映画レビュー1253 『ザ・シークレットマン』

公開中にコストコ行くついでに鑑賞しようと寸前まで準備していたんですが断念したこちらの映画、ついに観ました。

ザ・シークレットマン

Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House
監督
脚本

ピーター・ランデズマン

原作

マーク・フェルト
ジョン・オコナー

出演
音楽
公開

2017年9月29日 アメリカ

上映時間

103分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ザ・シークレットマン

肝心のウォーターゲート事件は尻すぼみ。

7.5
絶対権力者・フーヴァーが亡くなった後のFBIを指揮する男
  • FBI副長官であり“ディープ・スロート”その人でもあるマーク・フェルトの半生
  • 彼を中心にFBIを巡る陰謀や権力闘争を描く
  • 当然ウォーターゲート事件は大きなテーマではあるものの、やや中途半端な印象
  • 例によって他の映画とのリンクも多く、“美味しい時代”を描いてもいる

あらすじ

まーこの時期のアメリカはもう歴史そのものが面白い、まさに“美味しい時代”なので映画にするにはうってつけなわけですが、その一翼を担った“謎の存在 ディープ・スロート”その人を描いた、満を持した映画だぞということで大変楽しみにしておりましたが、しかしタイトル(原題)が個人名そのものになっていることからもわかる通り、あくまでマーク・フェルトその人にスポットライトを当てた映画であって「ウォーターゲート事件の真相」がメインではない、という作りに少々がっかりしたのも事実です。少しだけ求めるものとズレてたかな、というか。

FBIの“終身長官”だった超大物、エドガー・フーヴァーが突然亡くなり、FBIは大騒ぎ。

実務家として内外の評判も高い副長官、マーク・フェルト(リーアム・ニーソン)が順当に長官になる…のかと思いきやニクソン大統領の息のかかったパトリック・グレイ(マートン・チョーカシュ)が長官代理としてやってきます。

そんな中発生したのが「ウォーターゲート事件」。はじめは些細な事件と思われていたこの事件も、どうやらホワイトハウスと関係があるらしい…とわかってきたことで上からの捜査妨害圧力がかかりますが、そうはさせたくないフェルトは自らの立ち位置の問題も絡んで面従腹背で動きます。

彼は少しずつ知己の記者に情報を流し、やがて「FBI内部に裏切り者がいる」と騒ぎが大きくなっていきますが…あとはご覧ください。

期待に対してあっさり目

ということで“ディープ・スロート”その人の映画です。

少し時代は古くなりますが、ウォーターゲート事件を記者側から描いた「大統領の陰謀」がある意味で対になる映画と言えます。

ちなみにマーク・フェルトが自らをディープ・スロートだと明かしたのが2005年の話だそうなので、この映画が作られた頃はまだ正体はわかっておらず、その事実もまた妙な感慨を覚えますね…。正体わかってないけど役としては出てくるという。

オープニングで即お亡くなりになる大物長官フーヴァーについては「J・エドガー」がまさにその人を描いていて、「ペンタゴン・ペーパーズ」のエンディングではウォーターゲート事件の発端が登場するため、この2作はこの映画につながる前段と言えるでしょう。

まあなにせ今に至ってもいろんな場面で「○○版ウォーターゲート事件」と例えに挙がるぐらいの歴史的事件なだけに、この時期のアメリカ政界近辺を描いた映画もこれのみに留まらないと思いますが、こと「ディープ・スロート=マーク・フェルト」その人にスポットライトを当てた映画はこれが初めてではないでしょうか。

上記の通り実際に正体が判明したのが割と最近というのも理由としてはあるとは思いますが、しかしこれだけの事件を歴史の表舞台に引きずり出したある意味での“立役者”が近年まで映画になっていないのも結構不思議な感覚を覚えます。

…と、どうしてもマーク・フェルトを語る上では「ディープ・スロート」としての活動が注目されてしまう面があると思いますが、この映画はもう少し広く、マーク・フェルトその人の人となりと当時の立ち位置、組織人としての立ち居振る舞いの面を描いていて、その分周辺事情については理解が進むものの、肝心の“ディープ・スロート”としての彼についてはやや物足りない印象。

特に「事件がいかにして終結したのか」については特に語られず、「皆さんご存知なので割愛しますよ」とばかりに気付いたらその後の話に進んでいたような状況で、やっぱりそこを期待して観ていると結構な肩透かし感がありました。

こればっかりは僕の期待が的外れというわけでもないと思うんですよね。きっと「マーク・フェルトの映画」であればガッツリウォーターゲート事件の描写に期待するのが普通だと思うので。その割に(途中は見応えありつつも)手仕舞いの仕方があっさりしすぎな気がして、そこが少々もったいないなと。

もう一歩

とは言え単純な権力闘争としても面白いし、「ウォーターゲート事件をリークした動機」という意味ではこれ以上の映画はないと思うので、やっぱり「なぜディープ・スロートが生まれたのか」の部分については理解が進むしこの辺のアメリカ史が好きな人には大好物の映画だと思います。

ただ「LBJ」もそうでしたが、どうしてもこういった「歴史上の人物の半生」の描き方は似通ってきてしまう部分があって型にはまっている感は否めず、予想以上の面白さが見出しにくいのも事実です。

事件に興味があればあるほど消化不良感もあるだろうし、テーマの良さからすればもう少しがんばれたんちゃいますのん、と言いたくもなるよねといったところ。

このシーンがイイ!

コインランドリーの外にある電話ボックスから電話を掛けるシーン、ワイドな画角でなんだか妙に印象的でした。歴史の一舞台がこんなコインランドリーにもあったんだな、と思うとちょっとした感慨もありましたね。

ココが○

もうテーマが圧倒的に美味しいので主人公チョイスの時点である程度外しようがないのは確か。

ココが×

上に書いた通り、テーマの良さを活かしきれない感はありました。もうちょっと絞ってよかったと思うんですよね。

「マーク・フェルトその人を描く」にしてもスタートはほぼウォーターゲート事件だし、そこもちょっと中途半端な気がします。人にフォーカスするならもっとキャリアの前半とかもあっていいんじゃないの、とか。

MVA

テーマがテーマなだけにみなさん渋めの面々で良かったですね。

とは言え圧倒的にこの人中心なので、やっぱり無難に…。

リーアム・ニーソン(マーク・フェルト役)

主人公。

今回はご本人に寄せて白髪のダンディと化し、最近アクションリーアムばっかり観ていただけに「法の番人」たる人格者っぷりが逆に珍しい気がしたとかいう噂です。

当然良かったです。やや抑えめの感じが。

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