映画レビュー0614 『崖っぷちの男』

たまがわ」にて、「エド・ハリスかなーと思ったらエド・ハリスだった事件」を起こした問題の映画。

つい最近の映画かと思いきや、もう4年も前になるんですか…。ちょっと家鑑賞は最近古い映画づいているので、たまには新し目の映画でも観るかな、とチョイス。

崖っぷちの男

Man on a Ledge
監督
アスガー・レス
脚本
パブロ・F・フェニベス
音楽
公開
2012年1月27日 アメリカ
上映時間
102分
製作国
アメリカ
視聴環境
BSプレミアム録画(TV)

崖っぷちの男

元刑事で服役囚のニックは、特別に父親の葬儀のために刑務所の外に出ることを許されるが、葬儀後に弟と取っ組み合いの喧嘩をし、そのどさくさに紛れて逃走。自身の潔白を主張するため、ホテルの高層階から飛び降り自殺を図ろうと騒ぎを起こす。

悪くないんだけどアラだらけ。

5.5

世間の耳目を集める「ホテル高層階からの飛び降り」を通して自身の身の潔白を証明しようとする男のお話。そもそもなんで飛び降り自殺なのか、という点がこの映画のポイントだと思いますが、当然ながらそこにはいろいろ合理的な理由があり、その理由を同時に観ていくことでサスペンス性を増しちゃうぜ、ってな意欲作でございます。

まず簡潔に感想から言ってしまえば、話としては悪くなかったと思います。なかなか面白い話だし、道中も飽きさせないようにいろいろネタも仕込んでくれました。ただ、最後まで観てどうにも中途半端な感じがして、「うーん、これは…」というなんとも煮え切らない余韻に支配されるという。それはなぜか。

そもそも、実は逃走の段階からかなり計画的に行動している主人公なわけですが、最後まで観ると…どうにもご都合主義的な展開が多すぎる印象。

つい先日「ミッション・トゥ・マーズ」の「見せ場を用意するためにヘルメット付けないでピンチに陥るアホ問題」をこき下ろしましたが、まさにこれと同じように「見せ場を用意するために無駄なことをする」展開のオンパレード。

ネタバレになるので詳しくは書きませんけどね。

アレ、あのままでよかったんじゃね?

アレ、あの人にアレしとけばよかったんじゃね?

的なことがですね、「後で思い出して」ではなく観ているその場でわかるわけです。いやいやいやいや、それおかしいでしょ、そうしない方が安全でしょ、っていう。これがなんともね…ディテールが問題だらけで完成度を下げている典型例じゃないかと。

ついでに言えば、とても大事な存在のある御方がいるんですが、彼のアレコレがもう完全にご都合主義で。

どうやってアレしたの?

アレがアレになったのはどうして?

いやアレならあそこのセリフでアレはおかしいでしょ。

ナドナド、挙げ始めたらキリがないほどアラだらけ。あからさまに観客のミスリードを狙うセリフ、演技の数々も後々考えるとドッチラケで、サスペンス好きからすると子供だまし感がすごかったですね。なんとなく勢いで見せ切れるならいいんですが、そこまでの勢いもなかったし、後から後からボロが出る感じ。

これは…初回はまだしも、二回観たら噴飯モノだと思う。あの名作の誉れ高い「ユージュアル・サスペクツ」ですらそういう部分が気になったので、この映画は言わずもがな。

繰り返しますが、全体的には悪くなかったんですよ。でも、振り返れば振り返るほど、ツメが甘すぎて。

もうちょっとなぁ…。作る人には整合性を取る努力をして欲しい。「どうせ一回しか観ないでしょ? すぐ忘れるでしょ?」って感じに観客を舐めた作りなのが気に食わない。もっと上を目指した作品をお願いしたいところです。結果、安っぽいただの娯楽映画レベルでおしまいです。

残念ナリ。

このシーンがイイ!

ベッタベタですが、ラストのバーテンダーが振り返るところは好きですね。彼の存在がアラだらけなんですが、まあそれは置いといて。

あとエド・ハリスが腕時計を投げつけるシーン、最高。キレる爺さん、いいわー。

ココが○

主人公の狙いとその計画は悪くないと思います。だから…見せ方の問題なのかな。

ココが×

上に散々書いたので、そちらご参照くださいましということで。まあ、一言で言うなら「プロットは良いけど細部が大甘」って感じでしょうか。

MVA

MCUのファルコンとしておなじみのアンソニー・マッキーが出てました。最終的に羽生やしてニックを助けるのかな、と思ったら違ったよ

正直、演者は皆さんあまり惹かれませんでしたね…。弟くんが「リトル・ダンサー」の少年だと知ってちょっと嬉しかったけど。確かに面影ある!

エリザベス・バンクスはなかなか良かったですが、外見が好みじゃないので×。ひどい。

主演のサム・ワーシントンもなんだかイマイチ。なんだろう、ちょっと平坦だったかな。事件()でおなじみのエド・ハリスも…いややっぱりさすがって感じはあったものの、役柄としてふつーの悪役で面白みがなかったのが残念。彼はやっぱりもうちょっとなんか「悪役だけど良い人なんじゃないか」みたいなのを期待したい。俗に言う「ザ・ロック」症候群です。はい。

ん~、そんなわけで非常に迷ったんですが、この人にします。

ジェイミー・ベル(ジョーイ・キャシディ役)

結局弟くん。消去法で。

その辺のヤンキーでしか無いんですが、でもなんか一番リアリティがあったかな、と。何よりあのリトル・ダンサーの少年がヤンキーになったぜ、っていうのがね。こういう楽しみ方が出来るのは映画好きだけの特権なので。大した特権じゃないよ、っていう。

一瞬おっぱいだけで弟くんの彼女にしようかと思いましたが、文字通り数少ない読者に軽蔑される気がしたので辞めました。(カミングアウト)

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