映画レビュー1339 『ミッション:インポッシブル2』

続いて2。

シリーズでもっとも印象が薄い一本なので、逆に新鮮に観られるなと思って観ましたよ。多分3回目の鑑賞です。

ミッション:インポッシブル2

Mission: Impossible 2
監督
脚本
原案

ロナルド・D・ムーア
ブラノン・ブラーガ

原作

ブルース・ゲラー

出演

トム・クルーズ
ダグレイ・スコット
タンディ・ニュートン
ヴィング・レイムス
リチャード・ロクスバーグ
ジョン・ポルソン
ブレンダン・グリーソン
ラデ・シェルベッジア
アンソニー・ホプキンス

音楽
公開

2000年5月24日 アメリカ

上映時間

123分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ミッション:インポッシブル2

シリーズ1の異色作。

7.0
“ニセイーサン”が強奪したウイルスを回収せよ
  • 製薬会社の陰謀で作成されたウイルスを強奪するミッション
  • 敵は何度かイーサンの替え玉をこなした“ニセイーサン”
  • 銃撃に謎の鳩が飛ぶジョン・ウー節全開
  • イケイーサンが観たかったらコレ

あらすじ

やっぱり改めて観ると他のどのシリーズ作と比べてもかなり異色な作品ですね。それ故基本的には評価が低くなりますが、一番好き、という人もいるかもしれない。

とある製薬会社の研究員であるネコルヴィッチ博士(ラデ・シェルベッジア)は、同社で開発されたキメラウイルスを自らへ撃ち、その治療薬を持ってシドニーからアトランタへ移動するためイーサン・ハント(トム・クルーズ)に護衛を依頼、飛行機に乗りますがなんとイーサンチームの裏切りによって飛行機は墜落、博士もグッバイ。

実はこのイーサンはショーン・アンブローズ(ダグレイ・スコット)が成りすましていたニセイーサンで、彼によって「キメラウイルスがばらまかれてしまう」と懸念したIMFは休暇中の本物のイーサンにウイルスの確保を命じます。

イーサンの上司であるスワンベック(アンソニー・ホプキンス)は、アンブローズの元恋人で盗みのプロであるナイア・ホール(タンディ・ニュートン)に接触し、彼女をもう一度アンブローズの元へやっていろいろ探る計画を提案。

ナイアを危険に晒したくないイーサンはためらいますが結局その案で行くことにし、「絶対守る」ってなことでアンブローズの周辺を探りますが…あとはご覧くださいませ。

漂うジョン・ウー臭

オープニングで示される通り、今回の敵は「イーサンの代役」を務めていたエージェントということもあって騙し合いの様相も呈しており、入り口としてはなかなか「あれ? 面白そうじゃない?」と思わせる良いものでした。

また勝手な記憶で「2はイーサンの一人プレイ映画」という印象しかなかったんですが、実際はこぢんまりとはしているものの(一応)チームを組んでおり、おなじみルーサーに加えてまったく自分の記憶から抹消されていたチームメンバー・ビリーと一緒にコトに当たっていて、それなりにミッション:インポッシブル感もあってこの辺は少々意外。

じゃあなんでこんなに「イーサンオンリー映画」としての記憶が強いのかと思いつつ観ていたんですが、まあなんというかイーサン一人で活躍するシーンがことごとくアクの強い演出でコテコテにアピールされていて、それ故に「イーサン一人プレイ」感が強いのかな、と思った次第です。

改めて全作観直しても今作はやはり異色の雰囲気を漂わせていると思いますが、それはやっぱり監督がシリーズ中唯一のアジア系、香港映画界出身監督のジョン・ウーということもあるんでしょう。

バトルは基本ガンアクションだし二丁拳銃だし、謎に鳩も飛ぶし(おまけにスロー)でかなり「ジョン・ウーでっせ!」とアピールしてくる感覚が他作とは一線を画していると思います。

コレが普通のジョン・ウー監督/トム・クルーズ主演のアクション映画であれば「ほーん」とそれなりに楽しめると思うんですが、ことミッション:インポッシブルシリーズの中に入れてしまうとやっぱりどうしても異物感が拭えません。

一番違和感があったのはやっぱり銃撃戦の部分で、2作目だからまだいいもののこのあと続いていく作品をずっと観ていった後で振り返ると「こんな銃頼みなのイーサンじゃねぇ」みたいな違和感がすごくあります。

その上詳細は避けますが「なんでそこでわざわざバイク乗ってお付き合いしてくれてんの?」みたいな違和感もあり、やっぱりこのあとのシリーズ作品を考えれば一つ下がるタイトル、という評価もやむを得ないのかな、と。

ただしトム・クルーズに関してはとにかく脂が乗ったタイミング(当時38歳)であることも間違いのないところで、若干のロン毛でイケメン感を強調しているためになおさら「イケメンイーサン」アピールに余念がなく、そっち方面を観たい方にとっては一番の傑作足り得るでしょう。

1はまだ若造感があるし、次作はチーム戦回帰の印象が強いので「イーサン色」は薄まる…となると「イーサンだけでいい他のメンバーみんな死ね」みたいな人(いるのか?)にとっては最高の一本になるのかもしれません。

もうオープニングのグラサンで司令を聞いて投げ捨てる挙動からしてイケイーサン感がハンパ無いので、「今回は黙って俺に着いてきな」みたいな、「イーサンにも若気の至りがあったのね」と生暖かい目で見守ることができます。

ただちょっと逆説的ではありますが、2023年現在シリーズが7作目まできて、特に4作目以降はだいぶ路線も定まって完成度も高くなってきたことを考えると、「1本ぐらいはこういう変わったやつがあってもいいんじゃない?」みたいに思えるのがまた不思議なところで。

リーダーとして自覚も芽生え、自らがやるべきことをきっちり認識している「完成版イーサン」に至る前に、ちょっとヤンチャで危なっかしいイーサンがいてもいいのかもしれない、みたいな。

そんな思いも抱きつつ、でもぶっちゃけこれは観なくて良いな、とも思いました。まる。

キャスティングもオンリー感を助長

キャスティングについては前作と打って変わってかなり渋めの印象で、目についたのはブレンダン・グリーソンとチョイ役でノンクレジットのアンソニー・ホプキンスぐらい。

そこもまた「オンリートム・クルーズ映画」っぽさを助長してるのかもしれないですね。まったく記憶から欠落していたビリー役がせめてもうちょっと売れっ子の俳優さんだったりしたら違ったのかもしれません。ただ彼は好きです。

ここからは余談。

もうレビュー済みなので改めて書きませんが、次作「ミッション:インポッシブル3」は当時よりもだいぶ面白く感じられ、またシリーズにおいても結構重要な一作なのでは、と思ったりもしました。

3ではいよいよみんな大好きベンジーが登場、そして何と言っても「イーサンとジュリア」の映画なので、その後に対する影響も大きいわけです。

通して観るとより「チーム戦回帰」を鮮明にしているし、実は4(ゴースト・プロトコル)で“跳ねる”前段階としてはすごくよくできているような気がしました。

もちろんそれを意図してなのか、それともその上で積み上げたのかはわかりませんが、当時よりかはだいぶ良くできた映画だなと感じられました。

悪役がフィリップ・シーモア・ホフマンなのも大きいですね…。

ちなみに3のフィリップ・シーモア・ホフマン、そして4のミカエル・ニクヴィストと2作連続で悪役がお亡くなりになってしまっているのもなんだか切ない。

このシーンがイイ!

やっぱりオープニングのグラサン投げ捨てるところじゃないですかね!? 「今回は俺の映画さ…」みたいな。

重し(という名のジム・フェルプス)も取れていよいよ俺が主人公だぜ、と。

ココが○

ビルに飛び込むシーンとかはシリーズらしいアクションで良いと思います。

ココが×

ただ結局解決が銃なのが…まあイーサンにもそんな時期があったよ、ということで。

MVA

最新作のヒロインがドロボーなのは今作のオマージュなんでしょうか。わかりません。

いまいちパッとしない今作ですが、この人にしましょう。

ジョン・ポルソン(ビリー・ベアード役)

記憶から抹消されていたチームメンバー。

ルーサーは一貫して技術屋なので、「それ以外の便利屋」として充てがわれた感が強い、いかにも映画の事情で配役された人物なのが痛いほど伝わってくるのが逆に良かったです。特に優秀な描写もないし、イーサンと仲がいいみたいなのもないし。「人が足りないっつーからIMFが派遣してやったよ」感。

でもみんな額にしわ寄せてる中、一人脱力感があって結構好きなんですよね。なんでこんな一般人っぽい人がIMF入れたんだろう、とか思うけど。

ちなみにこの映画以降は目立った出演作もなく、現在は監督業がメインとのこと。

だいぶ歳取っちゃったとは思うけど、ワンチャン「デッドレコニング PART TWO」で出てきたりしないかな、と期待しております。1シーンでもね。

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