映画レビュー1623 『エクスタシー』

これを書いているのはお盆休み直前なんですが、お盆休み特別企画として「配信にないステイサムを観よう」と決めまして、またステイサムかよと思われつつもTSUTAYA DISCASで6本ほどレンタルしたので今後6本はステイサムが続きます。またステイサムかよ。
基本的にどれもさして評価が高くないので入口から「大して面白くない映画を6本続けて観るのか…」とちょっとしんどさを感じつつ、まずはこちらから。

エクスタシー

London
監督

ハンター・リチャーズ

脚本

ハンター・リチャーズ

出演

ジェシカ・ビール
クリス・エヴァンス
ジェイソン・ステイサム
ジョイ・ブライアント
アイラ・フィッシャー
デイン・クック
カット・デニングス
ネッド・ベラミー
ケリ・ガーナー
ジェフ・ウルフ
ジュリエット・マーキス
ポーラ・パットン
ソフィー・モンク
リナ・エスコ

音楽

クリスタル・メソッド

公開

2005年9月3日 カナダ

上映時間

92分

製作国

イギリス・アメリカ

視聴環境

TSUTAYA DISCASレンタル(DVD)

エクスタシー

男なんてこんなもの。

7.5
元カノ送別パーティーに呼ばれてもいないのにやってきた未練タラタラの元カレ
  • 直前に知り合った男とパーティーにやってきた元カレが、ウダウダ元カノへの未練を語る90分スペシャル
  • 二人はほぼ広めのトイレ(バスルーム)にこもってドラッグをやりながらたまにゲストが来て話すだけ
  • ステイサムはなんと激レア七三分けでさながらジョニ男・ステイサム
  • 当時主演の二人は実際に付き合っていたらしく、その辺りも含めて味わいが増す

あらすじ

えらい評価が低かった分、「言うほど悪くなくない?」と逆に評価できた感じです。いやホント、おすすめするほどではないですが悪くなかったですよ。

電話でお目覚めのシド(クリス・エヴァンス)はそこで知らされた何かにいきなり激怒、家中ぶっ壊してバーへゴー。
バーでは初対面の銀行員・ベイトマン(ジェイソン・ステイサム)にドラッグを譲ってもらい、その流れで「このあとパーティーがあるから一緒に行かないか」と誘います。
何度も断るベイトマンですが、「5分でいいから付き合ってくれ」とひたすら頼んでくるシドに根負けして一緒に会場入りすると、着くのがだいぶ早かったらしく一番乗り。
しかし会場となる家に住むレベッカ(アイラ・フィッシャー)からは「呼んでないんだけどなんで来てんの」とあからさまに迷惑顔をされつつ特に意に介さないシドはベイトマンとともに2階のトイレにこもり、一緒にドラッグをやって語り合います。
この日の主役であるロンドン(ジェシカ・ビール)は別れて半年経つシドの元カノで、ニューヨークから現在の彼氏が住むロサンゼルスに引っ越す送別会がこのパーティーとのことです。
途中セクシー女子のマヤ(ケリ・ガーナー)やマロリー(ジョイ・ブライアント)もやってきてドラッグを吸いつつちょっとした会話を交わし、また二人きりになっては未練タラタラの会話を続けるシドとベイトマン。
やがて主役のロンドンもやってきて、ウダウダグチグチ喋るだけのシドはどうするんでしょうか。

トイレで喋ってるだけ…ではあるものの

ロンドンがニューヨークからロサンゼルスへお引越し、ってややこしいですね。そのジェシカ・ビール演じる女子の名前「ロンドン」が原題なんですが、邦題はなぜかエクスタシー。予想はしてましたがマジクソ邦題です。かなりの。
終始ドラッグをやっているだけにドラッグのエクスタシーなのかなと思ったんですがそうでもないらしく、マジで意味のわからない邦題になっています。無駄に二流エロス的な予感を持たせちゃうから本当に良くないと思う。

まず最初にタイトルを腐したところで中身のご説明ですが、いまや大スターとなったクリエヴァがステイサムにトイレでウダウダ未練を語るだけ、の映画と言えなくもない低予算感ある作品。
クリエヴァは当然キャプテン・アメリカ前で、ステイサムはトランスポーターもやった後なのでちょこちょこ売れてきてはいますがまだ今ほどではない感じのポジションでしょうか。
なんとなく「売れる前におしゃれ映画に出てました」みたいな雰囲気がありました。いやどっちもそこそこ売れてはいるんですけどね。そんなような雰囲気があって、そこが結構いいなと。ほんのり漂うイギリスのおしゃれ映画感というか。
ちなみにロンドン役のジェシカ・ビール含めたこの3人は「セルラー」で共演しています。
そして事実関係ははっきりしませんが、時期的に「セルラー」の途中か後かでクリエヴァとジェシカ・ビールは交際をスタートしていて、この映画はまさに交際中に撮られているようですね。
そして劇中「(シドとロンドンは)2年で別れた」と語っているんですが、実際もこの二人は(この後)2年で別れたそうなのでその辺りも含みつつ観るとなんだか味わいが増すよねとの噂です。多分。

映画としては本当に会話劇といった感じで、とにかく会話中心、舞台もずっとトイレのままでなかなか珍しいタイプの映画だと思います。
ところどころで過去のシーンも挟まれつつ、シドとロンドンがどういう交際をしていて今こうなっているのかを理解していく形になりますが、まあ正直言って「そりゃこうなるわな」とシドのクズっぷりに納得感しかないので何今さらウダウダ言ってんだよと思いつつ、ただ男ってそうだよなぁとそっちの納得感もすごいのでなんだかあまり文句も言えないというか、男の弱さとかしょうもなさ、俯瞰して見れば結果は明らかなのにいい方向に進められない愚かさみたいなものが自分とも重なって「クソ野郎だけどほっとけないし聞いてやりたくなる感じ」があって思っていたより全然良かったな、と。
シドに比べるとベイトマン(七三ステイサム)はまだ常識人っぽいというかそれなりに大人の男っぽさがありつつ、でも彼は彼で元妻への未練を語っていたりするし結局「ダメ男ってそんなもの」という大枠で括りつつ「その中に確実に自分も入っている」気まずさみたいなものがジワジワ感じられて、そこが嫌いじゃないというか…「バッサリ切り捨てられるほど俺も人間できてないしな…」みたいにしんみりしてしまう部分があり、その感覚が結構好きでした。すごく湿っぽい、ウェットな感じが良いというか。
評価が低いのもよくわかるし決して他人におすすめするほどの映画ではないんですが、ダメとわかりつつ「良いやつなんだよね」とつるんじゃう男友達みたいな雰囲気があって、僕としては全然悪くなかったです。
もちろんシドは交際相手としては最低だと思うし別れたロンドンの選択は100%支持しますが、一方でシドの不器用さもほっておけないというか、デキの悪い弟を見るような感覚があってですね。なんとも人間臭い映画だなと思った次第です。弟いないんですが。

ダメ人間の男性向き

正直キラキラした美男美女がくっついた離れたで2時間見せられるような恋愛映画(おヒュー主演除く)よりよほど面白い映画だと思いますが、そう思えたのも自分が歳を取ったからなのかもという気がしないでもないです。
もう少し若かったら「ウダウダうるせえなさっさと行動しろよ」とイライラしていてもおかしくない気がするので、そう感じた人がいたらそれはそれで間違ってないと思います。
結局この映画を評価する上で大きいのは「男性という属性に対する評価」なのかもしれないですね。
「男性」と一括りにして語るのが乱暴なことは重々承知しつつ、でもこうして起こったことを引きずってウダウダしちゃうのが男だよな、と男のダメさに共感できるのか、それとも「もっと男らしく行動しろ」とか「だったら前にアレやっとけよ」とか、第三者の感覚で“後から見れば自明なこと”を現在進行系で求めるような有能さを男の中に見出しているのか、それによって評価が分かれるような。
これ結構重要で、「話として見せられている側」は正解がわかるものの当事者としてその場にいたらいろいろ邪魔してできない、みたいなことって多いと思うんですが、そこで動けると勘違いしちゃうと自分の実力を過信してしまうのでそういう男も付き合うのはやめといたほうが良いぞと思うわけですが何の話をしているんでしょうか。
結局自分もくだらない男、ダメ人間だよなと思える人には悪くない映画だと思います。多分男性向き。

このシーンがイイ!

ベイトマンが衝撃の事実を明かしながらシドにブチギレるところは良かったですね。なんか。ちょっと上から見てた感じのベイトマンが同じ土俵に降りてきた感じがして。

ココが○

見せ方は結構上手な気がするんですよ。おしゃれ映画っぽさがあるだけに。
ほぼ会話だけなのに飽きずにちゃんと観られたし。過去シーンが短めなのもいい塩梅だと思います。あまりダラダラ見せない感じで。

ココが×

話してる内容が本当に「未練タラタラ話」でしかないので、「くだらねえ話だな」となってしまうのも仕方がないかなと。
でもなんだか…変わった映画だな、こういう映画もいいよなって心の端の方にある「こういうのもアリ」スイッチにスポッとハマっちゃった感じがして、世間同様に酷評する気にはなれませんでした。

MVA

キャップとはまるで違うキャラのクリエヴァも良かったんですが…キャラの違いで言えばもうこの人にせざるを得ません。

ジェイソン・ステイサム(ベイトマン役)

まさかの七三分け。しかも銀行マン。激レアです。
ちょっとだけ乱闘気味なシーンも出てきますがいい勝負というか普通の喧嘩なのも激レア。
不思議と観てると結構板についていると言うか、割とちゃんとエリートっぽく見えてそこも良かったんですよね。今のステイサムだったら絶対似合わない気がするんですが、まだこの頃はこのキャラが似合うギリギリのポジションにいた感じで。
キャラクターとしても無理してる感じはなかったし、当時からアクション主体になっていたこの人によくこの役をキャスティングしたよなぁとそのセンスに乾杯です。

あ、ジェシカ・ビールもよかったですよ。
最近見ないですよね彼女…やめちゃったのかな。

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