映画レビュー0426 『インポッシブル』

この映画、映画ファン的には結構噂を耳にする機会があった映画ですが、テーマがテーマだけにあまりマスメディアでは取り上げられなかった印象があります。

評判も良いようなので借りてきました。アメリカ映画だとばかり思ってましたが、スペイン映画なんですね。

インポッシブル

Lo Imposible
監督
脚本
出演
サミュエル・ジョスリン
オークリー・ペンダーガスト
音楽
公開
2012年10月11日 スペイン
上映時間
113分
製作国
スペイン

インポッシブル

クリスマス休暇にタイへやって来た一家。プールで家族楽しく遊んでいたところに、地割れのような音とともに津波がやって来る。

覚悟の上、ぜひ観て欲しい。

8.5

2004年のスマトラ島沖地震による津波に襲われた、スペイン人一家の体験を元にした映画です。

バカンス中に津波に襲われ、一家の誰が助かったのか状況もわからないまま生き延びようと努力し、また家族を探していくという物語なんですが、まずオープニングの津波のシーンがですね…。「ヒア アフター」の時もすごいなと思いましたが、今作はそれを上回るほどの迫力とリアルさがあって、本当にどうやって撮影したのか想像できない、映像だけのインパクトも相当なものがありました。

最初にしばらく波にのまれながら生き延びようともがくシーンがあるんですが、これは本当に俳優さんたちも大変だっただろうし、その再現性だけでもとてつもない映画だな、と思います。

物語に関してはもう何を書いてもネタバレになりそうなこともあり、また詳細をどうこう語るようなものでもないので観ていただくとして、当然ながら「津波」というテーマである以上、日本人としては先の大震災を考えずにはいられないわけです。

事実、主演の二人が日本向けに大震災を念頭に置いたメッセージも寄せていたそうですが、内容もまるっきりそのまま日本で起こっていたと考えていいような内容で、細かい部分は創作だとしても、同じような状況を経験した人はこのスマトラ島沖地震の時でも、日本の大震災の時でもいたでしょう。医療体制に関してはもう少し日本の方がまともだっただろうと思いますが、それでも細かい部分、家族を探す人たちであったり、遺体と対面して確認する作業であったり、電話をしたくても出来なかったり、そういったいろいろな部分は本当にリアルで、福島の人たちにとってはすべてが生々しすぎて、今もってしてもなかなか直視できない内容ではないかと思います。

津波のシーン含め、まだ自分自身トラウマを消化できない、というような方は観る前によくよく考えて、心して観た方がいいでしょう。

僕はテレビで津波を観ていただけの人間ではありますが、それでもやっぱり見るに耐えない、しんどい場面も結構あって、今も仮設住宅で暮らす人たちがいることも考えるとなかなか複雑な思いを抱かずにはいられない映画でした。

もーね、本当に「東京オリンピックだー」なんつって「お・も・て・な・し」なんつって盛り上がってる連中、バカじゃねーのと。先にやることもっとあるだろ、と。他国が作った映画でそう思わされる哀しさったらないですよ。あらゆることを忘れやすい国民性、本当に惨めなものがあります。

この辺の話を掘り下げると終わらなくなるので置いといて、「津波」「自然災害」という部分を除いて、こと映画としてドライに批評するとすれば、やっぱり「生と家族のドラマ」なんていうのは外しようがないし、ベタですが泣きますよね。そりゃあ。今年一番泣きましたよ。もう。

基本的にはヘタに引っ張らず、劇的にしすぎずという“キモ”のシーンは好感が持てたし、素直に感動させてくれるいい物語だったと思いますが、ただ唯一不満は劇伴。

ちょっとハリウッド寄りの大仰な印象が強く、盛り上げといてパタッと音を切る、みたいなシーンもちょっと狙いが見えて残念。映像と出演者の熱演がかなり高いレベルの映画なので、もうそこに託して劇伴は本当にひっそりと、クリント・イーストウッドのような自己主張を抑えたものでよかったように思います。そこが本当にもったいない。

総評としては、経験やトラウマに左右される面はあるものの、日本人なら一度は観て、受け止めて欲しい物語だなと思います。

「泣いたー感動したー」だけで終わらない、例えば有事の際に自分がどう立ち回れるのか、そういう人間性の部分も教えてくれる物語だと思うので、それこそ家族で観てみてもいいかもしれません。

このシーンがイイ!

ダニエルがマリアの頭を撫でるシーン。あの時点でもうダメ。泣いちゃうよそりゃあ。

ココが○

とにかくこの映画は演技。抜群に良かったです。子役含めて5人家族、全員パーフェクト。

大人の二人はともかく、子供もすごく上手くて、いいオーディションしたのね、と。

ココが×

上に書きましたが、劇伴だけが残念。後は特に不満ありません。

MVA

というわけで全員素晴らしかったんですよ。俳優さん。ナオミ・ワッツなんて綺麗だったの最初だけなんですが、ある意味で女を捨ててがんばってました。しかしこの人、40代後半とは思えませんね…。全然30代前半ぐらいに見えるぐらい美人。そして演技はパーフェクト。素晴らしいキャスティングだと思いますが、今回はこの人。

トム・ホランド(ルーカス役)

長男。

一番動きのある役だったこともあり、ある意味で陰の主役なんですが、まあ若いくせに上手いこと上手いこと。

いろいろと複雑な時期なだけに、生意気だったり素直だったりある意味で忙しい年頃の役なんですが、その辺見事に演じていたと思います。今後も期待ですね。

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