映画レビュー0567 『フィクサー』

BSプレミアムより。全然知らない映画でしたが、ジョージ・クルーニー主演の社会派サスペンスってことで観てみました。

フィクサー

Michael Clayton
監督
脚本
トニー・ギルロイ
音楽
公開
2007年10月5日 アメリカ
上映時間
120分
製作国
アメリカ

フィクサー

大手弁護士事務所のフィクサー(揉み消し屋)として働くマイケル・クレイトン。彼の勤める弁護士事務所は、農薬関連の大企業U・ノース社の集団訴訟の弁護を担当していたが、その主任弁護士で事務所一の敏腕弁護士でもあるアーサーが公判中に全裸になるという奇行に出てしまう。彼の友人でもある同僚のマイケルは、アーサーのうつ病が再発したと考えホテルへ軟禁するが、彼は逃走、姿をくらます。

最後まで目が離せない、社会派サスペンスの傑作。

9.0

なかなかこの手の社会派サスペンスというのは、まあジャンルとしては地味なだけに情報もあまり入ってこないので良作に出会うのが難しかったりするんですが、今回はたまたま録画して観てみたところ大当たり、こういうのは本当に嬉しいですねぇ。

ジョージ・クルーニー演じる主人公のマイケルは、表向きは普通の弁護士ですが、担当業務は「揉み消し屋」または「掃除屋」。要はきちんと裁判で白黒はっきりしましょうや、という仕事ではない、闇から闇へと葬り去るお仕事とでも言いましょうか。

ただ人殺しとかではありません。重めのトラブル対応、って感じでしょうかねぇ。正攻法で成果が見込めないものを軟着陸させるお仕事とでも言いましょうか。

そんな彼が、トム・ウィルキンソン演じる同僚の敏腕弁護士がデカい仕事で起こしたとんでもないトラブルへの対応を任されるが…というお話です。

その問題の同僚はどうも簡単に言ってしまえば頭がおかしくなってしまったようで、公判中に全裸になり、さらには原告の一人に愛を叫んで裸のまま駐車場で追いかけ回す、っと書くとトム・ウィルキンソンまた脱ぐのかよ的なコメディっぽいですがそうではなく、至って真面目なサスペンス。ジョージ・クルーニーも普段の軽そうな雰囲気ではなく、渋く真面目な“フィクサー”を演じています。

序盤は主人公単体と弁護士事務所、依頼人であるU・ノース社の主要メンバーが交錯する展開で、最初は割と中身が入ってきにくい面はあります。個々のつながりについても最初はあまり触れられないので、どこがどうつながっているのかもわかりにくいし、やや舞台背景が理解し難い印象はありました。

ただ、きちんと順を追ってつながりが描かれ、誰にでもわかる程度のキャパになっているので、そこまで不親切な感もなく、この手の社会派サスペンスにしてはむしろ優しい方かもしれません。

また社会派サスペンスというのは、やはり現実に即したリアルな話にするのは当然なので、その分、他のサスペンスやアクション映画のように「最後はこうなるんでしょ」みたいな展開が読みづらい面があると思うんですが、そのおかげで最後まで集中力を切らさず、この事件どうなんねんどう落とし前付けるねん…! と楽しめるのもグッド。こう言う話は「結局最後は主人公が勝つんでしょ?」と決まっていないのがいいわけで、最後の最後までどうなるかわからない展開は素晴らしかったですね。

どうしてもジャンル的に地味なので、こういう映画はあまり日の目を見にくい面があるのが残念ですが、だからこそ観て面白かった時の喜びも大きいし、こうしてご紹介できるのも嬉しい限りです。

「フィクサー」なんてタイトルもちょっとありきたりすぎてなかなか手に取りにくい映画だと思うんですよね。演出も演者も物語も一流だけに、非常にもったいないと思います。社会派サスペンス好きにはぜひオススメしたい映画。静かながら緊張感溢れる傑作と言っていいでしょう。

このシーンがイイ!

地味ながら絵作りもとても良かったんですが、一番印象的だったのはエンディングでしょうか。見応えのあるシーンでした。表情だけで見せるジョージ・クルーニーもお見事。

ココが○

とても丁寧で、地道に積み上げた真面目な映画という印象は、社会派サスペンスにピッタリ。オープニングからずっと集中力を切らさない展開もとても良かったです。

ココが×

少し見せ方に丁寧さを欠く部分があったんですが、そこに触れるとネタバレになるので書きません。

全体的には隙のない作りだと思いますが、それだけに2点ほど、もう一歩詰めて欲しいところがあったのが残念ではありました。それでもよく出来ていることには違いありません。

MVA

悩みますねぇ。

ジョージ・クルーニーはやっぱり好きなんですが、ただ地味っちゃ地味だったかも。この映画はこの人かな。

ティルダ・スウィントン(カレン・クラウダー博士役)

U・ノース社の法務部トップ。

この人もまぁいろんな映画で見ますが、当然ながらどれも全然印象が違っていてすごい。

この映画ではある意味で最重要人物なわけですが、それをきちっと一般人としての緊張感も見せつつ、只者ではない大物さも漂わせつつでお見事でした。

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