映画レビュー1175 『リトル・ヴォイス』

今回もJAIHOより。JAIHOではアジア映画を観ることが多いような気がしつつ、今回はイギリス映画です。

リトル・ヴォイス

Little Voice
監督
脚本

マーク・ハーマン
ジム・カートライト

原作

『The Rise and Fall of Little Voice』

出演

ジェーン・ホロックス
ユアン・マクレガー
ブレンダ・ブレッシン
マイケル・ケイン
ジム・ブロードベント
フィリップ・ジャクソン

音楽

ジョン・アルトマン

公開

1999年1月8日 イギリス

上映時間

96分

製作国

イギリス

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

リトル・ヴォイス

ただのサクセスストーリーかと思いきや…。

8.5
引きこもり系女子、歌がうますぎてスカウトされる
  • 毒親の元で引きこもっている女子、偶然居合わせた芸能関係者に歌を聞かれスカウトされる
  • ハンパでない引きこもりパワー vs ハンパでない歌のうまさ
  • イギリスらしいサクセスストーリーかと思いきや…?
  • 御大のレアシーンも拝める御大ファン必見

あらすじ

本来評価すべき部分とはズレるとは思いますが、最近俳優引退の噂が流れた(その後代理人が否定)マイケル・ケイン御大の結構レアと思われる「とあるシーン」があり、それだけでも僕としては大満足でした。御大好きは観るべき映画の一本と言っていいでしょう。

母と二人暮らしのLV(ジェーン・ホロックス)は、好きだった父が亡くなって以降母ともほとんど口を利くことも無くなり、家に引きこもって父が残したレコードを聴いて過ごす日々です。母マリー(ブレンダ・ブレッシン)との仲もあまりよろしくない模様。

ある日マリーがショービジネスのプロモーターであるレイ(マイケル・ケイン)といい感じになって自宅に連れ込んできますが、相変わらず引きこもりかつコミュ障のLVは紹介されるもさっさと自室に戻ってレコード鑑賞、それに合わせて歌を歌ったところ「これはスターの歌声だ…!」とレイがご執心。彼女をなんとしてもデビューさせ、スターにするんだと意気込みます。

彼は仕事仲間であり場末のショーパブ的な店のオーナー、ミスター・ブー(ジム・ブロードベント)を巻き込んで、彼の店からキャリアをスタートさせようと動き始めますが…あとはご覧ください。

母親と娘、どっちも重要

上記あらすじではまったく登場していないキャラとしてユアン・マクレガー演じるビリーが出てきますが、彼はあまり話の本筋に必要ない微妙な立ち位置だな…と思ったら原作には出てこないオリジナルキャラだそうで。なんとなく納得。

ただ使い所としては悪くも無いので、それなりに意味のあるキャラクターとして存在してはいます。いなくても良いような気はしたけど。

これもいろいろ書くと興を削いでしまうのであまり書けないところなんですが、「キラキラサクセスストーリーいいよね〜」なんてのほほんと観ていたらそう単純な話でもなく、結構意外な展開を見せたところが個人的にポイント高かったです。

もちろん「ありがちサクセスストーリー」でも十分評価に値する良さもあったんですが、「そうではない」ところにこの物語の価値観が込められていて、そこにいろいろと考えさせられる面もあってそこが良いなと。

まあ主人公が本当に極度の引きこもりなだけに、一筋縄では行かないであろうところも予想はしていたんですが…なるほどと。あとは観てもらって系ですけども。僕としてはそこが非常に良かったなと。ええやないかと。思ったわけです。

ちなみにこの映画は元々(原作)は舞台だそうで、主演のジェーン・ホロックスも舞台からスライドして主演しています。

彼女の歌があってこそ…かどうかはわかりませんが、確かに説得力のある歌声とパフォーマンスはお見事でした。

役的にはかなり若そうな役なんですが、時折「ちょっと無理あるかも…」と思っちゃうようなシーンもありつつ、とは言え30代半ばでこのフレッシュさはすごいなーと感心。ちょっとコミュ障感がオーバーな気はしましたが…。

また物語のキーマンとして、LVとソリの合わない母親・マリーの存在が大きい物語でもあるんですが、彼女がまあものすごく強烈なのでそこで合わない人は合わなそうではあります。こんなBBAいねーよとか。あとは毒親すぎてつらい、とか自分の経験と重ね合わせてつらくなる人もいそう。

ただそれだけ存在感があり、また彼女あってこその物語なので、少々“劇っぽい”人物像ではあるものの、そこがまた90年代の映画っぽくていいじゃない、と僕なんかは思いますね。多分今の時代ではこういう話って作られない気がします。母親のキャラ含めて。

ラストの評価次第

あとはもうやっぱり御大ですよ。端々に御大の良さが出ている御大ファン必見の映画です。

密かに「ミスター・ブー」を演じたジム・ブロードベントも地味に強烈で、とてもブリジット・ジョーンズのお父さんだとは思えません。そんなところも含めてイギリス映画好きにはたまらない面がありました。

欲を言えばもう少しステージシーンが観たかったなとは思いますが、ドラマとしては必要十分ではあるし、何より想像と違った展開のおかげで「なるほど〜」と感心するように楽しめました。

評価するか否かはラストの展開が気にいるかどうかが重要かなと思いますが、そんなわけで僕は好きでしたね、この映画。

ネタバ・レイス

初ステージ大成功でトントン拍子…かと思いきや「一回きり」が本心でまさかのバックレからの御大ご傷心ソング、最高でした。マイケル・ケインが歌ってるところ初めて見ましたね。しかもあんなヤケになって。It’s Overですよ。

とは言え御大が(勝手にとは言え)今までの私財もつぎ込んでセッティングしたすべてをご破産にするコミュ障パワーもまた相当なもので、普通だったらもうちょっと気を使ったりするんじゃないのと思ったりもしますがそれもしないからこその彼女、なんでしょう。

あとはやっぱり母親・マリーからの卒業、旅立ちも当然意識にあって、このままうまく行ったところで母親の支配下のままでいることは我慢ならない、それこそ鳩のように羽ばたきたいからこそのバックレと言うことなんでしょう。

凡人からすればせっかく一流になれる才能がありながら、それを反故にしてしまうある種の我の強さはもったいない気もするんですが、それだけ母親との確執が大きかったんでしょうね。

歌の才能を発掘されたスター誕生物語かと思いきや、実は母親からの旅立ちがテーマのお話だったとは…やられました。

このシーンがイイ!

これはもう御大のアノシーンでしょう。初めて観た。

ただ終盤の話でもあるし、いろいろ書くとこれまた興を削いでしまうので詳細は伏せておきます。

ココが○

短絡的な物語ではない点。そこに尽きます。

ココが×

上に書いた通り、母親が少し引っかかる人はいるかもしれません。

あとは終盤の展開についての好みの問題かな、と。

MVA

御大が最高だったんですがまあいつものことでもあるし、今回はこの方に。

ブレンダ・ブレッシン(マリー・ホフ役)

お母さん。強烈。

終始飲んだくれてガサツな感じ、昔はよくいたような気もしますがもう今となっては絶滅危惧種な気がする。その雰囲気含めてお見事でした。

向かいに暮らす彼女の友達がいい人で好きだったんですが、その友達へのマリーの扱いがぞんざいでまた気の毒。それも含めて強烈だったんですが。

主演のジェーン・ホロックスは役柄上ほぼすっぴんで演じていて、それでもなかなかかわいくて良かったんですが、きちんとメイクして歌っている(同時期の)別の動画を見たら当然ですが歳相応に美人さんで全然イメージが違ってそれも良かったことも書いておきたいと思います。

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