映画レビュー0257 『ミセス・ダウト』
一応メジャータイトル、大体観る前から予想はできましたが、ダーターだし録画してみるかな、と。
ミセス・ダウト
良くも悪くも想像通り。
ロビン・ウィリアムズが女装するコメディ、というこの映画、当時はそれなりに話題になっていたように記憶しています。あんまりコメディ自体観る方ではないので、当時も観たいと思った記憶はないんですが、最近ロビン・ウィリアムズの「ロビン・ウィリアムズらしさ」みたいなものがちょっと気になってきていることもあり、観てみました。
家を去っていった旦那兼お父さんのダニエルが、特殊メイクで家政婦として毎日やって来るというお話。“特殊メイク”というのは物語中でもその通りの設定で、兄がハリウッドの特殊メイクの仕事をしているような話になっていました。
今から約20年前の映画ではありますが、なるほど確かによくできてます。こういうおばさんいそう。さすがに表情が固まっているような印象もあるので、あんまり顔を映し続けるシーンは無かったような気もしますが、なにせ芸達者のロビン・ウィリアムズが演じているだけに、それをカバーして余りある「おばさんっぽさ」と彼らしいコメディっぽさが活きていて、なるほどこの役はこの人だな、と納得感たっぷり。
レストランでの展開なんかはいかにもコメディっぽく、ちょっとリアリティに欠ける部分はありますが、でもそれをきちんと最後の展開に結びつけている辺りはしっかり娯楽映画していて、良くも悪くも想像通り、期待通りの作品かなと思います。無茶苦茶いいぜ、ってものでもないけど、でも安心して観られるような。
まあ何と言ってもやっぱりロビン・ウィリアムズのキャラクターに尽きますね。オープニングの(多分)アドリブ全開のアフレコシーンからしてもう彼っぽい。ちょっと人情モノっぽい雰囲気を漂わせる展開や作りも彼らしく、この人が好きならそのまま味わいにつながるような映画でしょう。そう、まさにロビン・ウィリアムズありき、彼の才能に乗っかった映画と言えます。
その分、ロビン・ウィリアムズらしいアクの強さもあるので、苦手な人はやっぱり苦手、ってパターンだとも思いますが、今の時代からするとちょっとノスタルジックになるようなこのキャラクター、僕は割と好きなので、なんとなく「あの頃は良かった」的な視点になりつつ、やっぱりロビン・ウィリアムズすごいな、と観るのもまた一興かと思います。
全然違う、とお叱りを受けそうな気はするんですが、ロビン・ウィリアムズってどことなく「昔の道化」っぽい印象もあって、チャップリンとだぶるような気もします。それをわかって演じてるような雰囲気もあって。不思議な味がありますよね。
「レナードの朝」みたいなすごくいい役も似合うし、面白い人だと思います。僕の持論と勝手に言っている「コメディアン出身の役者はいい役者が多い」説のトップにいるような気がしないでも無いです。
さて、この映画自体はそんなわけで想像通りでもあり、「何としても観ろよ!」みたいなのは無いですが、裏切らないという意味ではまずまずかな、と。ロビン・ウィリアムズが好きなら悪くないチョイスだと思います。
このシーンがイイ!
トラックに顔を轢かれるシーンで笑っちゃいましたが、一番笑ったのは胸が燃えちゃうシーンでしたね…。なんというか、もうバカバカしさの極みというか。
ココが○
非常にシニカルな視点で観ちゃうと、もう完全に物語が死ぬ映画なんですが、そういう見方をしなければこういう人情コメディみたいなのもいいな、と思いますね。
ある意味では、最新作としてこれが出てきたらちょっとウーンと思っちゃいますが、昔の映画として観ると、時代に対する懐古的な意味も含まれた上でいいな、と思えるような。そういう懐かしい良さみたいなものがあると思います。
ココが×
基本コメディで、そこにロビン・ウィリアムズらしい人情が加わってくるので、なんか中途半端と言えば中途半端。どっちかに寄せたほうが突き抜けるんじゃないの、っていう気はします。
MVA
いやーまずピアース・ブロスナンが若い。今よりほっそりとしててダンディで。007の前っぽいですね。ただ役としてはいかにもであまり印象に残らず。
ロビン・ウィリアムズはいつも通りで良くて、オカマの兄さんハーヴェイ・ファイアスタインも良かったんですが、今回はちょっとこの人しかいないなぁと。
マーラ・ウィルソン(ナタリー・ヒラード役)
一番下の娘。もう超かわいいの!
物語の大きな動機が「子煩悩」だけに、子供のかわいさは大事なので、この子の抜群なかわいさはいいチョイスしてるなーと感心しました。演技とかわいさのバランスが絶妙なんですよねー。こりゃーいい役者さんになってるだろうと思ったらもうすでに引退している模様。もったいない。