映画レビュー0739 『キングスマン: ゴールデン・サークル』
少し間が空きましたが、移転後通常営業最初の映画は現在公開中のこちらの映画。
実は2日にTSUT●YAに行って8本も借りた上にすでに観終わったというなかなか(自分としては)無謀なスケジュールをこなしてはいるんですが、ご承知の通りジャケ絵を描かないといけない…上にレビューもまだ書かずにとりあえず観ただけ状態なので、まずはジャケ絵を描かなくて済む最新映画のこちらからということで。まあ移転&新年一発目に相応しいビッグタイトルですからね! きっと。
IMAX 2Dにて鑑賞。
キングスマン: ゴールデン・サークル
面白かったけど不満ぶちまけ大会の会場とさせて頂きます。
結論から言えば面白かったです。面白かったんですが…もーね、前作は「面白かった」なんてレベルじゃないわけですよ。「ウヒョーー!! 面白すぎるぜキングスマンサイコーブシャァ!!」ぐらいのテンションだったので、もう率直に言ってかなり不満でした。
娯楽映画としてはやっぱりかなりのレベルなのは間違いないです。振り切ってるし、相も変わらずややエログロも(許容できる範囲で)登場するし、アクションシーンはマシュー・ヴォーンならではの緩急をつけた独特のスピード感でズバズバ決める気持ちよさもアリ。
ただなぁ…。前作のピークへの持って行き方とその解決策があまりにもよくできすぎていたがために、今作も同じかそれを超えるテンション爆上げシーンが登場するんだろうと期待していたのが…そういう感じでもなく。
ちょっとハードルが上がりすぎていた面はあると思います。前作は世間の騒ぎを見て少し懐疑的に「そんなにいいのかね?」と観に行ったら完全にやられた感じだったんですが、今作はその良かった前作の記憶とともに、事前に「超パワーアップしてるぜやってくれたぜ」的にかなり煽られてからの鑑賞になり、おまけにオープニングからまさにこの映画のキャッチコピーの通り“秒でアガる”ハイテンションバトルからスタートしたために「これはやってくれるに違いない…!!」とウヒョってたら意外とその後はウヒョらずにウヒョ…みたいな。
とりあえずご説明しましょう。
前作で晴れてキングスマンの一員となったエグジーの元に、彼とともに試験を受けたチャーリーがやってきて「車に乗れ」と脅してきます。渋々言われるまま車に乗ったエグジーは走る車内で早速チャーリーとのバトルスタート、なんとか追手も仕留めて前作ラストで結ばれたティルデ王女が待つ自宅へ帰ります。付き合ってたのが結構驚き。
しかしチャーリーとのバトルの舞台となったキングスマンの車の中にはチャーリーの義手が残っていて、その義手によってキングスマンのシステムがハッキングされてしまい、そのデータは今回の敵役となる組織「ゴールデン・サークル」に渡りキングスマン攻撃の火の手が上がる…というような序盤から始まるお話になっております。
で、まあ予告編にあった通り、そこから“従兄弟分”に当たるアメリカの「ステイツマン」に協力を求めに行くんですが、後は観ていただくとして。
まずそのオープニングに関しては、もう本当にものすごく素晴らしいハイテンションバトルでですね。めちゃくちゃ興奮しましたね。もう。ホントに秒でアガった。超ロングドリフトを空からのカメラで捉える映像が出てくるんですが、もうそのシーンがすごすぎていきなり「おおおおおおぉーーーーー」って声出ちゃいましたからね。自然と。あのドリフトはめちゃくちゃスゴイしカッコイイ。当然他の車も流れている中で。
「こりゃあ今作も超絶期待できるでぇー!!!」と思っていたのも束の間、結構中盤は中だるみ感が強く…。
これまたもう予告編含め散々情報が出ているのでこれぐらいは書いちゃいますが、今作では前作死んでいたと思われたハリーが再登場するわけです。コリン・ファースの。となるとどういうシーンで登場するのか、テンションを高めてくれるのか…めちゃくちゃ期待するじゃないですか。
おまけに「あのハリー」ですからね。もうやっぱり「エグジー、君はまだまだだ」的な感じを期待するじゃないですか。悟空が初めて天下一武道会に出たときのジャッキー・チュンばりのお師匠感を期待するじゃないですか!!!
詳細はもちろん書けませんが、他にも終盤含めてかなりの部分で、そんなような観客側の期待を裏切って「ベタな話にはしないぜ」的な意欲が見える展開が逆に空振ってる印象が強く、僕としては「もっと素直にやって“コレコレ!!”って思わせろよ!!!!」というストレスが強いお話でした。これがものすごくがっかりした。
もちろん劇中ではそういう「来るぞ来るぞ」みたいな煽りがあるわけではないので通して観ればおかしな話でもないんですが、ただファンはもう続編決定の時からずーっと煽られているようなものなので、なんでその期待を利用してバシバシ決めに来ないのかな、なんで新鮮な魚を活け〆にして待ってるのにどん兵衛買ってきちゃうのかな、みたいな感じがすごくあって。これがもう残念で残念で、前作が好きすぎるが故に悔しさが残る続編だったと思います。
ただ同じように前作大好きで観た人が「今作も最高ウヒョーーーーーー!!」って言っている人もかなり多いようなので、僕のようなタイプは珍しい方なのかもしれない、というのも書いておこうと思います。
それと「ステイツマン」登場についても、考えてみたら前作に出てきたキングスマンのメンバーは今作に登場するメンバー以外は死んじゃった(前任の)ランスロットと(前任の)アーサーの二人だけなので、今作「壊滅させられた!」って言ったところでそんなに喪失感も無いし、「ステイツマン」に舞台を移したところで元のキングスマンのメンバー他環境にそこまで思い入れを作られていないだけに、特段「おお、違うね」みたいな変化も感じないんですよね。これも残念な気がしました。もう一作イギリスで環境を作ってからのステイツマンならまた違ったんだろうと思いますが。
悪役のやってることもツールが変わっただけで同じだし、「変えるべきところと変えなくていいところ」のチョイスが不満でもありました。やっぱり大きくハネた映画の続編っていうのは難しいんだな…と改めて思う次第。
とまあちょっと期待が大きすぎたためにいろいろあーだこーだブーたれましたが、純粋にスパイアクションコメディ映画的に観れば、そりゃあもう完成度は他にないレベルだとも思うので、文句を言いつつも面白かったのもまた事実です。特に役者陣はエルトン・ジョンを含めとても良かったですね。
もはや前作を気に入った人からすれば観ないというチョイスは無いと思うので、「期待しすぎないで観てね」というアドバイスで〆ようと思います。どうやら3作目もスピンオフもあるようなので、その事前準備としても観ておいた方が良いのは確かでしょう。はてさて次はどうなることやら…。
このシーンがイイ!
これはもう断然オープニングですね。超ハイテンションバトルで一気に体温が上がります。その分、ラストバトル含めて他のバトルが色あせちゃった気がするのがまた残念だったんですが…。
それにしてもIMAXの大画面でパンツのアップを観させられることになるとは思いもしなかったよ…。
ココが○
ちょいグロちょいエロちょいコメのスパイ映画として唯一無二の映画なので、そのオリジナリティはやっぱり他にない素晴らしさがあると思います。ベースが紳士っていうのもね。やっぱり良いよね。
ココが×
上に散々書いた通りですが、単純にちょっと長い気はしました。やっぱり中盤の間延び感は拭えないと思う。細かい部分の整合性は無視してスピード感で乗り切るタイプの映画だと思うので、もうちょっとコンパクトにした方が良かったんじゃないのかなーと。
MVA
前作から登場のキングスマンメンバー+王女他に、今作から登場の敵役+ステイツマンのメンバー。それぞれとても良かったです。
驚いたのがハル・ベリー。調べたらもう50過ぎてるんですよね…。でもなんか全部CGなんじゃね? ってぐらいかわいく綺麗になってて衝撃。ちょっと意味がわかりません。
ジェフ・ブリッジスの脂の抜け感もすごく良かった。彼らしからぬ好々爺感があって。
当然ながらいつも最高のマーリン役、マーク・ストロングも捨てがたいところですが…今作はこの人にしておこうかな!
タロン・エジャトン(ゲイリー・“エグジー”・アンウィン/ガラハッド役)
前作から引き続きの主人公ですが、今作はどことなくキングスマンのスーツも似合って着こなしてきたね…と思いきや相変わらずチンピラっぽい格好で家にいたりとか、やっぱりちょっと似合ってないようなフォーマルな格好だったりとか、前作同様微妙になりきれてないかわいさ、やんちゃさみたいなのがすごく役に合ってるんですよね。ちんちくりん感とでも言うか。
これは同じく前作からキングスマンに仲間入りしたロキシーも同様で、彼女もなーんかちんちくりん感があるんですよね。メガネの大きさ合って無くね? とか。でもそこがかわいくていいんですよ。綺麗すぎない感じが。
さすがに次作はもっとこなれた感じに見せてくるんだろうとは思いますが、ただベテランとの対比を活かすならそういう見せ方も大事だし…難しいところですね。期待しすぎずに待ちたいと思います。