映画レビュー0982 『ジュマンジ』
ちょこちょこ劇場で予告編を目にした新しい方のジュマンジシリーズがなかなか面白いという噂を聞きまして、ネトフリにも2作目にあたる「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」が来てるので観たいなと思ったんですが、同時に1作目である古い方の「ジュマンジ」も配信してくれているので、じゃあせっかくだしとまずは1作目を観ることにしました。
今回は配信終了間際じゃないよ!
ジュマンジ
ジョナサン・ヘンズリー
グレッグ・テイラー
『ジュマンジ』
クリス・ヴァン・オールズバーグ
ロビン・ウィリアムズ
ジョナサン・ハイド
キルスティン・ダンスト
ブラッドリー・ピアース
ボニー・ハント
ビビ・ニューワース
デヴィッド・アラン・グリア
パトリシア・クラークソン
1995年12月15日 アメリカ
104分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)
ただのファミリー映画と思いきや…? 最後にグッと来る粋な伏線回収。
- 偶然掘り起こしたボードゲームを遊んでしまったキッズが長年のときを経て別キッズによって呼び戻される
- クリアしないと現実社会は元に戻らないルール故、果敢にゲームに挑む4人のキッズ&元キッズ
- 当時の技術力を駆使したファンタジー感溢れるファミリームービー
- エンディングはしっかり伏線回収でなかなかの良作
あらすじ
懐かしいですね、ロビン・ウィリアムズが主役のジュマンジ。公開当時はそこまで映画を観ていなかったんですが、何かで見かけたことは覚えていました。
残念ながらロビン・ウィリアムズは他界してしまいましたが…20年以上経ってから続編が作られ、こうしてまた注目を浴びる機会があることは喜ばしいことなんでしょう。
物語は(劇中の)100年前のキッズたちの姿から。彼らは何やら物騒な面持ちであるボードゲームを土に埋め、二度と日の目を見ないようにと封印します。やべーゲームだぞと。
時は経って1969年、ひょんなことからそのボードゲームを発掘してしまったいじめられっ子の少年アラン・パリッシュは、早速おうちに持ち帰り、家に遊びに来た友達の少女サラとともにこのゲームを遊び始めます。
サラは遊ぶつもりもなかったんですが放り投げたサイコロが出目と判定され、勝手にコマが進みます。次にアランがサイコロを振るとこれまた勝手にコマが進み、「5か8の目が出るまでジャングルで待て」という指示とともにアランはどこかに吸い込まれるように姿を消します。
叫ぶサラには最初に出た目の内容に従って大量のコウモリが彼女を襲い、そのままサラは逃走。残ったのは問題のボードゲーム「ジュマンジ」のみなのでした…。
またも時が経って1995年、アランが住んでいたパリッシュ家のお屋敷を購入した叔母とともに、ジュディとピーターの2人のキッズが引っ越してきます。2人は屋根裏であの「ジュマンジ」を発見、1969年から止まったままの盤面に追加で自分たちのコマを配置し遊び始めたところ、またも現実にいろんなトラブルが巻き起こりつつ、サイコロの出目が「5」だったころから大人になったアラン(ロビン・ウィリアムズ)が姿を現します。26年ジャングルで待ってたんやで…!
「一旦ゲームを始めれば、誰かがゴールして『ジュマンジ』と唱えるまで元に戻ることはない」という注意書きを読んだジュディとピーターは、渋るアランを説得し、さらに26年前の出来事から頭がおかしくなったと思われ不憫な生活を送っていたサラも連れ戻して4人でゲームを再開することに。
かくして様々なトラブルに襲われつつ、果たして彼らは無事ゴールできるのか…というお話です。
蓄積デバフの無理ゲー
この「ジュマンジ」というボードゲーム、いわゆるオーソドックスなすごろく形式のボードゲームなんですが、出目によって進んだマスに書かれている指示が(少なくとも劇中で確認できるものに関しては)100%アンラッキーなマスで構成されていて、おまけにそれぞれが一度やり過ごせば終わりという類のものではなく、どんどん積み重なっていくのでひじょーにタチが悪い。いわゆる蓄積デバフゲーですよ。
おまけに4人でプレイしているので、自分のターンが1ターンごとに4つのデバフが降り掛かって来るという無理ゲー感。ライオンやらゾウやらハンターやらサルやら厄介な連中がどんどん増える。
こうなってくるともう嫌でもクリアしないと生きることすらままならない、ということでなんとか頑張って苦難を乗り越え、クリアを目指すぞと。っていうか自分だったらもう即座に死んでます。それぐらい無理ゲー。
成り行きで「プレイせざるを得なくなった」4人(元キッズ2人&現役キッズ2人)が協力し、特に現役キッズの姉弟が成長を見せつつリアルアドベンチャーを乗り越えていくさまはいかにもこの頃のファミリー映画っぽい懐かしさでいっぱいです。
時代的に自分が子供だった頃とも近いので、「ああこういう映画多かったなぁ」と嬉しくなりつつ、とは言えやっぱり基本はファミリー映画なだけにそこまで際どいこともなく、ある意味では予定調和の展開ではありました。
弟くんの活躍どころとかいかにもファミリー映画って感じで、「微笑ましいけどいい歳したおっさんがすげー面白いぜって観るもんでもないな」と一歩引いた感じで観ていたんですが…。
最後はまさかのウルウル
もちろん詳細は書きませんが、物語の閉じ方がとても良くてですね。
うまい具合に過去の出来事をフリにしつつ、「そこに帰結するのかー!」とちょっとした驚きもありました。
別に考えれば珍しい展開でもなんでも無いんですが、僕が思っていたようなオチとはちょっと違った展開を見せてくれてそれがすごく良くて、なんならちょっと最後グッと来てウルウルしちゃいましたよ。困ったことに。これはなかなか良い映画だと思います。
「少年(&少女)が成長して良い子に育ちました」みたいな終わり方はもうウンザリなわけですが、そんな陳腐な落とし所ではないダイナミックな展開は良い意味で予想を裏切られ、これは観てよかったなと。むしろこの「映画としての綺麗な展開」を観ちゃうと、果たしてコメディ感強そうな最近の続編は「ただの頭空っぽスッキリ楽しむ系」になってるんじゃないか…? と不安に感じるほど。いやそれはそれで良いんですけどね。
ただこの1作目がなかなか「やるねぇ」という終わり方になっていただけに、その路線を引き継ぐようなちょっと粋な物語になってたら良いなと少しハードルが上がっちゃったぐらいには好きな終わり方でした。
少しだけ映像が意識を引っ張る
ただ、よくある「(当時の)最新技術を駆使した圧倒的な映像!」みたいな系譜にも片足突っ込んでる映画なので、その辺は今観ると少々違和感があり、純粋な気持ちで楽しみきれない部分もあります。
サルとかどうしてもパペット感みたいなのがあるし。逆にそれが味でもあるんですが、「リアルにも影響を与えるボードゲーム」という観点からすると作り物感が強いのは少しマイナスかな、と。
ただそれでも25年も前の映画にしては違和感も少なく、かなり頑張った映像であるのも確か。
何が言いたいのかと言うと、「公開年を考えればかなり頑張っている映像だな」と思ったりすること自体が鑑賞の邪魔になる面があって、純粋に物語を楽しむ上で若干ノイズになり得るのがもったいない、ってところでしょうか。こればっかりは古い映画を観る以上やむを得ない面ではあるものの、公開当時に「すげー!」と驚きながら楽しめたキッズたちのようには楽しめないのはちょっと残念。
おそらく間がかなり空いていることからも、続編シリーズとはあまりつながりのないもの(ゲーム設定ぐらい?)と想像しますが、ただこれはこれでとても良い映画だったので、今ならネトフリで観られるし観てみるのも良いんじゃないでしょうか。
何より現代の映画ファンとしてすごくびっくりした喜びもあったりして、僕としては観てよかったと思います。
このシーンがイイ!
ネタバレに抵触するので書けません。無念。
差し障りのないところだと…白バイにサルが乗って登場するところとか笑いましたね。
ココが○
物語のまとめ方がすごく好きで、ちょっと絵本のような、ファンタジー感ある作りがとても良いですね。古き良き物語、って感じがする。
ココが×
映像面で少し気になるところがあるのと、言うて道中は“ファミリー映画のそれ”なので、オチの良さにグッと来たものの全般的にはやっぱり少し対象年齢低めなのかなと言う気はします。それでも仕立てが良いので「大人も楽しめる絵本」みたいな感覚。
MVA
ロビン・ウィリアムズがねぇ…。「少年のまま大人になった」人物としてはおそらくこの上ない人選で、つくづく彼の最期を思うと切なくて切なくて…。もったいないよなぁ。
でも今回はこの人にしたいと思います。
キルスティン・ダンスト(ジュディ・シェパード役)
1995年から参加したキッズのお姉ちゃんの方。
最初に登場したときからものすごく驚いたんですよ。「このお姉ちゃんめっちゃ美人じゃん…」って。子役でよく見る「子供らしいかわいさ」ではなく、もう作りからして全然違う美人感がすごいなって。
絶対この子今も女優として売れてるはずだよなぁ…と思ってキャスト見たらキルスティン・ダンストですよ。まさかの。
今は割と似た雰囲気でもっと売れている人がいるタイプなのでやや世間的な評価が低めな女優さんだと思うんですが、しかし子供の頃からこんなに美人だったとは衝撃でした。
最も今の彼女も僕は好きですけどね。「アップサイドダウン」なんてキルスティン・ダンストを観る映画ですよ。ほんとに。
演技ももちろん子役的に申し分なく、文句なしでした。当時16〜17歳ぐらいかなと思って観てたんですが13歳ですよ…衝撃。