映画レビュー0044 『インソムニア』

[2017年追記]

今思えば、この映画は唯一ノーランが監督しかやっていない映画ということでかなり異色な映画ですよね。

それ故かはわかりませんが、現時点ではノーラン監督作品で最もイマイチな映画だった気がします。

脚本から携わってこそ、の監督なんでしょうか。ご本人の中でのこの映画の位置付けも気になるところです。

アル・パチーノとかヒラリー・スワンクをその後使っていない、っていうのも興味深いですね。もちろん作る映画に対してイメージ的に使いづらい、というのもあるんでしょうが。

インソムニア

Insomnia
監督
脚本
ヒラリー・セイツ
出演
音楽
公開
2002年5月24日 アメリカ
上映時間
118分
製作国
アメリカ
視聴環境
TSUTAYA DISCASレンタル(DVD・TV)

インソムニア

アラスカで起こった殺人事件の応援にやってきたロスの刑事が、同僚を射殺してしまい…。

スティーブン・キングっぽい。

6.0

割と評価は低いようですが、僕はそこそこ楽しめました。楽しめたというか…「どういう落とし前をつけるのかな」という意味で集中して観られました。

ただ、そういう意味では結末には納得してません。

でも割と心の内面の変化を描いている部分も多かったので、きっちり登場人物の心情を読もうとすれば、それなりに納得の出来る展開だったとは思います。

なんせ「天才」クリストファー・ノーラン監督なので、どういった見せ方をしてくれるのかな、と期待していましたが、ノルウェー映画が原作だったこともあってかその「ノーランらしさ」は見られず、そういった意味ではわかりやすい内容でした。

全体的には、アラスカの幻想的な風景と、終始暗い世界描写といったところから、スティーブン・キング原作の「黙秘」に似た印象。

内容的には全然違いますが…。

サスペンスではあるものの、犯人や犯行に重きを置いたサスペンスではなく、あくまで起こった出来事を取り巻く周辺人物の人間性を描いたものなので、事件に対するアプローチという面では不満が残りますが、人と人との絡み合い、心情の変化という面ではそんなに悪くなかったんじゃないかな、と思います。

それだけに、結末はちょっと安易だったかなぁ、というのが残念。

それにしても、個人的には(年代としては逆ですが)「ミリオンダラー・ベイビー」以来2回目の鑑賞となったヒラリー・スワンクですが、こんなに美人だったのかとビックリ。

28歳ぐらいだったようですが、新人刑事っぽさがアリアリと出ていたし、暗い世界のヒロインとして十分魅力的でした。うーん、役者ですねこの人。

ココが○

とにかく暗いし不気味なんですよね。世界が。笑えるシーンなんてほとんどありません。むしろそこがよかった。その不気味さで人間の精神性を表現してる…と言ったら言い過ぎなのかなぁ。

ココが×

やっぱり結末かなぁ。この手の話はどうしても結末に左右されるので…。

楽な方に逃げちゃうとどうしてもイマイチ感が残っちゃいますね。ただ、全体を通して観たら「損した!」って感じは無かったです。

MVA

そんなわけでヒラリー・スワンクは綺麗でしたが、どうしても「事件を通して成長する新人刑事」っていうステレオタイプな刑事像から抜け出せない感もあり、そうするとやっぱりこの人

アル・パチーノ(ウィル・ドーマー役)

かなぁ、と思います。

不眠症に苦しむ刑事なわけですが、とにかくだんだん憔悴していく様がさすがの演技。

スカーフェイス」のようなクスリに溺れて人が変わっていく演技もそうですが、とにかく人が変わっていく姿を演じさせたらさすがですね。

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