映画レビュー0839 『イル・ポスティーノ』

オススメ映画その3。これもタイトルすら知らない映画だったんですが、もうジャケットの雰囲気からしていかにも良さげだな感が漂ってましたね。

イル・ポスティーノ

Il Postino
監督
マイケル・ラドフォード
脚本
マイケル・ラドフォード
マッシモ・トロイージ
フリオ・スカルペッリ
アンナ・パヴィニャーノ
ジャコモ・スカルペッリ
出演
マッシモ・トロイージ
マリア・グラツィア・クチノッタ
リンダ・モレッティ
音楽
ルイス・エンリケス・バカロフ
公開
1994年9月22日 イタリア
上映時間
108分
製作国
イタリア・フランス・ベルギー
視聴環境
TSUTAYAレンタル(DVD・TV)

イル・ポスティーノ

イタリアの小さな島に住む内気な青年・マリオは、「届け先が1箇所だけ」の郵便配達の仕事に就く。その配達先とは、イタリアに亡命してきたチリの高名な詩人、パブロ・ネルーダの家だった。

淡々と静かに送る心の交流。

8.5
島にやってきた詩人と朴訥な青年の静かなやり取り
  • 少しずつ交流していく歳の離れた男二人の友情物語
  • 静かで少し退屈ながら、しみじみと味のある素敵な映画
  • いかにもイタリアらしい景観に癒やされる

借りといてなんですがこの日はちょっとスケジュールが押してまして、避けたかったんですがやむなく午後お昼ご飯を食べた後の鑑賞となってですね…わかってはいたんですがやっぱりひどく眠くなり…。申し訳ないんですが一旦止めて寝ました。久々にかなり眠かった…。

このタイミングで観る映画としてはあまりいいチョイスとは言えず、非常に静かで淡々としたいかにも眠気を誘う映画なんですよ。良し悪しは別として。なのでこの映画を観る時はぜひ眠くなりにくいタイミングを狙って観て頂きたいな、と思います。

主人公のマリオは漁師の父との二人暮らしっぽいんですが、父と同じ漁師の仕事を勧められつつもやりたくない、ということで字が読めることから郵便配達の仕事に就くことに。

小さな島だからか、彼の担当する仕事は一軒だけ。その配達先には、チリから亡命してきた名の知れた詩人、パブロ・ネルーダという人が暮らしています。ちなみに実在する人物です。

毎日彼の家に手紙を配達しては軽く言葉を交わすマリオですが、ある日“島一の美人”ベアトリーチェに恋をしてしまったことをパブロに相談します。

何せ島に似つかわしくないほどの超有名人、彼と友達だとアピールすればベアトリーチェも興味を持ってくれるに違いない…と思ったマリオは言ってみればパブロを利用しようとしたわけですが、相談していくうちに徐々に彼に感化され、自らも詩を詠んでベアトリーチェに捧げたりと少しずつ人間的に成長していきます。

果たしてマリオの恋の行方は、そしてパブロ・ネルーダとの関係はどうなるのか…あとはご覧くださいませ。

ということで眠くなっちゃったのでアレなんですが、実は一つ、鑑賞前に知っておいた方が絶対に良いだろうという情報を後から知りまして、それを知っていたらおそらくもう少ししっかり観たんじゃないかな、という気がするのでここでご紹介しておきましょう。

脚本にも名を連ねる主演のマッシモ・トロイージ。この映画では島の朴訥な青年・マリオ役を演じていますが、なんと彼はこの映画の撮影時に「すぐに手術しなければ危険な状態」の心臓病に侵されていたそうです。しかし「最高の作品を」と撮影を優先した結果、なんと撮影終了の12時間後に亡くなられたとのこと。

12時間後ですからね…半日ですよ。イメージ的には打ち上げの最中みたいなもんじゃないですか。なんとも壮絶な話です。

もちろん物語そのものについてはアレコレ語るのは避けますが、その話を聞いてから振り返るとですね…どのシーンもひどく意味深で価値のある映画に観えてくるのが不思議。

マリオは多くを語らず非常に素朴で、良くも悪くも素直な性格の青年(と言っても演じたマッシモ・トロイージは40代でしたが)なんですよね。文化の違いもあるでしょうが、割と現代日本では遠慮しそうなお願いも結構ズケズケと言っちゃうタイプだし。

ただそれは純粋さから来ているものだとわかるし、嫌味がないから言われた方も嫌な気持ちにならないような妙な魅力がある人物で。とても40代とは思えない純粋さとはにかむような表情も心に響きました。

で、その彼を演じている人が、撮影終了後半日で亡くなってるんですよ。

これはねー。あんまりオカルトめいたことは言いたくないですが、やっぱり本人は死が目前に迫っているのはわかっているはずなので、その上で「最後に最高の演技」を残すために全力を尽くした、その魂みたいなものが宿っているような気がするんですよ。この映画には。

よく言う線香花火の例えというわけでもないですが、最後の最後で大きい光を見せたい、その気力みたいなものがなんとも言えない味わいになって映画に残されているような気がするんです。完全に後付で思ったことですけどね。後に知ったんでね。でも「あ、言われてみれば」ってあるじゃない。人間さ。なんでもさ。

そういう経緯のある映画なので、(眠くはなったものの)ちょっと他とは違った特別な何かを感じる部分はありました。

はっきり言って話自体はそんなに目新しいわけでもないんですよ。すごく惹きつけられる面白さがあるわけでもないし。でも、そのマッシモ・トロイージのエピソードを知ってから一気にいろんな思いが自分の中に入ってきたような、他にない魅力を感じる映画ではあったと思います。

またね、イタリアの小さな島っていう舞台がね。それだけでなんかグッと来ちゃうよね、というのもあり。

加えてですね、実在する詩人パブロ・ネルーダを演じるのは名優フィリップ・ノワレという方で、彼はあの「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレード役でおなじみですよ奥さん。

この映画も「ニュー・シネマ・パラダイス」同様、歳の離れた男同士の友情がテーマでもあるし、ところどころ似ている面があるのでこれがまたちょっとたまらなかったりもしました。あの映画ほどの押し寄せる感動は無いものの、雰囲気も似ているし静かながら魅力的な“何か”があることは間違いありません。

ちょっと今回は寝ちゃったこともあったので、またしばらく経ってからきちんと向き合ってじっくりもう一度観たいなと思います。良い映画なのは間違いないでしょう。

このシーンがイイ!

マリオが録音するシーン。あのシーン本当に好き。すごく良かった。ついでに言えば手伝う郵便局長(?)もすごく良い。

ココが○

映画外の話は除くとすれば、やっぱり舞台となる島の良さというのは何物にも代えがたい魅力があったと思います。

さしたる産業もない貧しい島っぽかったですが、それでもこういうところで静かに暮らすのはやっぱり憧れる…。

のんびりと時間が過ぎそうなとても良い島で、だからこそパブロ・ネルーダのエピソードにも説得力が増したのかな、と。

ココが×

特に序盤は大きな波もなく本当に淡々としているので、そりゃご飯食べた後に観ちゃダメだよね、っていうのは我ながら思いました。

とても地味だし静かな映画なだけに、タイミングをよく考えて観るようにしましょう。

MVA

ということでもちろんフィリップ・ノワレもいいんですが、これはもう事実上の一択でしょうね…。

マッシモ・トロイージ(マリオ・ルオッポロ役)

背景の話は上記の通り。

演技についても、なんとも絶妙に素人っぽいと言うか…やっぱりスター俳優とはちょっと違った、生々しいリアル感が素晴らしかったですね。

文字通り命を削って演技をしていたのかと思うと…これがまた泣ける。

顛末としては不幸なことかもしれませんが、しかし映画としては他にない瞬間を閉じ込めているのも確かなわけで、それがこの映画にしか出せない色になって現れているんじゃないかな、と思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA