映画レビュー0059 『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』
[2017年追記]
もうマイケルが他界してから結構な年月が経ちましたね。
この頃の僕にとってはマイケル・ジャクソンと言えば「スリラー」でしたが、今は「マン・イン・ザ・ミラー」になりました。
そうです。大泉洋のせいです。
マイケル・ジャクソン THIS IS IT
まさに“一流”。
まず最初に、僕の「マイケル・ジャクソン観」は、おそらく(彼が亡くなる前の)世間一般のイメージと同様、「超売れっ子エンターテイナーだけどいろいろお騒がせな人」といった程度で、ファンでも無ければ特に曲を知っているわけでもなく、ライブ映像も観たことありませんでした。
で。
まず最初に、「映画として」の評価を言えば、まあはっきり言って語るには値しないものです。そりゃあそうですよね。リハーサル風景ですから。
言ってみれば、特典映像として入っているはずのものを2時間たっぷり入れましたよ、という内容なので、当然ながら演技も演出も無いわけです。ドキュメンタリーとは言え。
彼が亡くなってしまったからこその映画化なので、仮に無事、このロンドン公演が行われていれば、おそらくもう少しはしょった形でDVDなりブルーレイなりに入っていたであろう、「リハーサル映像」以上の何物でもありません。
そんなことは観る前から百も承知だったので、こういう評価はフェアではない…というか、的はずれだとは思いますが、僕は一応マイケルファンではなく映画ファンとして観たので、そういう視点で評価させて頂きました。
じゃあなんで5.0なんやねんなやすしくん、となるわけですが、それはもう彼の圧倒的なパフォーマンスに尽きます。
映画としては1.0、パフォーマンスが10。そんな感じで間を取って超安易に5.0という感じ。
そのパフォーマンスのすごさは、公開時に同じような「マイケル観」の人たちからかなり聞かされていて、大体予想はしていたんですが、それでもやっぱり純粋にすごい、見入ってしまうものがありました。
何が良い、ってまず曲がいい。
どの曲も非常にキャッチーで、リズムを刻みたくなる曲ばかり。そのリズムに合わせて展開するダンスがまたかっこいい。
マイケルらしい、人を集めて同じダンスをみんなでやるアレですが、今更ながらここまで曲のリズムとマッチした動きを追求されると、観てるだけで気持ちがいい。
そしてやっぱり、マイケルご本人の才能。
これはすごかったですね。こんな動ける50歳、いませんよ。息も乱れず、歌とダンスをこなしていく50歳。
リハだから、なのかもしれませんが、歌もダンスもあまり力が入っている感じが無かったんですが、それが「手を抜いてる」というよりは「無駄がない」。
バックダンサーもすごいんですが、マイケルは動きに無駄が無く、その分ピシッと決まって見える。これはもう、本当に「さすが」としか言いようがなかったです。
そういう歌とダンス以外にも、ベースやギターの演奏に対する意見だったり、照明だったり映像だったり、すべてに彼の指示が入っていて、なるほど、彼は「ミュージシャン」ではなく「アーティスト」だな、と納得。単なるフロントマンではないところに彼のすごさがあるんだ、とわかりました。
もう亡くなってしまった方なので、今更いろいろ掘り返そうとも思いませんが、僕はこの映画を観て「マイケルすげぇ! 超かっこいい!」と単純に賞賛する側に立つ気持ちはサラサラありません。
事実はわかりませんが、いろいろな問題があったかもしれない人、ということはきっと忘れないと思います。
ですがエンターテイナーとしての才能は、これはもう超一流としか言いようのないものがあるのはよーくわかりましたね。
確かにこれだけできるのに亡くなってしまったのはすごく惜しいし、世界的な損失だ、という気持ちもわかりました。
ココが○
僕のように、彼本人に興味のない人間でも、しっかり最後まで観させる力はすごいですね。特に音楽がすごく良かった。
今更ですが「Beat It」とかすごくカッコイイ。ちょっとCD欲しくなりましたね。
ココが×
くどいようですが、リハーサルでしかないところ。ファンならそれでいいんだと思うんですけどね。
「リハーサルだけでも映画に出来る才能を持った人」と言ってしまえばそれまでですが、やっぱりどうしても損失補填というか、商業的な匂いを感じずにはいられないのが残念。
MVA
当然ドキュメンタリーなので、俳優なんて一人もいないんですよね。ってことはどう考えても
マイケル・ジャクソン(本人)
しかあり得ないわけですが、ただ個人的には、ギターのパツキンねーちゃんが非常に気になりました。かわいい。