映画レビュー0606 『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』

その作りから、一部映画ファンの間で話題になっていた映画。借りてきました。

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分

Locke
監督
スティーヴン・ナイト
脚本
スティーヴン・ナイト
音楽
ディコン・ハインクリフェ
公開
2014年4月18日 イギリス
上映時間
85分
製作国
イギリス

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分

建設工事の現場監督として周りから信頼されているアイヴァン・ロック。彼が去年、たった一度、犯してしまった過ちが見事にドストライクを記録してしまったことで40代の地味な女性が出産することになった。仕事を終えて高速を飛ばし、彼女の入院先へ向かうロック。大事な仕事も捨て、同僚や家族と連絡を取りながら、ひたすら走る彼だが…。

シチュエーション限定すぎてさすがに飽きる。

6.0

タイトル通り、86分(上映時間は85分っぽいですが)、ずーっと高速で走る男を映すのみの映画で、出てくる役者はトム・ハーディただ一人。オープニングにチラッと他の現場作業員みたいな人影があったような気がしないでもないですが、後はもう本当に全編トム・ハーディのみ。彼も今や結構な大スターではありますが、とは言えたった一人なだけに、気持ちが良いほどの低予算映画感が満載です。

そのトム・ハーディ演じるアイヴァン・ロックは、建築関係の現場監督としてかなりの信頼を置かれていると思しき人物。責任感が強く、自分が正しいと思うことをしっかり遂行できる男のようです。

そんな彼が仕事終わりに高速を飛ばし、どこかへ向かうところから映画スタート。どうも数ヶ月前にたった一度浮気をしてしまい、おまけにそれが見事にズバリ的中してしまい、子供ができちゃったんだけどおろしたくないわ、という彼女に対し、彼なりの誠意なんでしょう、「愛してない」と言いつつも出産に立ち会おうと車を飛ばすロック。

その間、妻に事情を説明しようと家に電話をかければ取り乱され、また翌日は大事な大事な基礎工事の日であるにもかかわらずすっぽかすことにした尻拭いとして、経験の浅い同僚の一人に電話で仕事をレクチャー、さらに(おそらく)上司であろう人物にこれこれこういう理由で明日の仕事はすっぽかすぜ、と業務連絡したらクビだと怒鳴られ、「でもこんな困難でも俺は逃げないぜ、親父」とかつて自分を捨てた父の幻にいきり立つ、という90分弱。

そう、なにせシチュエーションは「運転中の車内の一人」に限定されるので、どうしたって話の進展は「電話」に限られます。もうひたすら電話、電話、電話。

家に電話をかけ、切ったら職場から電話、その最中に浮気相手から電話が鳴って…の繰り返し。これを一人で演じ、男の状況や立場、考え方や人となりを表現するトム・ハーディの演技力と脚本は大したものだとは思いますが、しかしいくらなんでも同じ絵面が続き過ぎて面白みに欠けるのは事実でしょう。

一応、「電話だけ」の回避のために…なのかはわかりませんが、後部座席に見えると思われる父親の幻に、「俺はお前とは違うんだ」と語りかけるシーンもちょくちょく出てはきますが、その「父親の幻にイキる男」という構図自体なんというか空々しい部分もあり、また「電話だけだとアレなんで」という裏もしっかり見えちゃうだけに、興ざめしてしまうのも仕方ないかな、と。

低予算で変わった映画を、という文脈で作り上げたのかはわかりませんが、確かに今まで観たことがないものだし、試みとしては面白いとは思います。でもやっぱり…飽きる。

おまけに核となる題材が「男の生き様」的な、なんとも地味で、かつ評価が観ている人の価値観に委ねられる内容なだけに、ぶっちゃけ正直な気持ちとしては「このやり方で行くにしてはテーマが渋すぎるだろ…!」というのが一番の感想でございます。

終わり方も「あ、ここで終わるのね」という感じで、最後まで特に劇的な展開もありません。ただ、その終わり方に主人公アイヴァン・ロックの選択の余韻を感じさせる良さも感じました。

が、しかし絵面もテーマもとにかく地味。短い映画ですが、それでもちょっと長く感じるほど、さすがに「電話だけ」のドラマは少しキツイ気がします。

まあ、とは言え「つまんねー映画だな」というわけでもないので、一度観てみてもいいと思います。でも繰り返し観たくなるような映画では無いかな…。

このシーンがイイ!

なにせ絵面はほとんど変わらないので、特にここが、っていうのは無いんですが、会話の中で「コンクリートがC6じゃ無かったらどうするんだ?」みたいなやり取りは妙にシュールで面白かったですね。狙ってるとは思わないんですが、笑っちゃいました。何だこのやり取り、って。

ココが○

新しい表現を考えて実現した、っていう一点でもう称賛に値するかな、と。トム・ハーディというキャスティングも良かったと思います。

ココが×

まあなんと言っても飽きる。

それが潔いとも思いますが、なにせ走る主人公以外の要素は見せないように徹底しているので、トム・ハーディ以外の絵面と言えば、車の側面や高速道路という「車周辺の映像」のみ。当然、電話相手の姿も一切出てこないし、回想シーンの類も無い。無いから良い、のも事実だと思いますが、とは言えやっぱり飽きる。

MVA

まあもう選びようがないので順当に。

トム・ハーディ(アイヴァン・ロック役)

ブラックホーク・ダウン」や「レイヤー・ケーキ」にもチョイ役で出てましたが、やっぱりこの人は「インセプション」で名を上げたと思うんですよね。そこから一気にスターになった感じ。

最近はこの映画みたいに、演技派としてしっかり実力もあるぜ、と見せに来ているような印象。とても良かったです。

ちなみに電話相手として、仕事を任せる少し頭の弱そうな部下がアンドリュー・スコットだそうで。ああいう話し方できるのか、とちょっとビックリ。もっとプロレスラーのようなでっかい身体のオッサンかと思ってました。

それと息子(多分上の方)が新生スパイディでお馴染みトム・ホランドだそうで、これまたなかなか映画ファンとしては楽しめる(電話)キャスティングだったかな、と。

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