映画レビュー0447 『ラスト・ベガス』
「LIFE!」以来になるでしょうか、久々の劇場鑑賞。
もーね、このメンバーが集って友情コメディ的な映画を作りました、と言われたらそりゃー映画ファンとして観ないわけにはいかないでしょう。
ラスト・ベガス
想像通り良くもあり、想像通り過ぎてもいて。
「ミッドナイト・ガイズ」とだいぶ似たコンセプトを感じるような、「俺たち歳とったぜ」という姿を名優たちが自然体で演じる爺ムービー。当然ながら「うわー、歳とったなぁ」と観る側が感じられた方がより感慨も深くなるわけで、個々の役者さんに思い入れのある人が観るべき映画でしょう。歳を取る悲しさと同時に、長年友情を育める男の良さ的なものも見えるし、やっぱり「ミッドナイト・ガイズ」同様、それなりの人生を歩んできた男性が最もフィットする映画ではないでしょうか。
もちろん女性でも楽しめると思いますが、細かい部分で「ああ、わかるわかる」って納得できるのはやっぱり男性かな、と。
ストーリーの面で言えば、「独身最後の夜にベガスでパーティを!」というのは本当にまんまハングオーバー!的ではありますが、設定が似ている以外は「爺版ハングオーバー!」というほど近いわけでもなく、さすがにあそこまでのコメディ感はありません。
ただ、内容的には「ハングオーバー!」よりも別の“それっぽい”ヒューマンコメディで観たことがあるような内容で、だいぶ既視感がありつつ、でもそれがまた良かったりもするのかな、という言ってみれば“外さない”友情コメディと言った感じ。
それだけに意外性も無ければ特に泣けもしなかったんですが、ただやっぱりほんのり「いいなぁ」と感じさせる温かさはあるし、何よりこの名優たちが揃って演じてくれているだけで映画ファンとしてはたまらないわけです。
でもそれはつまり逆に言えば、個々の俳優さんに思い入れがない場合「まあ普通だね」って感じに終わりかねない気もします。デ・ニーロって誰、みたいな人が観たりしちゃうと。まあ、そんな人がこんな渋い映画をチョイスしないとは思いますが…。
割とわかりやすい前フリでそれを予想通りに回収してくれる内容なので、本当に予想通りの映画なんですが、その予想通り=期待通りの感じがまた安心できる、落ち着けるという意味で裏切らないし、この映画はこれでよかったのかな、と思います。
ただ(特に序盤に)あまり惹きつける展開のうまさが無い気もして、この辺りはやや監督の力量不足を感じるような気がしないでも無いです。
正直、個人的にはこのキャスティングとこの設定では外れに近い評価で、「いやもっとできただろー!!」という思いがあったのも事実。あまり期待しすぎず気楽に観るといいのかなと思います。
でも、面白かったですよ。
このシーンがイイ!
回転ベッドのシーンですかねぇ…。ちょこちょこと良いシーンはありましたね。やっぱり役者がいいといろいろ映えるな、という気がしました。
ココが○
このキャスティングで友情コメディをやりまっせ、というそれ以上のものはないでしょう。いつまでも元気でいて欲しいものです。
ココが×
ベガス到着後の序盤の展開が結構いい加減というか、割とご都合主義的にいい方に転がっていくのが少し気になりました。登場人物の心理描写だったりが結構適当というか。コメディ(風)なので別にいいんですが、もう少し丁寧に描いてくれた方が後々良かったような気が…。
MVA
主要キャスト4人、みなさんさすがで。いやはや悩むところですが…。この人にしようかな。
ケヴィン・クライン(サム役)
奥さんから浮気公認ではしゃぐ爺さん。
何と言っても佇まいが良かった。みんな良かったですが、この人のおおらかな雰囲気が映画全体を包み込んでいたような感じが好きでした。
そう、「ファンダンゴ」の神父になる予定のでかい人! あの人っぽい感じ。この人あってこそのマイケル・ダグラスでありロバート・デ・ニーロだったかな、と。モーガン・フリーマンは相変わらずいつも通りで、それもまた好きではあったんですが。
ヒロインのメアリー・スティーンバージェンも久しぶりに観ましたが、60代とは思えないほどのかわいらしさが良かった!