映画レビュー0370 『アイアンマン3』

はい、当然のごとく行ってまいりましたよ。

くどいようですが3Dでは観たくなかったものの、他でやってないのでやむなくIMAX3Dにて鑑賞。IMAX2Dがベストなんですけどねぇ…。

アイアンマン3

Iron Man 3
アベンジャーズの戦いの後、パニック障害と不眠症に悩まされるトニー・スターク。新たなアーマーの開発に没頭している最中、アメリカでは“マンダリン”と名乗るテロリストによる無差別テロが繰り返され、その現場に居合わせていた元運転手で現スターク・インダストリーズの警備主任、ハッピー・ホーガンは意識不明の重体になってしまう。友人が巻き込まれたことから怒りの宣戦布告を表明したトニーだったが、直後に自宅を襲撃され…。

サスペンスフルなストーリーが面白い反面、2までの軽さは半減。

7.5

〈レビューの最後には本編とは関係のない3Dに対する不平不満をぶちまけるよ! 読んでね!〉

世間的にはかなり好評で、実際面白かったんですが、僕としてはちょーっと不満の残る内容でした。順を追ってご説明。

まずストーリーは今流行りの「テロとの戦い」をヒーローモノに絡めて描きつつ、そこだけでは終わらない人物相関が娯楽映画らしからぬ奥深さを感じさせる反面、今までのアイアンマンシリーズ特有の軽さ、少年的わかりやすさとは距離を置いた感じで、だいぶ「大人向け娯楽大作」としての色合いを濃くしているように見えました。12は大人も子供も楽しめる、3は子供はちょっと難しいかも、というか。「最後の方なんて子供理解できねーよ!」でおなじみのハリー・ポッターシリーズ的な雰囲気とでも言いましょうか。

思うにこれは、ストーリーそのものはもちろんそうなんですが、やっぱりトニーとペッパーがくっついちゃったことが大きいと思うんですよね。

1と2までの、お互い意識してるけど張り合う感じのコミカルさが無くなっちゃって、トニーは完全に「ペッパーを守るモード」だし、ペッパーはデレ子さんになっちゃってるしで、この二人の関係性が“(若干のやり合いはあるものの)ただの恋人同士”になっちゃってたのが前2作のコンビネーションが好きだった僕としては結構不満でした。

その上トニーはパニック障害と不眠症のおかげで弱さを抱えて不安感を煽るし、敵はテロリストなのでリアル路線に寄っていっているのであまり気楽に観られる感じじゃない。

軽い笑いはたまに挟まるんですが、その頻度は明らかに減っているし、おそらくコレはダークナイトシリーズの影響も多分に受けているのではないのかなと。ただ、序盤よりも終盤の方が笑いのネタを盛り込んでいるという逆キン肉マン現象的な流れはちょっと新鮮でもありました。おそらくはそこで、「アイアンマン復活」的な印象を植え付けたかったのかもしれないですね。

また、序盤は背景が見えていないせいかかなり複雑な物語っぽく見える感じになっていて、やっぱりこの辺も少し「お子様お断り」な感じがあるな、と。終盤に向けて背景が明かされていくことで、「ああ、こりゃやっぱりヒーローモノだね」という内容に落ち着いていくんですが、そこに至る仕掛けがなかなかシリアスでリアルなので、面白いんですがやっぱり過去2作とは少しカラーが違う印象。

どっちが好きか、という好みの問題ではありますが、「アイアンマンらしさ」に関しては薄まったように思います。

もう一点、今回のアイアンマンは「遠隔操作」がキーになっているんですが、これが結構「それできるならなんでもアリじゃん」的な内容になっちゃっているので、まあ今までもそういう面はあったものの、よりなんでもアリ感が強くなっている面もある気がします。その辺はヒーローモノだしあんまり目くじら立てる必要も無いんですが、ややストーリーがリアルに寄っていってる分、その辺りがちょっと目立つんじゃないかと思うんですよね。

大統領のモデルが明らかにブッシュっぽかったりとか、テロリストのバックボーンもありそうなストーリーに仕立てている分、ヒーローモノ的爽快感とはやはり離れて行かざるを得ないので、「何も考えないで楽しめる!」スタイルの頂点を目指した過去2作とは違う路線だなとわかるわけですが、そうなると「なんでもアリ」もまたちょっと違うんじゃないかなーと。

この辺りのバランス感覚みたいなものはやっぱりダークナイトシリーズには勝てないわけで、厳しいことを言えば、そこに監督他スタッフの力量の差が出たように感じました。

まあ、いろいろ「過去作との違い」から突っ込んでみましたが、でも単純に「映画として」観ればやっぱり面白かったです。「アイアンマンシリーズ」としてここまで複雑にするのは違うんじゃないかな、と思いつつ、でも過去2作とは違う作りにしたことでマンネリを防いでいるとも言えるし、新たな路線にチャレンジしてこれだけの内容にまとめあげたのは素直に称賛。

結論としては相変わらず「1」が一番好きですが、シリーズモノの3作目としてこれだけのものを作ったのはスバラシイ。「3作目は外れる」という定説は過去のものかもしれませんね。

〈本編とは無関係の3Dについてのお話〉

さて、この映画、作品としては7.5点ですが、3Dとして評価するなら2.0点がいいとこ。というかカンペキに「3Dにする意味が無い」内容でした。

もうウンザリするほど書いている気がするのでウンザリするんですが(そのまま)、相変わらず3Dと言っても大して浮き出ないで暗いだけだし、浮いたところでそこまで3Dにして表現が増すアクションでもないし。

間違いなく後工程での3D処理だと思いますが、やっぱり全体的にのっぺりとしていて、割増分の価値があるかと言われればそれはもう100%ノーと言えます。「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス〈3D〉」と同じぐらい、意味のない3Dでした。

ご存知の通り3Dは割増料金なので、当然劇場としては入れば入るほど美味しいわけです。普通の映画を上映するよりも儲かる、と。

ただ、詳細はまったく知りませんが、おそらくは劇場が純粋に儲かるだけではなくて、配給会社や制作会社も割増で取っていると推測すると、当然「売り手としては3Dで売りたい」わけですよね。となると、この映画レベルの大作なら、劇場側はほぼ「3D一択」が現実的だと思いますが、僕のように「3Dじゃなくて2Dで観たいけどやってないからやむなく3Dで観る」って人も多いと思うんですよ。

厳密に言えば今日観に行った劇場では2D上映もやっていたんですが、1日2回上映で時間も選びにくくかつスクリーンも最小なので、厳しいことを言えば「映画館までわざわざ行く価値がない」環境。

やっぱりアクション映画だし大きい画面と良い音響で観たいと思うのは自然の流れで、どっちがいいかを悩んだ結果、IMAX3Dを選んでまた後悔する、と。もうね、上映前のIMAXご紹介ムービーが3D的に一番迫力がある、っておかしいでしょ。

話を戻しますが、僕のように「2Dで観たいけどやむなく3Dで観る」人は多分にライトではない本当の映画ファンが多いと思うので、ここを大事にしないやり方は長いスパンで見ると損するんじゃないかな、と思うわけです。

で、ですね。

ここが重要なんですが、僕が思うに、おそらく監督さんはそういうお客さんを大事にしたいと思っているんじゃないかなと思うんです。よほど勘の鈍い人でない限り、今の3Dの質の悪さには気付いているだろうし、逆に言えばこれだけの大作を任されるような監督さんなら、3Dを避けたい…とまでは言わなくても、3Dによる付加価値と映画ファンの感情を天秤にかければ、3Dをチョイスする人はほとんどいないと思うんですよね。

でも、それができない。おそらくは、当たり前ですが“お金を出す側”に力があるのと、そこまで反対するほどの哲学を持ち合わせていないというところでしょう。

つまりは「3Dによる付加価値と映画ファンの感情」ではなくて、「3Dに反対していいものを作りたい願望と職を失ってしまうリスク」の天秤なのかな、と。

それにそもそも、ライトな映画ファンなら3D肯定派も多いだろうし、あえて数の少ない「本当の映画ファン」を選択するメリットが、少なくとも(短期的に)金銭的には無いというのもあります。

これは当たり前のようですが結構根深い問題で、この問題がある限り、永遠に「無駄な設備への割増料金を払わされる続ける映画ファン」であり続けなければいけない可能性があるのかな、と。

同時に、映画は「ただいいものを作りたい」という監督の、ある種狂気じみた才能が育ててきたと思うので、そこを摘む制作の流れができてしまうのはものすごく危険で、作る側・観る側双方でこんなことをやらされていたら映画産業のさらなる衰退は明らかだと思うし、このまま3Dを押し付けられる状況は非常にまずいな、と今日は怒りの先に危機感を覚えました。

反面、その流れに抗って哲学として「3Dには反対だ」と言いつつ大作を任せてもらえるだけの信頼を得ている、クリストファー・ノーランのような監督はものすごく価値があるな、とも思いました。

ハッキリと3Dには価値がないと言える自信と、「彼が言うなら」と説得できるだけの力量を兼ね備えている監督はノーラン以外にほとんどいないと思いますが、もっと増えて欲しいなと切に願います。

そんな諸々を考えて、今度こそもう、絶対に3Dの場合は劇場に行かないと決めました。映画ファンの哲学として。

まったく影響がないのはわかってますが、「3Dは客が入って儲かる」と思わせたくないので、ひっそりと一人だけの不買運動をしてやろうかな、と思います。

ただ、予告編で観たことしかありませんが、3Dカメラでの撮影の映画はなかなか迫力がありそうだったので、事前に「3Dカメラでの撮影」というのがハッキリしている映画のみ、もう一度だけ試してみようかなと思います。あとはノーランが「これなら3Dで作りたい」って言うまでは絶対に3Dで観ません。

以上、長々と失礼しました。まあ俺のブログだしいいじゃん。(軽)

このシーンがイイ!

本編の話に戻りますが、良かったシーン。

アレかな。「ポテトガン2」。「ヒーロー映画です」とアピールするいいシーン。

あとラスト近くのいい場面で、まさかのロバート・ダウニー・Jrご本人の自虐ギャグも◎。

ココが○

今回、子役の使い方が良かったですね。小さな味方。あとは敵の強さ、アーマーとの相性も難敵感がよく出てたかなと。

もう一点、やっぱりCG関係はすごい。エンドロールのスタッフの多さにたまげましたが、それだけ人も時間もお金もかかってるということでしょう。あの「人とCGのアクションの融合」は本当にすごいです。

一昔前なら絶対に違和感が残る絡み具合ですが、今の技術だからこそ実現したアクション映画という意味で、すばらしい。

ココが×

絶対ジャービスの声変わっただろ、なんで変えたんだよと違和感たっぷりだったんですが、調べてみると変わっていないという。ついに節耳にもなりました。でもなー。エフェクト違いなのかわかりませんが、全然違う気がしたんだよなぁ…。過去2作のもっと落ち着いてる感じが良かったと思ったんですが、気のせいでしょうか。

そんな勘違い以外は特に不満もなく。上に書いた通り、過去2作との比較ではいろいろありますが、その他はよくまとまってると思います。

MVA

俳優陣は結構な豪華キャストだし、どの人もなかなか味があって良かったですねぇ。

前作では「1」のテレンス・ハワードと比べてあまり良くなかったドン・チードルも、彼らしいコメディリリーフ的なシーンも増えて活かされていたのが良かった。その他も、似た人をキャスティングしたのかと思ったぐらい太りすぎていた(ように見えた)前任監督兼ハッピー役のジョン・ファヴローを除けば、当然のごとくキャストはみんな良かったんですが、今回は多分に個人的感情を入れつつ、コチラの方に。

ガイ・ピアース(アルドリッチ・キリアン役)

思えば「L.A.コンフィデンシャル」「メメント」以来、久しぶりにフルで出ている彼を観た気がします。

オープニングであっけなく爆死した「ハート・ロッカー」を思い出し、今回もアッサリ爆死撤退するんじゃないか…という不安も覚えつつ、しっかり完走。なかなかいい悪役っぷりだったと思うんですよね。程よい色男っぷりもあって。まあ、応援的な意味合いも強いんですが。

あとは懐かしの「24シーズン3」のチェイスを久々に観たのも嬉しかった。彼もすごく良かったですね。

なんせこのシリーズはロバート・ダウニー・Jrとグウィネス・パルトローがすばらしいので、その二人に対峙する悪役の力量がかなり必要とされるシリーズだと思いますが、1のジェフ・ブリッジス、2のミッキー・ローク&サム・ロックウェル、そして今回の上二人とベン・キングズレー(この人も最高)と、みーんな力を出しきった素晴らしさがあって大満足。

やっぱり悪役の良さって大事ですね。ヒーローモノは特に。

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