映画レビュー0602 『マッチポイント』

いやー、なんか家で映画観るの久しぶりなんですよね。最近ゲームばっかりやってて。もう40も目の前なんですが。終わってます。

ということで一度観たかったウディ・アレン監督作品。結構タイトルだけはいろんな人にオススメ的に聞くので、楽しみにしていました。

マッチポイント

Match Point
監督
脚本
ウディ・アレン
公開
2005年12月28日 アメリカ
上映時間
124分
製作国
イギリス・アメリカ

マッチポイント

元プロテニス選手のクリスは、ツアー生活を辞めて会員制の高級テニスクラブのコーチに転職。そこで知り合った資産家の息子・トムと仲良くなり、やがて彼の妹と付き合い始め、ご両親からも気に入られてトントン拍子に上流階級の仲間入りをする。しかし、ある日知り合ったトムの婚約者・ノラに惹かれてしまったクリスは、情に任せて彼女と関係を持ってしまう…。

面白いんだけど、気分の良くない話。

7.5

ウディ・アレン監督作品というと、最近では「マジック・イン・ムーンライト」とか「ジゴロ・イン・ニューヨーク」とか「ミッドナイト・イン・パリ」とか、「ナントカ・イン・ナントカ」ってタイトルの軽めの映画(観てないけど)ばっかりなのかと思いきや、この映画はだいぶシリアスで、ただの恋愛モノかと思って観ていたら段々と趣きが変わっていく、ややサスペンスタッチの映画でございました。結構びっくり。

まあとにかく劇中ずーっと不安な感じで観させられるというか。資産家の娘といい感じになって結婚、さらにコネで会社に入って出世街道まっしぐら…とか筋を追うととても順調に見えるんですが、これが観てる側は全然そう思えず、絶えず「何か嫌なことが起こるんじゃないか」という不安にさらされながら見守る感じ。

この日は、どちらかと言うと「はー、なんか映画観たいけど気楽なのがいいや」とチョイスしたんですが、まったくそういう気持ちに応えてくれる映画ではなくてですね。完全にミスチョイスでした。とにかく(詳細は避けますが)結末も含め、全体的にあまりいい気分になれる映画ではなくて、人生の妙やら運の作用やらを、低温でジリジリ心臓を焼かれつつ観る映画、という感じでですね…。

面白いんですが、観ていてしんどい話ではありました。そういうのに“乗れる”気分の時に観ることをオススメします。

さて、タイトルの「マッチポイント」とは、言うまでもなくテニスで言うところの「試合を決める最後の1点」を指す言葉ですが、この映画のオープニングで語られるように、どちらかと言うと「この結果ですべてが決まる」、(人生における)勝負の分岐点、というようなニュアンスの言葉として使われているようです。

要は人間は都度“マッチポイント(となるタイミング)”で選択したこと・作用した運で人生が変わるよ、というような。このタイトルがとても絶妙でですね…。こんなにキャッチーでこの映画を端的に表しているタイトルって無い気がします。邦画も原題のまま、ということでこれは素直に配給会社に拍手を送りましょう。ヘタにいじって「運命の分かれ道」とか付けちゃってたらマジクソでした。グッドです。

さて、いかにも昔のイメージの、懐かし~いタイトルロールで期待を膨らませつつ、まさにこの映画のキーである「マッチポイント」の説明から入る本編なわけですが、当然ながらこのオープニングを後々回収する場面があるだけに、この一見ありきたりな説明のシーンがとても重要です。「覚えておきましょう」というほど難しい話でもないんですが、なぜかやけに印象的なこのプロローグの物語への生かし方も素晴らしく、つくづく「マッチポイント」という言葉のうまさに唸りましたね。

今後、自分の人生の岐路でも脳内に浮かびそうです。「ここがマッチポイントなのか…」とか。事実、この映画の主人公は幾度かの人生の「マッチポイント」を決め、順調に人生の階段を上っていくわけですが…。

やっぱりねー、もう古今東西、男の人生に影響をあたえるのは女性なわけですよ。上流階級に引き上げてくれたのは妻で、その金持ち生活を壊しかねない存在となるのが不倫相手のノラで。いわゆるゲス不倫ですね。今流行りの。10年以上前にブーム先乗りとはやるぜウディ・アレン。ここは両成敗()と行きたいところですが、しかし結果は…観てのお楽しみ。

僕には今もまったく女性の影が無いわけですが、だからこそ思うのか、やっぱり道中「なんでこんないい生活全部が破綻しかねない不倫に埋没できるの? バカなの?」と思わずにはいられませんでした。

あなたに降る夢」のヒステリックBBAみたいな、嫁さんがどうしようもないクズならまだわかるんですが、若干子供欲しいヒステリーにかかりつつあるものの、優しくてキュートですごくいい奥さんなんですよ。(まあだからこそこういう話になるわけですが…)

そして何より金持ちの娘。はっきり言ってねー、こんな資産家の娘でこんな良い子、世の中にゃいねーよ!! と文句の一つも言いたいぐらい、恵まれすぎ。

しかしスカヨハの魅力の前には抗えず、ですか…。いやわかるけども。

またねー、このスカヨハ(撮影当時なんと二十歳)のなんとも肉欲的な魅力って言うんですかね…。とんでもないわけですよ。フェロモンが。おフェロが。

「なんでこいつこんなバカなの?」と主人公をディスりつつ、「でもそりゃ惹かれるのもわかるわ」とオトコ的視点を持ったもう片方の自分が言うわけです。理性では答えははっきりしているけども、理性を抑えられないからこうなっちゃうんだよね、という。

この辺の筋が大変良く出来ていました。これはきっと男じゃないと作れない物語だろうな…。

終盤近く、主人公がタクシーで泣くシーンがあるんですが、ここがまたすごくリアルで。そりゃ普通の人ならこうなるよな、っていう。そういう物語や感情のリアリティがとてもしっかりしていたので、その分余計に感情的に不安にさせられる面があったのかもしれません。生々しいからこそ響く、という。早い話が良く出来た話だな、と。

いや、まあ話としてはありきたりなんですけどね。(どっち)

ただ、ありきたりなんだけど感情の動きはすごくよく伝わったし、「そうなるだろうな」と思いつつ観ていても、やっぱりそうはなって欲しくない願望も持ちながら観ていたり…。

ってことはある程度、登場人物に共感している部分が少なからずあったわけで、それはイコール「ありきたりでも良く出来た話」なのかな、という気がしました。ハイ。

ただ好きか嫌いかで言えば嫌いです。こういう話は。バカな男のせいで一体どれだけの人たちが不幸になったのか。同じ男としてずっと思ってますが、チンコが原因で人を不幸にする人間は最低ですからね。K谷E音さんとかね。おっと

まあそんなわけでですね、総括すれば「観ていて気分は良くないけど話としては面白かったよ」という感じでしょうか。好き嫌いは分かれそうな内容ですが、面白い映画だとは思います。

ただ、ジャンル的に恋愛でもなければサスペンスとしても(最後にちょろっとだけで)中途半端なので、この映画に挑む心構えとして気持ちの持って行き方が難しい作品かな、とは思います。ラーメン腹で行ったのに、とんこつ醤油スープの雑煮が出てきました、みたいな。どんな腹構えで店に行けば良いのか。難しい。

でも多分、そんなことを考えてるのは自分だけ。

このシーンがイイ!

これはもうねぇ、ノラのオーディション終わりにクリスと二人で飲みに行くシーンですよね。

絶対言ったらアカン、それ言ったら絶対アカンで…! ってところで言っちゃうノラ、っていう。酔っ払っていたとは言え、あのセリフのせいで後の結末を招いたのは間違いないでしょう。

まあ彼女もおバカさんではあったんでしょう…。不用意な発言って怖いね…。

ココが○

普通の日常生活を描いているのに、ここまで気分が良くなるタイミングがまったくない映画、っていうのもなかなか珍しいと思いますが、観ていて終始不安になる、っていうのはやっぱりそれだけ「こうなるんじゃないか…」という嫌な予感を観客に上手く植え付けている裏返しだとも思うので、結局「ありがちな話」だのなんだかんだ言ってよく出来てるんだろうな、と。筋云々より、見せ方がうまいんでしょう。ここが監督の手腕なのかな。

あとはなんと言ってもタイトル。「テニスと絡めて」なのか、タイトルのために「テニスを絡めた」のかはわかりませんが、絶妙なタイトルですね。こういうのってうますぎてタイトル自体がネタバレになりかねないのも多い気がしますが、それも避けているというのがまた◎。

ココが×

なんと言っても好き嫌いが分かれる内容なので、それなりに人は選ぶでしょう。上に書いた通り、僕は好きではないので少し評価が低めです。面白かったけど。

あとは何点かご都合主義的展開じゃないかと思うところはありますが、その辺も含めて全部「運が良かった」でまとめられちゃうのがまたウマイところではあります。

MVA

クリス役のジョナサン・リース=マイヤーズは「M:i:III」の地味なチームメンバーという印象だったんですが、むしろこれで買われて出ることになったんでしょうかね。とても良かったです。でもこの映画はこの人を置いて他にいないでしょうね…。

スカーレット・ヨハンソン(ノラ・ライス役)

二十歳でこれだもんなぁ…。

前半の色気の漂いっぷりがハンパじゃない。この人以上にこの役が似合う人、いるんだろうか。

そして後半の生活臭漂う「重荷になってきた女」っぷりもすごくうまい。着ているものの違いもあるんでしょうが、とてもセレブ一歩手前まで行った人とは思えない感じ。エロス貴婦人の前半、重荷愛人感強い後半、どちらもまったくお見事でした。

他にも、僕が地味ながら好きな女優の一人、エミリー・モーティマーも良かったです。ホント地味だけど、その分ホントいい奥さんな感じで。

あとブライアン・コックスね。この人も「いい富豪」似合いすぎ。後のオジマンディアス(マシュー・グッド)も良かったし、役者陣はみなさんお見事でした。

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