映画レビュー0238 『道』

ここからしばらくは、アカデミー賞絡みの映画が多くなりそうなんですが、今回はかねてより観たかったこちらの作品でございます。「午前十時の映画祭」上映作品。

そしてまたもや「お恥ずかしながらシリーズ」初フェリーニ。

La Strada
監督
脚本
フェデリコ・フェリーニ
出演
ジュリエッタ・マシーナ
リチャード・ベイスハート
音楽
公開
1954年9月22日 イタリア
上映時間
104分
製作国
イタリア

道

助手の女性が死んでしまった旅芸人のザンパノは、彼女の姉妹を連れ去り、また同じように助手として旅を続けるが、粗野で乱暴者のザンパノは行く先々でトラブルを起こす。

隠喩色強め。

6.5

これまた歴史に名高い名作なだけに、僕のようなチンコ野郎が云々説明する話ではないですが、簡単にご説明すると、粗野で乱暴な旅芸人とやや障害を抱えている風な頭の弱い助手の旅を描いた映画で、ロードムービーの一種と言っていいでしょう。

そこにもう一人、キーマンと言える綱渡りの芸人が出てくるわけですが、どの登場人物も(名前の由来がもうすでにそうみたいですが)確信的に隠喩的な役割を持っていて、“道化もやる旅芸人”という職業からも「ああ、これは道化そのものなんだな」と感じさせる物語。つまり、悪と善の交わり、その結末を人を用いて描いた、という話なんでしょう。

…と説明しちゃうと味気ない話になってしまいますが、当然物語を彩るのは普通に生きている“人”なわけで、その“人”の人生を見つめる視点で観客は観るわけですが、個人的にはやっぱり時代性もあるんでしょうが、ちょっと登場人物の役割が「そのものすぎる」ニュアンスが強くて、もう少し二面性とか複雑な人物像が欲しかったな、という印象。

もっとも最後の最後でザンパノがそういう部分を見せて、それがこの映画の味わいにつながっていくんですが、ただちょっとその展開自体も今の時代からすれば哀しいかな大体「こうなるだろう」と予測がついてしまうものなので、当時リアルタイムで観た人たちと比べれば、どうしても感情が追いついていかない寂しさがありました。

一つ、本当に極私的な話で、かつあんまりこういう場所に書くのもどうなんだと思うことではありますが、この映画を評価する上で外せない話として。正直なところ、ザンパノのキャラクターがどうにも親父とかぶるんですよね。自分の親父と。粗野で乱暴者で頭使わないダメ人間、っていう。

とにかく小さい頃に見ていた親父そのもので、その頃のトラウマのような思い出だったり、今まだ抱く憎しみであったり、そういう感情がどうしても表に出てきてしまって、最後のシーンも素直に受け取れないというのがまた寂しかったというか…。

安直に例えるべきことではないとは思いますが、例えば幼い頃にレイプされた経験のある女性が、同じような男が出てくる映画を観たらやっぱり気分が悪いと思うんですが、それに近い嫌悪感みたいなものをどうしても感じてしまって、そこが自分でももったいないなぁと思いましたね。

さすがに僕もそこまでナイーブでもなければ純粋でもないので、あくまで「ホンのちょっと」ではあるんですが、それでもちょっと僕の中では、ご登場願うにはご勘弁いただきたいタイプの人物なので、このことでこの映画を客観的に観られなかった悲しさというのはかなり大きかったです。まあ、そういう意味ではある種リアルではあったんですが…。

ただまあこれを読む人からすれば「ほんとに知らねーよ」って話だと思います。今回はこんな青臭いレビューで(いつも以上に)本当にごめんなさい。

このシーンがイイ!

モノクロの叙情的な絵は今観てもいいですね。いかにも映画だな、名作だな、って感じが。

で、その中で一つ、と言われれば、最後のサーカスでのザンパノの芸のシーンかなぁ。特になんてことないところですが、「本当にこの人は成長しないんだな、これしかできないんだな」って言う哀しさに溢れていて。残酷な絵だなぁ、と…。

ココが○

もーやっぱり何と言ってもニーノ・ロータの音楽でしょう。やっぱりこの人の音楽はいい。こういう雰囲気に抜群に合う。また使い方もうまいですよね。歌の。

ココが×

やっぱりどうしても時代性というのは感じてしまう部分があって、そこは主題とは別の部分なので関係ないと言えば関係ないんですが、でもやっぱり今の時代の観客への届き方がちょっと違うのかな、という気はしました。

それこそ「二面性」であったり「複雑さ」であったり、元々(僕を含め)観てる側がそういう人間ばかりになってきている時代なので、純粋にこの映画のありのままを受け入れるほど素直じゃ無いな、という哀しさがまたありました。

ただ、ある意味ではそういういろんな部分の「哀しさ」を感じるにはかなり素晴らしい映画だとは思いますが…。

MVA

ほぼ演者は3人に限られるので、その中でどの人か、という話ですが…。

アンソニー・クイン(ザンパノ役)

とにかく「本物」にしか見えないんですよね。こういう生き方、こういう芸で食ってる人にしか見えない。役者だなぁ、と思います。

個人的な思いが入ったこともあって、なーんか憎たらしく見えたし。イコールいい役者さんだな、と。

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