映画レビュー0905 『レモネード』

トルコチョイスその2。

今回は純粋な(?)トルコ映画のようで、その分期待も不安もより増幅されつつの鑑賞となりました。

レモネード

Limonata
監督

アリ・アタイ

脚本

アリ・アタイ
エルタン・サバン

出演

エルタン・サバン
セルカン・ケスキン
フンダ・エリイート
ルラン・アフメティ
ゼキル・シパーヒ

音楽

アフメット・ケナン・ビルギス
オカン・カヤ
タネル・ユジェル

公開

2015年4月24日 トルコ

上映時間

110分

製作国

トルコ

視聴環境

Netflix(PS3・TV)

レモネード

前半ゲラゲラ、最後はほっこり。普通の人による等身大のロードムービー。

8.0
今際の際の父に言われ、まだ見ぬ兄弟を探しに旅に出る男
  • 目的は早めに達成、そこから家に帰るまでの珍道中と帰ってからのいろいろ
  • 主人公二人のおっさんがどっちも善人ではないクセのあるタイプなのがリアル
  • 劇的なことは起こらないのがむしろ良い
  • 背伸びしない力の抜け具合が心地良い

あらすじ

おっさん二人の暑苦しいロードムービー。いやしかしこれがなかなか良かった。

ただロードムービー一辺倒というわけではなく、最後3割ぐらい(体感)は地元でのドラマが展開します。

主人公は若干バナナマン設楽統似のおっちゃん・サキップなんですが、彼が敬愛する父親が床に臥せった状態で「兄弟を探して連れてこい」と命じるわけです。「イスタンブールのダレソレが知ってるはずだ」と。

彼は仕方なく住まいのあるブルガリアからイスタンブールへボロ車で向かい、父に言われた人物を探した後に目的の兄弟・セリム(いかついクロちゃん感)を発見、無碍に断られつつも半ば強引に連れ出して病床で待つ父に合わせようとブルガリアへ向かうんですが、しかし道中いろいろあってなかなかすんなりとは帰ることが出来ずに…というようなお話です。

愛すべきオンボロ車

まずこの主人公二人の兄弟がですね…どちらもあまり賢い人には見えず、おまけにあんまり良いやつでもなさそうなんですよ。

クロちゃんの方はいかにもDQNっぽい横暴さで同行を拒否し続けるし、設楽の方もやっぱりそこかしこにDQNっぽさが漂っていて正直仲良くなりたいタイプではないという。

そんな二人が…当然ながら基本的に衝突しながらも、「出発しちゃったからしょうがない」とばかりに惰性でブルガリアへ向かう様を見届けるようなお話が前半戦です。

普通に考えればどっかで物別れしてもおかしくないぐらいに水と油感が強い二人なんですが、そこを「仕方なく」一緒に行動させるフックとなるオンボロ車が良いですね。

ちょっと見た目はあの悪名高いトラバントっぽい感じでとにかくボロい。途中で無理矢理走るようにするエピソードなんか爆笑モンでひどいです。あれ実際は無理だろ…。

そんなオンボロ車でゆっくりブルガリアへ向かい、到着したところでまた一悶着あるわけですが…まあその辺は観てくださいましねということで。

二人とも本当に普通の人なのがいい

ロードムービーパートではトラブルも頻発し、それへの対応のひどさでゲラゲラ笑えるコメディ感も強いんですが、その旅も終わる後半戦では物語も比較的落ち着いて、今度は「中年になってから存在を知らなかった兄弟に初めて出会った二人」とその家族の姿に焦点が当たっていきます。

二人にとって急に現れた兄(弟)なので、当然ながらよく知らないし、親しくなれるような関係性も作れていない。

それでも来ちゃった&連れてきちゃった以上は道中同様に関係性を作るしか無いわけで、「あまり知らない親戚の集まりに顔を出す」ような気まずさを漂わせながら、これまた劇的なエピソードもなく少しずつその関係性に“慣れて”行く二人の姿を見つめることになります。

この辺の生々しさがすごく良くて、嘘くさくない等身大な物語に結構ほっこり癒やされましたね。

いい歳になってからそんなこと言われても…という至極真っ当な戸惑いを丁寧に見せてくれるお話です。

たまにはトルコもいいじゃない

ということで今回は(僕がロードムービー好きということもあり)前回の映画以上にアタリの印象。

いやはやホントにトルコ映画もやるやないか、と。変な先入観を持たずに観てもしっかり普通に観られるなかなかの良作でした。

ものすごく突出したオススメポイントがあるわけでもないんですが、しかし普段あまり観ない国の映画だからこそ細かい部分で新鮮に感じるような文化や風俗の違いが伺える楽しさもあるし、たまには日本で一般的ではない国の映画を観るのも良いなと思いますね。

このシーンがイイ!

「知らない風俗を知ることができる」という意味で、道中描かれた結婚式のパートでしょう。ここすごく好きだったなー。

日本の結婚式は持ち出しが多いですが、この結婚式はむしろいろいろもらえて羨ましい。縁ないけど。

っていうかこっちの方が「結婚を祝われる」あるべき姿のような気もするなぁ。

ココが○

前半はなかなか笑わせてくれるし、終盤はほっこりさせられるしでいかにもロードムービーを観てます感が好きですね。

ココが×

特段観客に響く大きな出来事は無いので、なんとなく静かに終わっていくような印象はあるかもしれません。

そこが良いとも言えるんですが、その辺考えると大人の映画だとは思います。地味だし。

MVA

主演の二人ともクセがある感じが逆に良かったんですが、どちらか選ぶなら…こっちかな。

セルカン・ケスキン(セリム役)

連れて行かれるいかついクロちゃん。

すごくガサツでマジでお近付きになりたくない感じなんですが、徐々にいいヤツなんじゃないか感が出てくる雰囲気が良かったですね。

あと名前わからないけど主人公兄弟のおじさんも良かったな〜。酔っ払いなんだけど。こういうおじさんがいると親戚の集まりのときに救われる気がする。

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