映画レビュー0564 『クレアモントホテル』
ここまで1月鑑賞分なんですが、今年はなかなかいいペースということで、今年こそ本数増やすぞ…! と言いたいところですが、毎年増やす増やす詐欺なので言わないことにします。
クレアモントホテル

じんわり優しい映画。
一言で言えば、老婦人と若い男性の友情物語。ひねくれ者としては、いつこの若者が裏切るのか…と某映画を想像して震えていたんですが、結果的にはとても良い、優しい人たちの物語でした。
ロンドンの長期滞在型ホテル「クレアモントホテル」にやってきたサラが主人公。無知な僕はイマイチピンと来なかったんですが、早い話がこの長期滞在型ホテルは「元気な老人用老人ホーム」みたいな場所で、人生も終盤を迎えた少しクセのある人たちが長いこと暮らしているようです。
サラは旦那さんとはだいぶ昔に死別してしまったようで、「誰かの旦那、誰かの母親、そういう立場をやめて“私”として暮らしたい」としがらみのない環境を求めてやってきたようで、そういう意味では「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」っぽさもありますね。ただ、あの映画ほど賑やかなものでもなく、基本的には淡々と日々を過ごすお話。とても地味です。観終わってから知ったんですが、原作となる古い小説があるようで、そう言われてみればなるほどちょっと小説っぽい話ではあるな、と。
それなりに順応しつつ、会いたい孫はまったく音沙汰無し…と言う時に一人の若い男性と知り合い、孫の歳と同じ歳の彼と少しずつ友情を育みます。この彼がいいやつでねー。自分だったら絶対こんなに親切にできない(かわいい女子を除く)と思いますが、本当に嫌味なく、文字通り“孫の代わり”として孫になりすましながら、サラの生活に活力を与えていくわけです。そんなこんなしながら、はてさてどういう人間ドラマが展開するのか…あとは観てのお楽しみ、と。
さて、感想を正直に言えば、やっぱり要所要所でホロリとは来ました。ただ、全体的には平凡だし、面白かったかと言われると微妙なところ。良い映画ではありましたが、展開的にはひねりもないし、どうしても話の内容が古い印象は拭えません。
それと少し気になったのは、演出がちょっと安っぽいというか、なんとなく2時間ドラマ臭を感じる気がして、そこがとても惜しかったです。これは完全に監督の問題でしょうね…。
劇伴ももっと控えめで良いと思うんですが、あまり映画に寄り添っている感じもしなくて、物語そのものという素材よりも、それを引き立てる料理の腕の方にやや残念さがあり、もっと良い映画にできただろうに…という気がしました。
あとはもちろん、とてもとても地味なので、そもそも人を選ぶ面はあると思います。イギリスのヒューマンドラマが好きな僕ですらイマイチ盛り上がりが欠ける気がしたので、ちょっとライトな映画ファンが観ても全然良さは感じないんじゃないか、という気がします。
とは言え、悪い人も出てこないし、穏やかで良い物語なのは確か。もしかしたら、この映画はまさにサラのような、孫もいて子どもも自立した爺さん婆さん世代が観るべき映画なのかもしれません。子供向け映画があるように、老人向け映画があってもおかしくないわけだし。
そんなわけで、珍しく僕が観るには早すぎた…かもしれない映画でした。
このシーンがイイ!
“好きな歌”のシーンは演技含めとても良かったです。
ココが○
穏やかで優しい空気感は良いと思います。優しい気持ちになれますね。
ココが×
やっぱり意外な展開も無い分、淡々と過ぎちゃう部分でしょうか。すごく日常的な映画だし、あえて観るべきフックがないのは残念。
MVA
出ている役者さん全員知らないというなかなか珍しい映画でしたが、まあ順当にこの方でしょうか。
ジョーン・プロウライト(サラ・パルフリー役)
主人公のとても上品なお婆様。
ふつふつと涙を流すシーンはじんわり感動。地味ながらいい演技を見せて頂きました。


