映画レビュー0212 『恋愛睡眠のすすめ』
今年は自分でも過去最速のペースで劇場に行ってるんですが、この後もいろいろ観たい映画がたくさんありそうで楽しみですねー。その分地雷を踏みそうな予感もありますが…。
とりあえず3D公開だけはやめて欲しい今日この頃。
恋愛睡眠のすすめ
すごく不思議な映画。
これ、録画したのが去年の夏の話で、観ようか観まいかずっと迷っていたんですが、ようやく観ました。
確か当時、「ちょっとは恋愛映画ぐらい観ないと置いていかれる感がハンパじゃないぜ」みたいなご意見を知人から頂戴した時に「じゃあ一応観てみるか…」的に録画した記憶がありますが、ちょっとネット上での評価も芳しくないので、余計観ようか観まいか悩むような状況でした。
一応通して観た結論としては、まず話自体はかなり微妙というか…。なんとも説明自体が難しい映画なんですが、「夢と現実をごっちゃにしちゃう男」が、現実の人間関係を夢にも投影させながら、ちょっとずつ現実での恋愛関係をよくして行こうとする…ようなお話というか。
夢かと思ったら現実で、現実かと思ったら夢で、みたいな流れが頻繁に交錯しながら、果たして彼女は振り返るのか…! みたいな。とにかく話はわかりにくいです。
人間関係とか登場人物の意志とかはわかりやすいんですが、その「夢と現実のごちゃ混ぜ感」がすごくて、まさにこっちまで夢を観ているような感覚。
一応、夢では小道具類が紙で作られてたりして、それなりにわかるようにはなってるんですが、現実から途中で夢になったり、その逆もまたあったりと入れ替わりが激しくて、結局どこまで進んだのか、どこまで相手に伝わっているのかがよくわかりません。
一言で言えば、非常にシュール。
ただ、この映画に限定して言えば、それでいいんじゃないかな、という気もします。
フランスらしいオシャレさみたいなのがきっと内容にマッチしてたんでしょう、その「夢っぽさ」だったり、どことなくフワフワした心地よさみたいなものがあって、これは本当に不思議な感覚でしたね。
恋愛映画とは言え、ド恋愛といった感じではないし、どちらかと言うと「夢世界」の描写に力を入れている感じ。まさに「こっちまで夢を観ているような感覚」を狙っての映画なんじゃないかと思います。
ラストシーンもすごくシュールで、なんだか放り投げられたような感じもありましたが、もうこの二人の恋愛がどうこうと言うよりも、むちゃくちゃな設定だったり流れだったりという「夢っぽさ」を味わってね、というような映画なんじゃないかと思います。
あくまでその世界を描くための恋愛というか。ジャンルとしては恋愛よりもファンタジーに近い気がします。この世界観は、きっとハマる人はハマるんじゃないかなぁと思いますね。僕も映像自体は好きでした。ちゃんと真面目に作ってると思うし、媚びてないのがいい。
ただ、映画として面白かったかと言われたら、それはノー、というのが僕の感想です。だってもう、主人公なんて完全に頭おかしいし。
そんなわけでちょっと評価は難しい映画なんですが、ただ「観て損した」という思いはまったくなくて、むしろ面白い映像を見せてもらったな、という清々しさすらあります。こういう映画をダラダラ流し続けるお店とかあったら、ものすごくシャレオツショップな感じがすると思うし。
物語を追う映画ではなくて、雰囲気を楽しむ映画、という感じでしょうか。
女性にはウケが良さそう…な気もしますが、女性に強くないという。
このシーンがイイ!
シーンというか、絵としていいなー、というのはものすごくたくさんありましたね。印象的なシーンがいっぱい。
その中でひとつ挙げるなら、「1秒タイムマシン」のシーン。アイデアといい、“恋愛映画っぽい”感じといい、面白かった。
ココが○
ミシェル・ゴンドリーらしい世界観は存分に堪能できると思います。やっぱりちょっと小物からして独特な気がする。
ココが×
いくらなんでもシュール過ぎる気がします。
フランスらしさで乗りきれたけど、これがアメリカ映画だったらまず成り立ってないような。逆に言えば、だからこそフランスは作れるんだな、っていう気もしますが。ちょっと物語に期待するには厳しい映画。
あとはまあ、完全に予想通りでしたが、いつものごとく邦題がセンスゼロ。
「恋愛睡眠」っていう言葉もどうかと思うけど、それ以上に「のすすめ」って付けちゃう辺りが超絶センスゼロ。最悪「恋愛睡眠」だけの方がまだいいんじゃないの…。
MVA
今回は結構スンナリとこの人に決定。
アラン・シャバ(ギィ役)
主人公の同僚兼先輩のオッサンですが、やたらと味があるんですよね。雰囲気もそうだし、喋り方とかもそうだし。
この人きっと、フランスでは結構ニッチな地位を確立した役者さんなんじゃないかと勝手に想像してます。もしくはコメディアンあがりとか…。
こういう存在、大事なんですよねぇ。