映画レビュー1624 『デス・リベンジ』

お盆休み特別企画「配信にないステイサムを観よう」その2。
世間的な評価は激低、今回借りた中でおそらく一番ヤバそうな作品です。
休み終盤に観ると休み終了のお知らせとダブルで落ち込んで生きて帰れそうにないので早めに消化することにしました。

デス・リベンジ

In the Name of the King: A Dungeon Siege Tale
監督

ウーヴェ・ボル

脚本

ダグ・テイラー

出演

ジェイソン・ステイサム
リーリー・ソビエスキー
レイ・リオッタ
ロン・パールマン
ジョン・リス=デイヴィス
クレア・フォーラニ
クリスタナ・ローケン
マシュー・リラード
ブライアン・J・ホワイト
ウィル・サンダーソン
ロン・セルモア
バート・レイノルズ

音楽

ヘニング・ローナー
ジェシカ・デ・ローイ

公開

2007年11月29日 ドイツ

上映時間

127分
157分(完全版)

製作国

ドイツ・カナダ・アメリカ

視聴環境

TSUTAYA DISCASレンタル(DVD)

デス・リベンジ

感情が動かざること山の如し。

4.5
なぜか(どこからどう見ても人間の)獣たちが大挙して人々を襲い始め、息子を失った農民が戦いへ身を投じる
  • 突如として獣たちが蜂起、家族を失った農民が戦いへ赴くファンタジー
  • マイクロソフトのゲーム「ダンジョン・シージ」の映画化作品
  • 監督はゲームファンからの支持が極めて低い稀代の迷監督、ウーヴェ・ボル
  • ファンタジーで見るステイサムはレアではあるが…

あらすじ

震えるぐらい評価が低い(IMDbは2026年8月時点で脅威の3.8)ので震えながら観ましたが、確かに面白くはないんですが思っていたほどひどすぎることもなく…逆にもっとやらかしてくれよという感じ。

妻と息子と平和に暮らしていた農民(ジェイソン・ステイサム)ですが、ある時クラッグと呼ばれる獣たち(ただしどこからどう見ても人間)が各地を襲い始め、やがて妻子が街に出ているタイミングで農民の自宅も襲われます。
一人奮闘して撃退、近くに住む友人のノーリック(ロン・パールマン)の家も襲撃されましたが協力して撃退。当然「妻と息子が危ない!」ということで二人が滞在している妻の実家(お盆っぽい)に向かい、襲われたり撃退したりしながらもなんやかんやあって妻は消息不明、義父母と息子はあえなくデッドしてしまいます。
しかし妻の死体は発見されていない、これは生きている…! ということで妻探しなのか敵倒しなのかわかりませんが旅に出ることにした農民は、ノーリックと義理の弟(妻の弟)であるバスティアン(ウィル・サンダーソン)と3人で出陣です。
一方お城では怪しげな男、ガリオン(レイ・リオッタ)が暗躍の気配…! ということであとはご覧くださいませ。

ポイントポイントはそこまでひどくないものの

原作はマイクロソフトの「ダンジョン・シージ」というゲームだそうですが、この映画を観るまで未プレイどころかタイトルすら知りませんでした。PCゲーっぽいですね。
元となるゲームがそうなんでしょう、どっぷりファンタジーなんですが…ステイサムはあまりにもいつも通りです。服装もちょっとボロいTシャツとズボンという出で立ちで2時間通します。もうちょっとファンタジーっぽい格好したらどうなのよ。
前回の七三分け「エクスタシー」から2年程度ですが、もうすっかり髪の毛はなくなっておなじみのスタイルです。時の流れ…!
ちなみに悪役のレイ・リオッタとは「リボルバー」以来の共演でしょうか。意外と接点があったんですねこの二人。

何と言っても今作の特徴というか特筆すべき点としては監督がウーヴェ・ボルである、という点でしょう。
一部では大変有名な監督で、「ゲーム原作映画を撮らせたら左に出るものはいない」と言われるほどの人物です。右じゃなくて左ですからね。しんがりです。要はこれ以上ひどい人選は無いぞと。
Wikipediaによると、彼はあの有名なWorld of Warcraft(通称WoW)を映画化しようとしたことがあったらしいんですが、メーカーであるブリザード(他にもオーバーウォッチやディアブロ等超ヒット作を持つメーカー)から「ウーヴェ・ボルにだけは絶対に権利を売らない」と頑なに拒否されたとか。
その割に今作を観てもわかる通り、キャストだけは妙に豪華でしっかりしたメンツが揃うのがかなり不思議なんですが、何らかのコネがあるのか、はたまたとんでもない金を積んでいるのか…。永遠の謎です。
そんな評判を知っていただけに、僕としても初ウーヴェ・ボルは大変覚悟を決めつつ「ひどすぎて笑えるぐらいだったりしないのかな…」と1割ぐらいは密かな期待も持っていたんですがそういったこともなく、「単純に面白くない」というネタにもならない結果で疲弊しました。
ただそうは言っても序盤は全然普通に観られたんですよね。「言うほどひどくなくない?」って感じで。ところどころ「このシーンいる?」みたいなシーンはありましたが、まあ程度の差こそあれどの映画でもそんなようなことは珍しくないし、なんでここまで酷評されてるんだろ…と逆に大丈夫じゃないかと楽観視するぐらいで。ちょっとレイ・リオッタの遠隔操作的なシーンは安っぽいけどまあそこも時代的にしょうがないし、と。
ただ…中盤始まったぐらいですかね、双方(王国軍 vs 獣軍)の総力点的な森の中での白兵戦が出てくるんですが、そこがもうやたらと長いんですよ。すんごい長くて。
当然のように飽きてきてしまい、その後はもうノンストップで時計を見まくる鑑賞に突入しました。とにかく時の流れが遅く感じる作り。休みなのにまだ時間が経ってないんだけど、というお得かもしれない謎の時間。
アクションはいまいち微妙に感じたんですが世間的にそこの評価は特に低くもないようなので、多分原因はソコジャナイ。
なんでしょうね…ポイントポイントで見るとそこまで悪くはないものの、すべてをつなぐとまったく面白くない、みたいな作りなんですよね。平坦で。
感情移入できるようなポイントも無いし、ヘイトを集める悪役が懲らしめられるような場面も無いし。
ちょっと語弊があるかもしれませんが、「特異性を失ったサタンタンゴ」なのかもしれません。
あの映画のように「長いことに意味がある」わけではなく、そんなに長いシーンばかりというわけでもないのにどれにもさして描く意味が感じられず、ずっと無のまま観ていて終わっていく感じというか。
個人的にこの手のファンタジー自体がそこまで好きではないので、最初はそのせいであんまりピンとこないのもあるかも…と思っていたんですが、多分それ以前の問題なんでしょう。逆にここまで観客に感情の波を起こさせない作りもすごい気がして、なんなら職人技かもしれません。それぐらいまったく響きませんでした。
せめて「なんだよこれ!💢」と怒りたくなるような作りならまだ言いたいことも出てくるんですが、面白くない演劇ではあるものの出ている人たちは割としっかりした人たちなので演技的にそんなに不満が出てくることもないし、なんならレイ・リオッタなんてこんなしょうもない役をやらされて営業妨害じゃないか、と気の毒になってくるぐらいで…ひたすら物語への興味が失われていく2時間、と。
繰り返しになりますが、僕としては「逆に面白いのでは」と期待していた面もあったものの出てきたものが味がしなさすぎて無になってしまい、「なるほどつまらないとはこういうもののことを言うのだな」と成瀬あかりのようなセリフを吐きつつ勉強になりました、みたいな。
衣装がショボいとかはあれど、映像的にはそこまでひどくないんですよ。だから「悪くないのかも」と騙されるんですが話がまったくグッと来ないので逆にタチが悪いというか。
となると脚本のせいでは? という気もするんですが…まあ事前にあまりにも悪評を聞いていたので「まだマシ」と思っただけで、監督もひどいのは確かでしょう…。
ズバッと「ここがクソだ!」と言えるぐらい僕に知識と言語能力が備わっていればいいんですが、残念ながら能力が低いのでそういったこともできず、「つゆのない釜揚げうどんが出てきたような感じ」とおなじみのうどん例えぐらいしかできません。
ただ決着の付け方もしょっぱかったので塩っ気だけはありました。みたいなね。

ステイサム的にも微妙

最後に肝心のステイサムについてですが、彼は彼でもちろんいつも通り「できることを全力で」頑張っていたと思います。
ですが特段ファンタジー感もなく、序盤に使っていたブーメランも後半役立つこともなくアレなんだったんだ感が漂っていたし、最初に書いた通り服装もずっとボロのままだしでまあなんというか…微妙でした。
一応「剣を使ったアクション」はステイサム的にはレアだと思いますが、あんまりそういう側面を強調してもいないのでその楽しみも無かったんですよね。もっと剣技を上手く見せるようなアクションシーンにしてくれればよかったのに…。
途中で彼の立場にも結構な変化が訪れるんですが、そこでもまったくキャラも見た目も変わらないので「いやもうちょっと欲出して見せ方ぐらい変えろよ」と思いました。せめて衣装だけでもさ…。
あとどうでもいいんですが彼の呼び名がずっと仕事から来る「ファーマー(農民)」なんですよね。それはまあ百歩譲ってゲーム原作故のなにかもあったりするのかもしれないし良いとしても、妻が助けに来た夫に対して「ファーマー!」って呼ぶのおかしくないですかね!?
「来てくれたんだ店長!」みたいな。バイトかよ。
ちなみにこのあと続編が2本作られていますが、ステイサムは出ていないので観ません。決定事項です。

このシーンがイイ!

うーん…良かったシーン、ないなぁ。ないなぁ!

ココが○

これもないかもしれない…。強いて言えばキャストの皆さんは頑張っていたのではないかと…。

ココが×

書いていない点としてはやっぱり邦題ですよ。なに「デス・リベンジ」って。全然イメージ違うし。
雑につけた感がすごいんですよね。気持ちはわかるけど「こんな映画雑につけていいでしょ」はさすがに名前をつける側としては許されないやり方だと思うので、どうせなら原題直訳とかにしてほしかったですね。「ダンジョン・シージ物語」ぐらいでもさ。
明らかにステイサムに乗っかって売りさばいてやろうみたいな雑邦題なのでここは軽く怒りを覚えました。

MVA

ロン・パールマンの善人役ってなかなかレアな気がしてそこはちょっと良かったと思いつつ、例によってどうでもいい映画は誰でもいいんですが、この人かな〜。

マシュー・リラード(ファロウ役)

王の甥。ポジションのおかげで偉そうに振る舞う定番のクソ野郎で様々な元凶でもあります。
この人の腹立たしさは唯一こちらの感情をしっかり揺さぶってくれてとても良い演技だったと思います。
ただその顛末がまた消化不良だったのがこの映画の低評価の一因にもなるわけですが…。
せっかくいい悪役を作ったんだったらちゃんとザマァさせてくれないとねぇ…。困ったもんです。

それと余談ですが、1シーンだけ出てきたミュリエラ(魔術師の娘)の侍女の女優さんがめちゃくちゃ美人でびっくりしました。モデルさんらしいんですが。
あの人もっと見たかったなぁ。

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