映画レビュー1082 『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』
なんか勢いで観ておきたいなと思ったので配信終了来てないのに同じ日にまた観てしまいました。
1日に未見の映画を3本観るのは初めてのような気がするんですが、それがこのシリーズで良かったのかは非常に疑問があります。
ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲
デヴィッド・カー
2018年10月5日 イギリス
89分
イギリス・フランス・アメリカ
Netflix(PS4・TV)
ごっつぁんゴールの極みでひどすぎて最高。
- サイバー攻撃によりMI7の全エージェントの情報が漏洩、リストにいないジョニーに白羽の矢が立つ
- タイトル通り、デジタル社会の危うさにアナログ人間が立ち向かう現代らしい設定
- 前作同様「ちゃんとスパイ映画」しつつもやはりひどくて最高
- 部下のボフ復帰&無駄に豪華なキャスティングが盛り上げる
あらすじ
ということでまさかの1日3作完走という謎のモチベーションを発揮してしまいましたが、それぐらい気楽にダラダラ観るのに最適というシリーズです。
さして真面目に観ていたわけでもないのでアレですが、僕の感覚としては「1作目のひどさと2作目のスパイ映画っぽさを融合」したようないいとこ取り感があり、3作で最も好きでした。いやなかなかバカにされがちな映画ですが面白かったですよ。円盤欲しい。安いし。
今回のジョニー・イングリッシュ(ローワン・アトキンソン)は小学校の教師としてスパイ養成風の独特な授業を行っていたんですが、なんとMI7がサイバー攻撃を受けたことで全エージェントの情報が漏洩するという大事件が起きると同時に、ロンドン各地でもサイバーテロによるトラブルが発生。MI7は事態を収拾するべく、引退したエージェントたちを集めることに。
ご老人たちに混ざって招集されたジョニー・イングリッシュ、例によって迷惑極まりない失態をぶちかましお爺ちゃんエージェントたちが爆睡、結局彼にイギリスの命運は託されるのでした。
彼はMI7復帰に当たってかつての部下・ボフ(ベン・ミラー)を再び相棒にして捜査を開始。その後のドイヒーな顛末は想像の通りですがその辺はご覧頂きまして、果たしてこの事件を解決することができるのか…というお話でございます。
(ヒロインのみ)本家に追いついた
今回はヒロインが「慰めの報酬」でボンドガールを演じたオルガ・キュリレンコということで、名実ともに本家007と並んだという説はまったくないひどい映画です。(褒めてます)
前作がオルガだったらまさに「気休めの報酬」という副題が活きたところですが…まあこれは邦題限定の話なのでどうでもいい話ですよ。
加えてイギリス首相役がエマ・トンプソンというのも贅沢。こんな映画にこんな大女優が出てきちゃって良いの、っていう。1作目の首相は「えびボクサー」のケヴィン・マクナリーですからね。だいぶレベルが上がってきたんじゃないかと勘違いしちゃいますよ。
前作で若手にチェンジした“相方”も1作目のボフが再登板ということで、いわゆるよく言う「原点回帰」ってところでしょうか。
実際内容的にも前作よりも1作目に近いひどさ(褒めてます)が感じられ、さらに前作のように「一応それなりにスパイ映画らしいストーリー展開」も盛り込んでいるという1と2のハイブリッド的な良作だと思います。それでも例によって世間的評価は低いのがまたたまらないわけですが。おかしいなー面白いのに。
話の内容的にも「デジタル社会の脆弱さ」をデジタルに無縁な古いタイプのスパイ(ただし能力は低い)が立ち向かう、というのはなかなか現代的なテーマで良いのではないでしょうか。
また「現代的」という意味ではいかにも時流に乗っかってVRデバイスも(半ば無理矢理に)登場し、このシーンもまたひどすぎて最高でした。あり得ない展開なんですがいいんです。そう言う映画なんだから。
映画として良いとは言いづらいが…
前作同様に「どのセリフも前フリに見える」病に悩みつつ、大変楽しませて頂きました。とにかくひどい。ひどいの一点に尽きます。
3作通して観て思いましたが、基本無能のジョニー・イングリッシュもドライブテクニックだけはちゃんとしてるんですよね。そこだけは本物のスパイっぽいという。そこがまた笑っちゃうんだけど。
前作・前前作同様にどこがどうとかこれ見よがしに語るような映画ではないのでもう本当にあとは観てねでおしまいなんですが、シリーズが好きであれば間違いなく楽しめると思います。アクションも結構ちゃんと派手になってきてるし。
僕自身、一番最初のTVシリーズの「ビーン」はちょっと観てそうでもなかっただけにまさか1日で全部観るぐらいにこのシリーズにハマるとは思っておらず、我ながらびっくり。いやでもめっちゃ好きですね、このシリーズ。好みの笑いとは違うはずなのに好き。
ただ好きだけど「映画を観る」とは別の回路を使って楽をするタイプの映画のような気はするので、これを映画として「良いぞ!」というのもなんだか気が引けるのも確かです。もう本当にダラダラ何も考えずにだらけきった状態で観る映画なので、高尚な映画とは対極に位置するものだしこれを評価して「サクリファイス眠かった」とか言っちゃうのは非常に申し訳ない気持ち。
でも面白いんだもん。しょうがないじゃない。何回も観たいわ。
このシーンがイイ!
どれもひどかったけど…終盤の「滑る」シーンかなぁ。ああいうのホントダメ。めっちゃ笑った。
あとレストランのシーンも最高。ひどすぎる。
ココが○
果たしてみなさんそうなのかはわかりませんが、僕としては「ちゃんと進化してきている」感じがして、3作目ながら一番良かった(笑った)のは嬉しいポイント。
また続き作って欲しいけど…ローワン・アトキンソンも結構なお歳だしどうなんだろう…。
それと一応書いておきたいのは、終盤の展開がもうごっつぁんゴールの極みで最高でしたね。こうじゃないと、って感じ。
あと前作と今作、邦題が結構センスあるなと思うんですけどどうなんでしょうか。原題よりも味があると思うなぁ。
ココが×
前作・前前作同様、合わない人には徹底的に合わないでしょう。くだらないの一言で終わりそう。いやくだらないのがいいんじゃねえかよ、っていう。
ただそういう人は1か2で脱落していると思うので、残ったジョニー・イングリッシュエリートの面々のみ観る映画として良いんじゃないでしょうか。ファンの期待にはちゃんと応えてくれていると思います。
MVA
またローワン・アトキンソンでも良いんですがそれはそれでつまらないし…ということでこちらのお方。
オルガ・キュリレンコ(オフィーリア・ブリトーヴァ役)
本作のヒロイン。敵か味方か的な例のアレ。
特に演技的にどうこう、っていうのはないんですが、まあやっぱりボンドガールがこっちにも出てくれるその懐の深さに対する嬉しさったらないですよ。ゴールデンラズベリー賞の授賞式に出たハル・ベリーぐらいの懐の深さ。
しかも当然のように非常にお綺麗なので目にも優しい。着飾ってイングリッシュと飲むシーンとか本当にボンドガールみたいで。いやボンドガールなんですけど。
ただあのシーンはローワン・アトキンソンのひどさに全部食われましたが。辛いの食べたときの口の動きの速さ、見ながら真似したけど絶対無理。やっぱりあの人の動きもさすがとしか言いようがありません。