映画レビュー0786 『そして友よ、静かに死ね』

おなじみネトフリ終了間際シリーズでございます。

いいですね、このうるさいタイトル。案の定、「あるいは裏切りという名の犬」でおなじみのオリヴィエ・マルシャルの映画だぞ、ってことで観ることにしました。

ちなみに同じフランス映画で、アラン・ドロン衝撃のカーリーヘアとしておなじみの「友よ静かに死ね」とは別の映画になります。

そして友よ、静かに死ね

Les Lyonnais
監督
脚本
オリヴィエ・マルシャル
エドガル・マリー
原作
『さくらんぼ、ひとつかみで』
エドモン・ヴィダル
出演
ジェラール・ランヴァン
チェッキー・カリョ
ディミトリ・ストロージュ
オリヴィエ・シャントロー
ダニエル・デュヴァル
リオネル・アスティエ
エチエンヌ・シコ
ヴァレリア・カヴァッリ
パトリック・カタリフォ
フランソワ・レヴァンタル
音楽
エルワン・クルモルヴァン
公開
2011年11月30日 フランス・ベルギー
上映時間
102分
製作国
フランス・ベルギー

そして友よ、静かに死ね

かつては伝説のギャングとして名を馳せていたモモンも、今は足を洗って家族と平穏に暮らしていた。ある日、幼い頃から彼にとっては兄弟同然の親友であるセルジュが13年間の逃亡生活の末に逮捕されてしまう。悩んだ末に彼の脱獄を手引したモモンだったが、麻薬組織を裏切ったために命を狙われていたセルジュをかくまったことで、モモンも危機にさらされてしまう。

渋み最高ながらラストが惜しい。

7.0
義に生きる男の悲しき友情物語
  • この手のフランス映画らしい渋さマックスで観た男は誰しも渋さアップが約束される
  • 創作多めっぽいものの主役は実在する人物という半フィクション・半ノンフィクションの犯罪映画
  • 基本おっさん勢がメインなので地味

観ていて「ゴッドファーザーとアノ映画を足して2で割った感じかな〜」と思ってたんですがその「アノ映画」がなんだったのかを忘れるという体たらくにより適切にご紹介できないというドイヒーレビューになります。

やっぱり観てすぐ書かないとダメだねとも思うんですが、ただそれなりに時間を空けたからこそ熟成される面もあると思うという言い訳により会社で書いております。

家ではね。レビュー書く時間をゲームとかに充てたいからね。(ダメ人間)

主人公は元伝説のギャング・モモン。響き的に可愛らしい名前ですが相当な大物ギャングだったようで、いまだにそれなりの権勢を振るっているようです。ちょっとでも舐めた口ぶりの若いやつなんてボコボコのボコですよ。即座に。

とは言え彼はもうギャングから足を洗ってかなりの日数が経っている(詳細は忘れましたがおそらく数十年)だけに、堅気の人間として普通に暮らしているわけです。奥さんも子供もいて、それなりに裕福で何不自由無いような状況のご様子。

そんな彼のもとに、幼少期から兄弟同然の親友として過ごし、またギャング時代も彼の右腕として共に生きてきた男・セルジュが13年の逃亡生活の末逮捕されたというご一報が。最初は「もう足は洗ったし家族に迷惑はかけられない」と関与しないつもりだったモモンですが、彼と同様に共にギャングとして活動していた昔の仲間たちが「刑務所で殺されるかもしれないしなんとかしないと」的な相談の後、やむなく彼を刑務所から出す計画を始動させます。

予定外のことがありつつも無事セルジュを脱走させたモモンはしばらく彼をかくまうことにするんですが、しかしどうもセルジュは逮捕以前にスペインの麻薬組織を裏切ったために命を狙われていたらしく、「セルジュの居場所を教えなければお前もただじゃすまんぞ」とモモンも彼らのターゲットにされる、というお話です。

んで、まあこの辺は周辺事情というか…どうやって逃げるかというようなお話が主体ではなく、メインテーマは男の友情です。

ヘマをして命を狙われることになった親友をかくまい、足を洗って平穏な生活を手にしていた主人公がまたも修羅の道に足を踏み入れるというその決断と、それを後押しすることになる過去の日々を通して彼らの強い友情を描きながら、真の友情関係と、ギャングとして、そして男としての矜持を見せてやるぜというなんとも熱いお話です。

物語はちょっとだけ幼少期(モモンとセルジュの出会い)を描きつつ、基本はモモンがギャングとして成り上がっていく現役時代の過去のお話と、引退後の現在のお話の2つの時代が交互に描かれる形で進みます。

現役時代の方がハゲとるやん、とか無粋なツッコミはやめましょう。過去モモンは髪型的にほんのりジョン・カザールっぽくてむしろグッと来ました。

この過去フェーズでモモンがいかにして家族を含めた現在の地位を築き上げ、そして彼にとってセルジュがいかに大切な存在なのかを知らしめてですね、現在になってこの2つを天秤にかけざるを得ない状況に追い込まれた彼の苦悩を丹念に描いていくわけですよ。奥さん。

ただモモンは“伝説”と呼ばれるぐらいなので相当な肝っ玉を持つ大人物らしく、あからさまに頭抱えて「ああ…」とかやるわけじゃないですよ。もちろん。だからこそその心中を推し量る楽しみがあるというか、「実力行使できる力を持った人物がどこまでその力を使おうとするのか」その辺のせめぎ合いになかなか味があるお話だなと思いました。

ただ核心はもちろんそれともまた違っていて、結局はどこまで行っても友情、そして男気がテーマのお話なんだと思います。この辺は詳しく書くと興を削ぐのでやめておきますが。

ネタバレになるのでここには書きませんが、1点だけ描写が違えばものすごくグッと来たのになぁという部分があって、そこがすごく惜しいしそこで損しちゃってる気はしたんですが、ただそれでもなかなか地味ながら味のあるハードでボイルドな映画だと思うので、「遊びのないシビアな男の物語が観たいぜ」的な気分には存分に応えてくれる良い映画だと思います。

しかしハードボイルドって聞かないよね。最近。意味もよくわかってないんだけど。

そして友よ、静かにネタバレ

1つ引っかかった部分、それはエンディングで「警察に囲まれていた」点。あそこに警察が大挙して押し寄せているのはもったいないと思うんですよね…。

あれだとモモンがセルジュを売ったことが明確になっちゃうじゃないですか。結局は自分が逃げる代わりに親友を売った、つまりは自分たちを売ったセルジュと変わんねーじゃんっていう結末になっちゃうのが…。

あれで警察がいなかったら、モモンが彼を警察に売る前に男らしい最期にしてやろうと「自殺させてやる」情を見せた、って終わりですごくかっこよく感慨深いものになった気がするんですよ。もしかしたらモモンもセルジュを売ったかもしれない、でもそうじゃないかもしれない、って含みを持たせてくれるじゃないですか。

ただ警察がいるともうはっきりとモモンが情報提供したのは決定的になっちゃうし、その上で「落とし前つけろよ」って言うのは結局モモンが一番得なだけというか。セルジュが自殺してくれればそこで彼との関係性は途切れるから後の憂いも無いしまた平穏な生活でヤッホー的な。

そこがねー。友情推しの物語としてはすごくもったいない気がしたんですよね。

「警察どうこうは関係ない、俺とお前の間でどういう別れを紡ぐのか、それが大事だ」みたいな価値観を見せて欲しかったなぁーーーーーーって残念でした。ものすごく。

もっとも実在する人物を描いた映画なだけに、実際もこういうことがあったのかもしれないので仕方がない終わり方なのかもしれないんですけどね。でもそもそも脚色入った物語なんだから警察が来てなかった話にしても構わないだろうし、そこはやっぱりエンディングだけに慎重にして欲しかったなぁ。

警察に囲まれてました、っていうシチュエーションにするメリットって無いと思うんですよ。

他の可能性としてはセルジュが逃げるためにモモンを撃つ、っていうパターンも作れますが、それはそれで(警察がいなければ)また味があるエンディングになるかもしれないのに、警察に囲まれている時点でそういう無謀なこともやる意味がなくなっちゃうし。

「警察に囲まれている」というシチュエーションのせいで全部に打算が見えてきちゃうのがとても惜しいと思うんですよねぇ…。

ちなみにネットで「タイトルがネタバレしてる」的な指摘をしている人がいたんですが、僕はこのタイトルは「最後まで観ればネタバレに見えるかもしれないけど、観なければネタバレにはならない」ギリギリのタイトルだと思うのでこれはこれで悪くないタイトルだと思うんですよね。

もしかしたら(上に書いたパターンとかで)セルジュからモモンに対しての「静かに死ね」かもしれないし。展開によってはいろいろ違う解釈もあり得るタイトルなので、このタイトル自体がネタバレだっていうのはちょっと酷かなと思います。

このシーンがイイ!

ラスト一歩手前のやり取りは好きです。それだけにネタバレ項で指摘した一点が悔やまれるんですが。

あとボコボコのボコにされつつ計画に混ざってくるクソ野郎はちょっと笑った。

ココが○

やっぱりねー、マルシャル節というか…この手の男臭い映画を作らせたらさすがの印象。重厚でハードでボイルドですよ。奥さん。

ココが×

エンディングの1点以外だと、やっぱり地味は地味ですよね。どうしても。おっさんだらけですからね。

内容的にもどうしても男性向きな気はします。こういうの好きな女子もいるんだろうけど、基本的には退屈に感じそうな気がする。

MVA

主役二人を演じたおっさんコンビはどちらもものすごく味のある雰囲気があってとても良かったんですが、どっちか選べってことで順当に。

ジェラール・ランヴァン(モモン・ヴィダル役)

一見すると優しそうではあるんですが、目つきが完全にカタギじゃない感もあり、能ある鷹は爪を隠す感がお見事でした。迫力ある雰囲気が良かったなぁ。

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