映画レビュー0972 『ジョン・ウィック』
今年に入ってからの2本は気まぐれで普通に観た2本なんですが、今回は満を持して配信終了からのチョイスです。(誰も待ってない)
予想外にヒットしたために2020年現在3作目まで作られている、久々のキアヌ当たり役ってやつですね。
ジョン・ウィック
チャド・スタエルスキ
デヴィッド・リーチ
デレク・コルスタット
キアヌ・リーブス
ミカエル・ニクヴィスト
アルフィー・アレン
エイドリアンヌ・パリッキ
ブリジット・モイナハン
ディーン・ウィンタース
イアン・マクシェーン
ジョン・レグイザモ
ウィレム・デフォー
タイラー・ベイツ
ジョエル・J・リチャード
2014年10月24日 アメリカ
101分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

割り切りスッキリ系で気軽に楽しめる。
- 多くを語らない悲しみの主人公がハードでボイルド
- 気持ちいいぐらいにガンガン殺していく割り切りスッキリ系
- 裏社会のルール等の世界観がちょっと粋
- 渋い俳優さん多めで男臭さが良い
あらすじ
定期的に訪れる「最近点数高すぎね?」という自己反省のため、多分去年なら8点だったなと思うんですが少し低めに採点してます。が、簡単に言えば「普通に楽しめる良娯楽」って感じで面白かったですよ。
主人公は映画タイトルと同じ、ジョン・ウィックさん。キアヌ・リーブスが演じます。
彼は最愛の妻を病気で失い失意のどん底だったんですが、その妻は「自分が死んだらジョンがどん底になっちゃう」のをお見通しだったようで、自らの死後に一匹の子犬が届くように手配していたのでした。
かくして妻が残してくれた愛犬とともに新しい人生を歩み始めたジョン。しかしその直後に彼の愛車に目をつけたチンピラが家に侵入、車の鍵を奪うとともに「うるせぇから殺しちまえ!」とワーンもその犠牲になってしまいます。
ジョンは愛犬の弔いを終えると、復讐のため“かつての自分”に戻ることを決意。なんでもチンピラ共は知らなかったようですが、実は彼はかつてそのチンピラの父親でありロシアンマフィアのボスでもある男・ヴィゴの配下として数々の仕事をやってのけた凄腕の殺し屋であり、妻との結婚を機に足を洗っていたのですよ…!
ヴィゴは息子のしでかしたことに怒り、ジョンに手打ちを持ちかけるも当然ジョンはシカト、かくしてかつて所属していた組織に一人戦いを挑むジョン・ウィック。復讐の鐘は鳴ったのであった…!
実は愛犬の話はかなりあっさり
最近ではかなり有名な映画の一つなので、散々「犬一匹殺したせいで人が殺されまくる」的にネタにされている映画なんですが、上に軽く書いたように実際は「最愛の妻が残してくれた愛犬を殺された」つまりあくまで主眼は奥さんにあります。
もちろん愛犬を殺されたことへの怒りは大きいんだろうとは思いますが、それ以上に「妻が死ぬ間際にわざわざ自分のために用意してくれた大事な命」を軽く扱われたことに対する怒りが大きいと思われるので、「ジョン・ウィック犬好きすぎるwww」みたいなツッコミは野暮だよというのは書いておきましょう。
ただそのワーンとの生活については、最初の方で本当にサラッと触れられるだけで非常にあっさりしていて、かなり早めにその“不幸な出来事”は訪れます。
もうちょっと感情移入させた方が良いんじゃないか…という気もしたんですが、ただやっぱり「犬を殺す」っていくら悪役の所業とは言えもうハリウッド的にもかなり描写が難しい話でもあるので、これはあえてサラッと済ませたんでしょうね。
本来であれば長年一緒に暮らしていた、とか奥さんが描い始めて一緒に暮らしていた、とかが良いんでしょうが、そうなるともう情が移りすぎて「マジで許せねぇな!!」って観客が怒りすぎちゃってチンピラ息子への復讐が最大の見せ場になりすぎちゃう懸念もあるので、全体のストーリー展開を考えればこの物足りない程度の方が、言葉はアレですが「邪魔にならない」ので良かったのかもしれません。
「96時間」と「イコライザー」を足して2で割ったような映画
主題はその復讐の動機と(組織側の)被害の大きさによって引き起こされる「やべぇことしちまった」感ではなくて、それよりも「引退したものの結局裏社会に引き戻される宿命」のようなものだったのかもしれません。
「誰もが恐怖するトップクラスの実力を持った殺し屋」が裏社会に舞い戻った高揚感みたいなものはもちろんあるんですが、それよりもその彼の友人関係から導き出される人間模様だったり、必ずしも本人に恨みはないもののどちらも引くに引けない状況になってしまうかつてのボスとジョンの関係性だったりを最小限の感情表現で描きつつあとはスカッと殺しまくるぜ、みたいな割り切り娯楽アクションの方向性が強いです。
ひたすらガンガン殺していくフェーズは「96時間」のような気持ちよさ(って言うのもなんですが)もあるし、腹を撃った後にちゃんと頭に2〜3発お見舞いする無慈悲さは「イコライザー」のようでもあるし、この2作品を足して2で割ってキアヌの悲しみで包み込んだような映画ですね。
そう、ポイントはやっぱりキアヌなんだろうと思うんですよ。
結構有名な話ですが、キアヌ・リーブスは過酷な人生を歩んできた人なんですよね。まだ記憶もないぐらいの頃に父親に捨てられ、母親とその再婚相手と世界を転々としながら育ち、スターとなってからも恋人が死産したり、その彼女が事故で亡くなったりといろいろあったそうで。
しかもその上でやさぐれることなく、ハリウッドスター1謙虚な人物と言われてたりもするという…。存在自体がもはや教祖じみてきている稀有な存在、それがキアヌ・リーブスなんですが、その彼が多くを語らずにひたすら愛犬(=妻の形見)の復讐のために人を殺めていくという姿に、やっぱり映画で描かれる物語以上の何かを感じるのではないでしょうか。
ハイレベルな演技力で悲しみの目を印象付けた「イコライザー」のデンゼル・ワシントンとは違い、マジで悲しい目をしてるんですよ。キアヌは。素が。
もうその目に過去の不幸話とか透けて見えちゃってるし、「謙虚な人が怒ると怖い」みたいな現実と同一視して「うわぁキアヌがこんなに怒っちゃったらそりゃあダメだよ」と思えてくるという。
彼(ジョン・ウィック)はオープニングから亡くなった奥さんの動画を観てはメソメソしてるんですが、もうその姿がすごくキアヌっぽいんですよね。こう言ったら失礼かもしれないんですが、ただそれだけ情が深いイメージがあるんですよ。キアヌには。
だからこそこの役はハマり役になったんじゃないかなぁと思います。
観やすい上に男臭いのがイイ
この手の映画らしく上映時間は短めだし、動機こそ重いものの気楽に観られる映画ではあるので、人が死にまくりつつも「ちゃんと娯楽」した映画ですね。
役者陣も結構渋い男たちが中心の男臭い映画なのでその辺りもたまりません。最近よくある傾向とは言え、つまらない恋愛とか混ぜ込んでこないのがイイ。
とても無駄のない映画でありつつ、「暗殺者御用達のホテル」とかこの映画ならではの設定がところどころ登場するのも見どころで、頭使わずに気楽に映画が観たいときにも最適。
っていうか最近そういう映画ばっかり観てる気がしてそろそろバカになりそうです。まあそういう時期があってもいいじゃない…。
このシーンがイイ!
「ディナーの予約」のところ、好きですね〜。
あの辺の「裏社会のルール」みたいなものがちょこちょこと出てくるのがたまりませんでした。一般人は知らないけど実際にあるかもしれないよ? みたいな。
ココが○
割り切りサクサク系でありつつ、多くを語らない友情がそこかしこに差し込まれている辺りも胸熱。「男はこういう話好きだよね」って感じで実際好きです。
ココが×
突き抜けた面白さが無かったなとは思いますが、そこを期待しすぎても仕方がないし、これはこれでよかったと思います。なので特に大きな不満はありません。
MVA
上に書いた通り、キアヌ起用が一番のポイントだしアラフィフですごいよなと思いつつも今回はズルかったこの人にします。
ウィレム・デフォー(マーカス役)
キアヌ演じるジョンの親友でベテランのスナイパー。
ヴィゴからジョン殺しの依頼を受け、引き受けるんですが…詳細は書きません。
ただこのキャラクターはいかにもなキャラクターでズルいんですがそれだけ良かったのも事実で。ウィレムさんっていうのがまたね。渋くていいよねと。
ヴィゴ役のミカエル・ニクヴィストもすごく良かったです。ボスとしての凄みもありつつ、程よく軽さも持ち合わせていて「マジで怖い人ってこんな感じだよな」って説得力がお見事でした。つくづく亡くなってしまったのが残念…。
あとジョン・レグイザモもすごく渋かったのに超ちょい役だったのがもったいない。


