映画レビュー0991『アルゴ探検隊の大冒険』
今日もネトフリ終了間際シリーズなんですが、珍しくかなり古い映画でむしろBSでやってそうな感じがグッときてチョイスしました。
アルゴ探検隊の大冒険
ドン・チャフィ
ジャン・リード
トッド・アームストロング
ナンシー・コバック
ゲイリー・レイモンド
ローレンス・ナイスミス
ナイアル・マクギニス
マイケル・グウィン
ダグラス・ウィルマー
ジャック・グウィリム
オナー・ブラックマン
ナイジェル・グリーン
ジョン・カーニー
パトリック・トラウトン
1963年8月15日 イギリス
104分
イギリス
Netflix(PS4・TV)

今となっては安っぽい、でもそこに味があってスゴイ。
- 神話の世界なので普通に神と会話したりする冒険映画
- 映像的には今となってはアラが目立つものの、今にない味もある
- 絵本を映像にしたかのような独特の世界観
- 話自体はちょっとゆるいような気も
あらすじ
最近はネトフリもこういう古い映画を少しずつ増やしているような気がしないでもなくて嬉しいですね。
ご存知全能神ゼウスのご意向によって王になることが約束されたペリアスは、予言通りにテッサリアへ攻め込んでアリスト王を殺害、めでたく王になるんですが、同じ預言者から「将来サンダルを片足だけ履いたアリストの息子・イアソンにより殺される」と予言されます。
それから20年後、偶然片足サンダル野郎・イアソンと知り合ったペリアスは、自分のことをペリアスと知らずに「ペリアスに復讐する」と息巻くイアソンに対し、「まずは神の贈り物である金羊毛を取りに行くべきだ」とアドバイスします。ペリアスは自らの手でイアソンを殺害してしまうと自分も死ぬという予言も受けているので、要は「実現困難と思われる試練を課す」ことで自らに刃が向かないように仕向けたわけですね。道中で死んでくれればラッキー、的な。
イアソンにはゼウスの妻である女神・ヘラがついていて、ゼウスに「5回までなら助けてええで」と許可をもらっています。早い話が神々のゲームというか、ゼウスとヘラそれぞれが肩入れする男どっちが覇権を握るのかを天上界から見守っているような感じ。
イアソンは、預言者として地上にいたヘルメスの手引きによって天上界へ連れて行かれ、ゼウスから船や船員を融通してやると言われるも「人間だけで成し遂げる」と助力を拒否。地上に戻ってオリンピック(!)を開催し、ヘラクレスを始めとしたギリシア中の優秀な男たちを集め、航海に乗り出します。
果たしてイアソンは長い航海を無事に終わらせ、金羊毛を持ち帰ることができるのか…というお話です。
ストーリーへの期待は程々に
ちなみに字幕上は英語読みになっているらしく、イアソンは「ジェーソン」になっていました。ペリアスもちょっと違った名前だった気がする。ペシリアスとかそんな感じ。(曖昧な記憶)
そんなわけでギリシア神話丸出しのファンタジーアドベンチャー映画ってところでしょうか。話自体はあまり親しみもないし神話らしく(リアリティの無い)強引さも目立つものではありましたが、むしろその感じが神話感、絵本感を引き出していてかなり独特な雰囲気を持った映画だと思います。
今まで観た中では同じく神話っぽさが強い「バロン」にかなり近い雰囲気がありました。今となってはチープさ漂う特撮含め。もしかしたら「バロン」はこの映画に影響を受けていたのかもしれません。
「あーここで終わっちゃうのかー」とちょっとがっかりしたような部分も含め、正直ストーリーに関してはあまりどうこう言うようなものではないと思います。まあ何せ神話が元なだけに、娯楽的なストーリーを求めるのも筋違いなんでしょう。
じゃあこの映画は何がウリなんや、となるとそれは特撮界の神的存在、レイ・ハリーハウゼンの手による特撮ということになります。
ハンドメイド感の心地よさ
僕は不学なのでこの映画を観るまでは知らなかったんですが、このレイ・ハリーハウゼンという方は特撮映画の祖のような存在で、後の「ゴジラ」や「スター・ウォーズ」シリーズにも影響を与えた人物だそうですね。
この映画のクレジット上は製作者ぐらいでしか出てきていないんですが、実質的には監督に近いぐらいの立場だったっぽいです。
いわゆるストップモーションアニメの手法で1コマずつ撮影し、それを俳優の演技と組み合わせる「ダイナメーション」の評価が高かったそうで、この映画でもそのテクニックを利用したシーンが一番の見所になっています。
最近でも「KUBO(観たい)」のようにストップモーションアニメは結構メジャーな存在ですが、その先駆け的存在なんでしょうね、きっと。
当然50年以上前の映画なだけに、映像は荒いしクリーチャーの質感等もミニチュア感が強く、合成画面にしても背景の色や人物の色の切り替わりが気になったりと細かく見ていくといろいろアラが目立ちはするんですが、逆に今となってはそれが珍しくて良い味になっている面もあるし、やっぱり豪華でリアルなCGとはちょっと違ったハンドメイド感が心地良かったですね。
懐古的な意味ではなく、やはりアナログだからこそ出る雰囲気の良さみたいなものって絶対にあると思うので、その辺りの温かみみたいなものが伝わってくることで製作者側の熱意が感じられるような映画と言ったら良いでしょうか。
今だったらこんな面倒なことは絶対しないだろうなと思うんですが、だからこそそこに価値を感じられる映画じゃないかなと思います。
絵本を読んでいるような良さ
間違いなくこの映画は特撮を観るための映画だと思いますが、ただ僕は「世界の七不思議」とかもとても好きな人間なので、その辺の紀元前の文明が登場するような物語や世界の造形に興味がある人も面白い部分はあるんじゃないかなと思います。
今の技術でリメイクすれば、おそらく相当綺麗で迫力のある映画になると思いますが、でもそれじゃあちょっと味気ないと言うか、物語の方向性もスペクタクルに寄りすぎるような気がするんですよね。ハラハラドキドキ的な。
この映画はそういうものではなく、やっぱり「絵本を読んでいるような」娯楽なんだろうと思います。その雰囲気を生み出すのが特撮ということなんでしょう。
映画好きであれば一度観ておくと良い類の映画だとは思うので、機会があったらぜひどーぞ。
このシーンがイイ!
やっぱり巨人タロスとの戦いが一番ワクワクしましたね。あの巨人感と絶望感を感じさせる圧倒的な力の見せ方がすごく良かった。デカいって良い。
ココが○
特撮の見せ方はもちろんなんですが、やっぱりそれによってもたらされる雰囲気が一番のポイントなんだと思います。全体を通じてクリエイティビティを感じる映画というか。
ココが×
話自体は結構割り切ったものでリアリティもへったくれもない(そもそも神様が普通に出てくる)ので、細かい部分は気にしないで観たほうが無難でしょう。
MVA
特撮ばっかり目が行っちゃってあんまり俳優さんについてどうこうっていうのは思わなかったんですが…この人かな。
ローレンス・ナイスミス(アルゴス役)
船を作った爺さん。イアソンをサポートする船長的な存在。
ギリシア爺感も強く、なんかいいなと。その程度。ギリシア爺感ってなに。


