映画レビュー0416『イントゥ・ザ・ワイルド』

さて、今年の通常営業一発目は、まさかのロードムービー企画続編でございますことよ! 別のTSUTAYAに行ったら借りたい映画がまだあったので借りましたよっと第5弾。

この映画もタイトルはかなり有名だと思いますが、どうもタイトルの印象的にイマイチ惹かれずにいたところ、今回再度のロードムービー企画ということでめでたく初鑑賞となりました。

イントゥ・ザ・ワイルド

Into the Wild
監督
脚本
ショーン・ペン
音楽
カーキ・キング
エディ・ヴェダー
公開
2007年9月21日 アメリカ
上映時間
148分
製作国
アメリカ

イントゥ・ザ・ワイルド

裕福な家庭に育ち、優秀な成績で大学を卒業したクリストファー。将来の成功も約束されていたように見えた彼だが、喧嘩が絶えず、物を買い与えることばかりに熱心な両親に嫌気が差し、ある日突如黙って家を出て、アラスカの奥地へ一人旅立つ。

どこを切っても名作でしょう。

9.0

実話ベースの旅&サバイバル映画。

いわゆる「ロードムービー」100%な感じでもなく、「一人大自然の中で生きていく」ことを目標にした青年だけに、狩猟をしたり日記をつけたりという一人のシーンも割と多く、また実話ベースなだけにほんのりドキュメンタリーっぽさもあり。

広大なアラスカの風景だったり、どこか郷愁を誘う劇伴だったり、もう全体的な雰囲気からしていろいろと思いを馳せざるを得ない、自分の人生や生き様を問われるような映画でしたね…。

ただそれも押し付けがましく「お前はどうなんだ!」と問いかけるわけではなく、一人自然の中で生きていくことを決意した人間の日々を見せることで、鑑賞している人が自分の価値観と照らし合わせるような見方になる映画でしょう。

僕も実際、観ている最中はいろいろあーだこーだ考えていて、またも説明臭いレビューをウダウダ書こうかと思ったんですが、なんというかそういう勝負をするには相手が壮大過ぎて、気楽に「これはこうだよね、こういう方が正しいよね」みたいに簡単に言えない、自分が相手にするには“でかすぎる”映画だなぁとしみじみと思いました。

主人公はお金も持たず、大した食料も用意せず、現地調達で生きていくというサバイバル生活を志向していて、まさに今の自分の生き方とは正反対のものなわけですが、これがまたやっぱりいろいろ考えさせられるわけです。

途中でヒッピーの人たちとの出会いも結構重要なエピソードとして出てきますが、彼らも含めた生き方、価値観というのはやっぱり考えさせられるものがあって、一概にどっちが良いとは言えない、どっちも理解できる部分にすごく悩ましい、映画としては素晴らしいテーマ性があったように思います。

映画の構造としては時間軸の入れ替わりがあったりしてやや「これとこれはどっちが先でどっちが後なのか」わかりづらいような面もありましたが、反面そういう構成にしたせいかテンポもよく、若干長めの上映時間の割に飽きずにしっかり観られると思います。

また、内容は出て行った側である彼自身の回想と、出て行かれた側である彼の妹の回想の両方が挟まってくるんですが、その両面から語る方法のおかげで彼の価値観が立体的に語られている感じで、より理解しやすい作りはうまかったですね。

おそらく映画が好きな人なら、「ああ、この映画絶対いい映画だわ」って気付かされる空気感みたいなのってわかると思うんですが、この映画はまさにそういう雰囲気がほとばしっていて、何でもないシーンでもすごく見せ方がうまいし、質的に名作感漂う「外さない感」みたいなのは感じると思います。それぐらい、なんというか一段上の、気合の入った映画であることは嫌でもわかるような映画でした。

あとはもうアレコレ語るよりも観ていただくしか無いんですが、ロードムービーらしい出会いと別れも申し分ないし、またその登場人物たちもエピソードも素晴らしいし、もう後半はなんでもないシーンでもウルウル来てました。こりゃー問答無用でいい映画ですよ。間違いなく。

自分の人生や価値観を振り返るには絶好のテーマだし、超ベタですが僕自身も年初にこの映画を観たことでちょっと今年はどこかあてもなく旅に出るべきだな、と意を決した次第です。未鑑賞の方はぜひ。

ちなみにロードムービー企画はもう一本残っていますが、それも含めた今回の企画6本中、ほぼ間違いなくこの映画がナンバー1でしょう。しかもダントツで。

久々に「質感からして名作」と感じられる映画が観られて幸せでした。

このシーンがイイ!

アラスカの大自然がズルいぐらい美しくてもう名場面だらけだったんですが、一つ挙げるなら爺さんと登った頂上のシーン。

押し付けがましさはまったくなく、さらりと見せてくれるシーンですが、やっぱちょっとウルっと来ちゃいましたね。

ココが○

綺麗な風景と完璧なチョイスの劇伴、そしてロードムービーらしい出会いと別れのエピソード、さらに現代社会と比較した価値観の提示、とどこを切っても申し分のない作り。

これをバッサリぶった切れちゃう人は、ちょっと映画の見方がひねくれてるんじゃないかな…と思うぐらい、隙のない作りだと思いますね。

ココが×

一つ思ったのは、「やや綺麗に描きすぎ」かな、と。主人公の彼が完璧過ぎるんですよね。

もう本当にまぶしすぎて、こんなクソ野郎がダラダラと生きていてごめんなさい、と新年早々謝りたくなるような非の打ち所がない人物なんですが、ただ(ネタバレ的に書けませんが)実際のところは人間的に甘い面もあったように思うし、あまり神格化させちゃうような作り方も良くないのかなぁと漠然と思ったりもしました。まあこれは強いて言えばってやつなので、やっぱりほぼ完璧な映画だとは思います。

あとはサバイバルを描くという性質上、少しだけグロいというか、動物を仕留めてさばく様子が結構しっかり出てくるので、その辺が苦手な人は少し覚悟しておいたほうがいいかもしれません。ただこれも、自然の中での動物同士の営みという側面が強いので、不思議と見た目ほどの生々しさは感じなかったですね。生きるためには仕方がないし、シーンそのものが生に直結しているために崇高なシーンですらあったように思います。

むしろ「フード・インク」なんかに出てきた自動的にさばかれる動物たちのほうがよほどグロいし、心情的には辛かったな。

MVA

鑑賞後に“あの”ザック・ガリフィアナキスが出てたことを知ってびっくり。確認のためにもう一度登場シーンを観たら至って普通の登場人物で二度びっくり。

アカデミー助演男優賞にノミネートされた、爺さん役のハル・ホルブルックも実際すごく良かったですが、やっぱりこの映画は…

エミール・ハーシュ(クリストファー・マッキャンドレス役)

の映画でしょうねぇ。

ウェイト調整とかもすごく大変そうですが…本人としか思えないほど、すべてのシーンが自然で文句なし。写真を観たらやっぱりご本人にも少し似ていた、というのもポイント。まあでも撮影は大変だったでしょうねぇ…。

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