映画レビュー0554 『インヒアレント・ヴァイス』

イカした予告編に惚れて「これは面白そうだ!」と借りてきたわけですが、ただなんとなく嫌な予感というか、外しちゃってるんじゃないかという恐怖もありつつ…。

インヒアレント・ヴァイス

Inherent Vice
監督
ポール・トーマス・アンダーソン
脚本
ポール・トーマス・アンダーソン
音楽
ジョニー・グリーンウッド
公開
2014年12月12日 アメリカ
上映時間
149分
製作国
アメリカ

インヒアレント・ヴァイス

マリファナ中毒の私立探偵であるヒッピーのドックの元に元恋人のシャスタが現れ、今付き合っている不動産業界の大物ミッキーを救って欲しいと頼んできた。彼の妻とその愛人が、莫大な資産を持つ彼を精神病院に入れようと計画しているらしい。見たことのない表情で懇願する彼女のために捜査を開始したドックだったが、次第にいろんな事件や人たちがつながり始め…。

完全なる雰囲気映画。

6.0

一風変わった緩めのサスペンス…かと思いきや、まったく特殊なヒッピードラマでした。

これねー、好きな人はたまらない世界だと思うんですよ。前回と似た感想で申し訳ないんですが。ただ、僕はサスペンスを期待して借りたので、次々と推理も関係なく繋がり続ける事件と、それ誰だよ的な固有名詞の応酬にすっかり参ってしまい、序盤は一時中断して昼寝までする始末。目覚めてからはそれなりにしっかり観たものの、やっぱり最終的にはイマイチ好きになれないままでした。

登場人物とその彼らを取り巻く事件は次々とつながって行きはするんですが、ただそれも観客の理解を助けつつというよりかは、捜査のつもりで巻き込まれている“巻き込まれ型主人公”をコロコロ転がすための装置にしか過ぎない印象で、サスペンス的な真相を予想する楽しみのようなものは皆無です。途中までは「実はこいつが…!」みたいに思って観ていたんですが割とそれはすぐに裏切られ、違う人が出てきては「こいつが…!」みたいなのが結構続くので、もうなんか真面目に筋を追うのがバカらしくなるようなストーリーでした。

ただ、それがよくない、ってわけでもないんですよ。

かなり独特な、ヒッピー含めた70年代っぽい時代背景をしっかり映像化していて、ヤク中の探偵がフラつきながら事件を追っていく様はなかなか珍しく、面白くもありました。

結局、これはサスペンスとして観ようとした自分が失敗で、実際は感動のない、ややコメディの入ったヒューマンドラマなのかな、という気もします。これがイギリス映画だったらヨダレもんなんですが、アメリカ文化に乗るとこうなるのかな、という。

ヒッピー文化が好きだったり、同じくヤク中の人なんかはよくわかって面白いんじゃないですかね。(暴言)

個人的には、散漫に感じる登場人物の多さとご都合主義的な展開は受け入れられませんでした。そんなわけで、こりゃ雰囲気映画かな、と。

素直に筋を追っていくと損をすると思います。ただ、それなりに面白くもあります。でも、それをするには長過ぎます。

大昔、当時の上司に「マグノリア」を勧められて観て、まったく意味がわからなくて酷評したことがあるんですが、ああ、あのマグノリアの監督か、と思うとなんとなく納得できる部分もあり、僕にはあまりポール・トーマス・アンダーソン監督の作品は合わないのかもしれません。「ザ・マスター」は観ておきたいと思ってはいますが…。

とにかくとても人を選ぶ映画であることは間違いないのと、サスペンスとしては観ないようにした方がいいよ、というアドバイスだけは書いておきましょう。インヒアレント・ヴァイス的に言うなら、アドヴァイスを…!

このシーンがイイ!

シャスタがビバリーヒルズでのランチの話をする一連のシーンはすごく良かったです。とても複雑で、また妖艶でもあり、男としてはなかなかキツいシーンだな、と…。

ココが○

キャスティングが非常に曲者揃いでですね。これが良かったな、と。

ココが×

サスペンス的に思わせぶりでそうでもないストーリー。原作小説だとまたちょっと違うのかもしれませんが、映画としては正直微妙。

MVA

天敵であり仲間でもあるホアキン・フェニックスとジョシュ・ブローリンのコンビはとても素晴らしかったんですが、この映画はこの人の印象が強かったですね。

キャサリン・ウォーターストン(シャスタ・フェイ・ヘップワース役)

ドックの元カノ。

かわいいけど憂いがあったり、堕ちた感じの表情だったり、とにかく表情が良かった。あとちょっとエロかった。

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