほとんどです。この映画もご多分に洩れず、そんな感じ。そういう意味では、“サム像”に関しては特に思うところもありません。想像通りの役でした。

が、周りへの影響、周りの人たちの良さで、やっぱり泣いちゃったね、っていう。

なんだか泣きたい気分だった(またか)ので、満足。

このシーンがイイ!

これねー、悩みましたねー。

夜な夜な抜け出すルーシーなんてすごくよかったけど、一番のシーンは「折り鶴部屋で自分をさらけ出すリタ」かなぁ。

ココが○

物語上、ビートルズがよく出てくるんですが、挿入歌もビートルズだらけ。その曲(歌詞)のチョイスがすごく良かった。僕はビートルズは詳しくないので、もしかしたら違う人の曲もあったかもしれませんが、いずれにせよ、歌の使い方がすごくうまかったです。

あとは役者陣。詳しくは後ほど。

ココが×

一つ残念だったのが、エンディングの唐突さ。

いや、話としては全然わかるんですが、なんとなく全体の流れ的に、もう少し丁寧にみんなの会話とか挟んでもいい映画だったんじゃないのかな、という気がしました。サラッと綺麗に終わりすぎというか、なんか最後にかっこつけちゃったような気がして。

MVA

さて、MVAですよ。良い映画は大体そうですが、やっぱり難しい。

まずサム役のショーン・ペン。これはもう、さすがとしか言いようがありません。本当に“それっぽい”。うまかった。

ショーン・ペンと言えば、僕の中では「カリートの道」のハゲジャンキー弁護士のイメージが強いわけですが、あれとはまったく違った役柄を完璧に演じる辺り、さすが演技派といった感じ。

次にルーシー役のダコタ・ファニング。「この子が噂に聞くあのダコタ・ファニングか!」と勝手に感激。

確かにこの子はすごい。見た目ちょっと子役時代の安達祐実っぽかったけどすごい。ただ、この子はすごくよかったんだけど、すごく大人びて見える時があって、そこで一気に物語感、作り物感が増しちゃった気はしました。そういう役柄なのも確かですが、セリフも表情も大人すぎて、「この子かわいいなぁ、かわいそうだなぁ」っていう役に対する目線よりも、「すげーな、大人だな。もう名女優の域だな」みたいに現実に戻される感じというか。そこが惜しい。いや、すごくよかったんだけど。

3人目の候補は、エリート弁護士リタ役のミシェル・ファイファー。

ちょっとくたびれたおばさんになりかけてる美人という感じ。キャラ的に少しサンドラ・ブロックとかぶってた気もしましたが、でもすごくよかった。強さと弱さ、両方をしっかり演じてて。

で、結果。

ミシェル・ファイファー(リタ・ハリソン・ウィリアムズ役)

役柄的に好きだった、っていうのもあるんですけどね。

やっぱりあの「私なんて完璧じゃない、いつもダメだと思ってる」っていう自分の弱さを泣きながらカミングアウトするシーンにやられました。すごく気持ちもわかったし、伝わってきたし。

少し下品なところでちょっとしたコメディリリーフ的な役割も担ってたし、上に書いたように劇中一番変わった人物でもあるので、その辺自然にうまく演じてたと思います。

後で調べたら、「スカーフェイス」の“女”だったんですね! 全然気付きませんでした…まああれは古いからしょうがないけど。(と自己弁護)

あの頃はちょっとキツめの美人でしたが、時を経てだいぶ歳は取ったものの“いい女度”は増してましたね。綺麗でした。

ちなみに「味のあるお隣さん、どっかで観た気がする」と思ってたらついこの前観た「チャンス!」のMVAだった、っていう。節穴にも程がありますが、さらに里親のお母さんもどっかで観たなーと思ってたら「パーフェクト ワールド」の女性学者でしたよ。へへん。

2日前に観たのに出てこない。“映画好き”が聞いて呆れます。

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