映画レビュー0726 『ローガン・ラッキー』
あの「オーシャンズ」シリーズのソダーバーグ監督がいよいよ復帰、しかもまたも強盗モノ…ということでそりゃー観に行かないとバチが当たるべや、と観に行って参りました。ヤボヨーがあったために超久しぶりに有楽町にて鑑賞。劇場がデケェ。
なんと前回有楽町で観たのは「ワールド・オブ・ライズ」なのでほぼ9年ぶり、このブログを始めた直後ぐらいのことなので久々感がよくわかります。
そりゃ歳も取るわ。
ローガン・ラッキー

ちょっとテクニックに走りすぎ。
「オーシャンズ」を引き合いに出すまでもなく、僕はソダーバーグ監督の映画ってすごく好きなんですよ。おそらく世の中的な評価以上に好きだと思います。
だもんで復帰はめちゃくちゃ嬉しかったし、おまけにむちゃくちゃ面白そうな映画だったのでかなり期待していたんですが…。ちょっと期待しすぎだったかもしれない。面白かったんですけどね。
筋を素直に読ませないように込み入った作りにして、“観客も騙しの対象”にしている辺り、感覚的には「オーシャンズ12」に一番近い印象の映画でした。もう少しストレートに作ってほしかったなぁと思いますが、この辺は個人差ありそうな気もします。
概要おさらい。
タイトルの「ローガン」とは二人の主人公、チャニング・テイタム演じる兄、ジミー・ローガンとアダム・ドライバー演じる弟、クライド・ローガンから来ています。
さらに気付けば計画に参加している二人の妹、ライリー・キーオ演じるメリー・ローガンもチームメンバーとして登場。
そして彼らが白羽の矢を立てる金庫破りのキーマンがダニエル・クレイグ演じるジョー・バングなんですが、ジョーは服役中の身のため、ジミーは「刑務所にバレずに外に連れ出し、強盗を終えたらまた戻ってくる」という無謀な計画を立てます。一応ジョーもその計画にOKを出すんですが、ただ自分が服役を終えるのは半年後のため、それまでローガン兄弟が黙って自分の分け前を残しておいてくれると信用するほどお人好しじゃないということで、自分の弟であるサムとフィッシュの二人を計画に入れろと要求します。
ってなわけでローガン兄弟3人+バング兄弟3人の計6人で強盗をするぞ、というお話なんですが、彼らがまあいわゆる末端でくすぶっている感じのデキの悪い方々なので、どうにもうまくいきそうな雰囲気がないわけです。
特にジミーの弟二人なんてマヌケ感がとんでもなく強いので、絶対こいつらが足引っ張るだろ的な。プロを集めて華麗に盗みを遂行した「オーシャンズ」の面々とは似ても似つかぬダメ人間たちがお送りする強盗作戦、はてさてうまくいくのかどうかお楽しみに〜! といった感じでしょうか。
話の筋から言えば面白そうではあるし、実際面白いっちゃー面白いんですが…ちょっと素直じゃないんですよね。作りが。
昼食後というのもあったとは思いますが、特にオープニングからダニエル・クレイグ登場まではもう眠くて眠くて…なんでこんな入ってこないのかな、って不思議なぐらいに映画の世界に入り込めない時間が続きました。
なんかいちいち意味深でいちいち読ませない作りに寄せているような感じで、少し復帰作故の気合いが空回りしているような気がしないでもなかったです。強盗始めるまでまではもっとサクサクテンポよく、わかりやすいご紹介を交えて映画の入り口を広めに取っておいて良いと思うんですけどね。
なーんか気取ってるし真意が読めない会話が続くしで、これ危ないんじゃないかなーと思いながら観ていました。
その感覚は割と終盤までずっと続き、とにかく斜に構えたフリのセリフと読ませまい読ませまいとする込み入った展開、意味深だけど実はそんなに意味がない登場人物のやり取りと言ったもので内容を読み取らせないような作りにしている印象。
最終的にはいろいろ結びついて「なるほど」とはなるものの、計画の作り的にそこまでカタルシスを感じさせるものでもないので、「ああ、なるほどそういう話か…」と思いつつもなーんか煮え切らない感じでモヤモヤしたまま終わりました。
くどいようですが、話自体は面白いんですよ。最後まで観ればなるほどなんです。でも、そこに至るまでのいろいろがあまりにも変化球ばっかりで上滑りしている感覚もあるし、物語の行き来を含めて全体的にテクニックを主張する感じの展開という印象が強いので、どうも素直に入っていけないまま終わりました。綺麗に見せようとしすぎているというか。
この辺「マネー・ショート」に少し近い気がします。ああいう雰囲気。
それと、動機の部分で必要とは言え、テクニックに走った作りの割にジミーの娘とのエピソードがベタに展開されるので、だったらここいらなくね? という気がしないでもなかったという。
サラッとかっこよく、でも登場人物たちはマヌケで笑えるセンスある作りに見せようとしている割に、その娘のパートだけちょっとウェッティというか。そこがもったいなかったような気がします。
ジミーが唐突に惹かれるキャサリン・ウォーターストン演じる後輩の存在もすごく微妙だし、その辺ちょっと絞りきれていないテクニック感にまたモヤモヤが残る感じ。うーん、僕だけなんでしょうか…。
とは言え面白かったのでそれなりには満足はしました。良い役者さんも多かったし。でももうちょっとデキたんじゃないのー? っていう気持ちもまた強く。
なんでしょね。二度三度観る前提、観てね前提の作りっぽいので、そこが僕としては気に入りません。一発でグワッと来るような映画が良かった。そしたらまた観たいと思えたのに…。
まあ、きっとそのうちまた観ますけどね!
このシーンがイイ!
これはやっぱり…カプセルが戻ってくるところでしょう。劇場でも一番笑いが起きてましたね。あそこ。
ココが○
マヌケたちによる強盗っていう愛すべき世界みたいなのはすごく好きです。等身大の人たちが主人公っていうのは。
あとは期待からいろいろ文句をぶちまけましたが、基本的には面白いのでそこは良かったかなと。
ココが×
やっぱりもうちょっと気取らないで欲しかったですね。それがすべてだと思う。
“解決編”の内容にしても、そこまでビシっと「おお、そういうことか!」というような話でもないだけに、気持ちよさがだいぶ薄いのが残念。
MVA
キャストは皆さんとても良かったですね。
チャニング・テイタムは今まで観た中で一番良かったと思う。ブルーカラー的な雰囲気がバッチリ。アダム・ドライバーもカイロ・レンより全然似合ってました。抑揚のない役ではあったけど。キャサリン・ウォーターストンもやっぱりかわいくて良かったし、後半登場のあの人も似合いすぎてて最高。「おお! 出し惜しみしていい人使うねぇ〜」と嬉しくなるご登場。
とかなんとか言いつつも結局この人にしようかなぁ。
ダニエル・クレイグ(ジョー・バング役)
金庫破りの天才的な服役囚。
ワルなんだけどすごみがない小悪党感が良いですね〜。ギリギリ悪いやつじゃなさそう感が。ちょっと抜けてそうだし。
何より007の時と違ってなーんか楽しそうだったんですよね。そこが良いなーと。やっぱり優等生な役ばっかりじゃ飽きちゃうっていうのもあるのかもしれません。こういう路線のダニエル・クレイグもいいですねぇ〜。やっぱりちょっとスティーブ・マックイーンっぽい。


