映画レビュー1163 『ミッドサマー』
相当話題になっていたので気にはなっていたものの、間違いなく自分が好きなタイプの映画ではないので観るつもりはなかったんですが、友達が「ミッドサマー一緒に観る人いない?」と呼びかけていたのでじゃあせっかくだし、とウォッチパーティを企画しました。
ちなみにバージョンがいくつかありますが、鑑賞したのは上映時間的に147分の劇場公開版だと思われます。
ミッドサマー
アリ・アスター
アリ・アスター
フローレンス・ピュー
ジャック・レイナー
ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
ヴィルヘルム・ブロングレン
ウィル・ポールター
ボビー・クーリック
2019年7月3日 アメリカ
141分(劇場公開版)
147分(劇場公開版)
163分(劇場公開版)
170分(ディレクターズ・カット版)
アメリカ・スウェーデン
Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

嫌いだけどすごかった。
- 卒論も兼ねて遊びに行ったスウェーデンの夏至祭がヤバかった
- 明るくカラフルな世界で描かれる狂気が素晴らしく気持ち悪い
- 全体的な趣味の悪さが最高
- そこそこグロいので注意
あらすじ
予想通り僕が好きなタイプの映画ではなかったんですが、しかしそれでも良くできていたので認めざるを得ない&妙な引力があり、結果面白かったです。もう一度観たいとは思わないけど。
大学生のダニー(フローレンス・ピュー)は元々あまり精神状態が良くなかったようですが、ある日妹が両親を道連れに無理心中していたことが発覚したことでより精神を病んでしまい、そんな彼女を重荷に感じつつも別れられずにいる彼氏・クリスチャン(ジャック・レイナー)は、気を遣って夏休みに同級生たちと行く予定だったスウェーデンツアーに彼女を誘います。
なんでもクリスチャンの同級生であるスウェーデンからの留学生・ペレ(ヴィルヘルム・ブロングレン)から「自分の一族の故郷で90年に1度の夏至祭が行われるから見に来ないか」と誘われたらしく、その他にも論文の題材に丁度良いやと参加することに決めたジョシュ(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)やセックスとドラッグしか頭にないマーク(ウィル・ポールター)も「ダニーお荷物じゃね?」と迷惑に思いつつも同行することに。
現地では別の村人経由で誘われてやってきたカップル2人も合流し、いい感じにラリったりしながらいよいよ問題の夏至祭スタート。
最初は妙な雰囲気ながらまあまあ「ありそうだよね」的な儀式に参加していた面々ですが、徐々にその異常な内容が明らかになってくるのでした…あとは観るがいい!
監督は狂ってやがるぜ
一応ジャンル上はホラーだとは思うんですが、観ようによってはコメディとも取れるし、それよりも何よりもサイコ感が強いしで「ただのホラー」とはだいぶ毛色の違う映画です。怖いんだけど、あまりにも常軌を逸しているので可笑しくもあるし、現実離れしているのでファンタジーっぽさもあるし。すごく不思議な感覚を覚える映画でした。鑑賞後はなんか脳がフワフワしているような妙な疲れもあって。
序盤から中盤にかけてこそ「ギリギリこういう風習を持ってるところ、今もありそう」な気がしてリアリティを感じられるんですが、その後は徐々に現実離れしていって笑っちゃうぐらいに奇妙な儀式が描かれ続けます。く、狂ってやがる…!
なんでもウォッチパーティ参加者の一人からの情報によると、監督のアリ・アスターは「恋人と別れたのが原因でこの物語を作った」とか。く、狂ってやがるぜ…!
もちろん詳細は書かないのでとりあえず観てね方式ではあるものの、僕が一番印象的だったのは、やっぱり(基本的に)“明るい”こと。
舞台自体が白夜で暗くならない(暗いシーンもあった気がするけど)と言うのもありますが、ホラーのくせに暗くて何が出てくるかわからない怖さに頼らず、ひたすら明るい。基本的に昼間にいろいろ行われます。そしてその分バッチリ見えちゃう。
それはきっと村人にとっては「長年続いてきた普通の儀式」だから別に隠す必要もない意識の現れでもあるんだろうし、「は? 何が?」的に異様な祭りを進行していく趣味の悪さったらないですよ。
祭りでは花も効果的に使われていて、カラフルで彩度も高い映像の中できっちり気持ち悪い怖さを見せてくれるセンスは本当にすごいなと思います。安易さがないセンスの良さ。
パッと見癒やされるような風景の中でおぞましい儀式が進行する違和感、そのギャップで気持ち悪さを感じさせてくれるのは、さすが話題になっただけあるなと納得。こりゃーすごい。最高に趣味が悪い。
風習の強さ
ところどころグロいし、はっきり言って理解を越えた内容でもある(解説を聞いたところで意図するところがよくわからない)ので、個人的な好き嫌いで言えば間違いなく好きな映画ではないんですが…ただ観てよかったというか、「いやぁやっぱりすごい映画ってあるねぇ」と妙に感心してしまう映画でした。きっとずっと忘れないと思う。インパクトのあるシーンが多すぎます。
なんて言うか…「長年の風習なんでね」で全部押し通せちゃう強さがありますよね。常識の埒外にあることでも、「いやこれがうちの村の風習なんで」って言われちゃうともう外部の人間はそこから軌道修正させられない力強さがあると言うか。
だからこそ結局言われるがままに祭りに参加させられちゃうし、そこから抜けるタイミングも見失ったまま後戻りできないところまで行ってしまうという…この「空気を読む人間は絶対に抗えないトラップ」みたいな底意地の悪さは好きですねぇ〜。本当に趣味が悪い。良い意味で。
なんなら続編も作れそうな気がしないでもない終わり方に見えましたが、もし作られたら…観ようかどうか悩みつつも観ちゃう気がする。嫌だな〜って言いながら観そう。
「観ないほうが良いとわかってても観たくて観ちゃう」、恋人のスマホのような映画ですね。ハイ。
このシーンがイイ!
花がね…ホワホワ穴が膨らむシーンがあるんですよ…あそこが最高に気味が悪くてゾワゾワしました。
ココが○
やっぱり上に書いた通り、安易な暗さやびっくり音で怖がらせたりせず、明るい舞台で気持ちが悪い怖さを見せつけてくるセンスですね。これは本当にすごい。
ココが×
結構ギリギリ許容外のグロさが嫌でした。いちいちちゃんと見せんなよ、って。
MVA
ジャック・レイナーの煮え切らないダメ人間っぽさもすごく良かったんですが、やっぱり熱演が光ったこの人かなぁ。
フローレンス・ピュー(ダニー・アーダー役)
主人公のJD。病み女子。
病んでいるだけに感情が乱れがちな部分を上手に演じていたと思います。号泣もするし。文句なしの主役ですね。
ラストもまた印象的でしたよ…。


