映画レビュー0902 『マルホランド・ドライブ』

昔の勤務先の映画好きの後輩にオススメされ、かれこれもう10年近く経っちゃいましたがようやくネトフリ配信終了が迫ってきたということでね。結局観る動機はそれっていう。

マルホランド・ドライブ

Mulholland Drive
監督
脚本

デヴィッド・リンチ

出演

ナオミ・ワッツ
ローラ・ハリング
ジャスティン・セロー
アン・ミラー

音楽

アンジェロ・バダラメンティ

公開

2001年10月19日 アメリカ

上映時間

145分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS3・TV)

マルホランド・ドライブ

すげーわかりにくいし好きでもないんだけどほっとけないなにかがある。

7.5
女優志望の女性が訪れた、留守のはずの叔母の家には“ワケあり”の女性が潜んでいて…
  • 二人の女性の出会いとハリウッドの内幕
  • 恋愛を絡めたサスペンスで謎が謎を呼ぶ…! 的な
  • 気になる登場人物がわんさか出てくるも結果わかりにくい
  • いろんな人の考察を読んで意味を補完していくタイプの映画

あらすじ

デヴィッド・リンチの最高傑作的な噂はかねがね聞いていてですね。となるとリンチ=難解でシュールみたいなイメージがあったので、嫌な予感がしつつ観た結果…やっぱりよくわかんねーじゃねーか! みたいな。なるほどわからんと。ナルホランド・ワカランだったぞと。強引に言っているわけでございます。

主人公は女優志望の女性・ベティ。みんな大好きナオミ・ワッツですよ奥さん。若い。キラキラ希望に満ちたヤングレディ感がすごいぜたまらんぜと思って観ていたんですが、もうこの頃すでにアラサー後半です。見えない…! ってかやっぱりアラサー最高…! 圧倒的かわいさ…!

ちなみに彼女はこの映画をきっかけにスターの道を歩むことになるので、結構遅咲きだったんですね。でも今も美人だし、高校時代にあんまり連投してなかった晩成型ピッチャーみたいな趣があります。あるのか? わかりにくい例えでお送りしておりますが。

そんなベティさん、叔母が女優さんということで私もなるわ! ってことで撮影でカナダへ行くためしばらく不在の叔母の家を借り、オーディションを受けて女優への足がかりを得ようとキラキラの夢を胸にロスへやって来ます。

一方、ハリウッドの「マルホランド・ドライブ」(要はマルホランド通り)にて銃口を向けられ、絶体絶命のピンチに陥ったところで突然の事故が発生、命からがら逃げ出した女性が一人。

彼女は運良く軽傷だったこともあって事故現場から歩いて立ち去り、まさに今カナダへ向かおうと家を出たベティ叔母の家に忍び込んで身を隠します。

そこにやって来たベティと鉢合わせし、怪我をしていることもあってしばらくベティの世話になる形で彼女と共同生活を開始。記憶喪失になってしまった彼女は、部屋に貼ってあったリタ・ヘイワースのポスターを見て咄嗟に自らを「リタ」と名乗ります。

こうして“ワケあり”の女性・リタと、夢に向かってまっしぐらのキラキラ女子・ベティが共に生活を始め、リタの記憶を取り戻すべく二人で行動を開始する、というお話です。

わかりにくくてモヤモヤする

はっきり言ってこのあらすじは触りも触り、もう全体からすると本当に入口の話でしかありません。

そして終始不安を煽る不穏な空気の中、よくあるハリウッドでのキャスティングの圧力的なものも絡ませつつ、ベティの夢とリタの正体、そしてそれの意味するところを探っていく鑑賞になるわけですが…ンマーわかりにくいです。ホント。

急に差し込まれてその後最後の方まで登場しない謎の人物とか、いろいろと「これ何の意味があるんじゃい…!」的な要素で膨らませて観客の脳味噌をパンパンにさせつつ、最終的に「これが答えです」とわかりやすいシーンを提示してくれるわけでもないし、伏線もすべて回収してくれるわけではないので、結局最終的には「これは…こういう話なの…か?」的な感じでモヤモヤ。

ある意味ではシュールでもあるし、一回観ただけですべて理解するのは難しい類の映画ではないかと思いますね。もう一回観るべきなんでしょうが、ものすごく気に入ったならまだしも、そうでない同じ映画を続けて観るのであれば別の映画を観たいと思うタイプなので、一回観てモヤって終了です。

ただこの手の(わかりにくい)映画にしてはかなり先が気になって惹き込まれる部分があったし、最終的にモヤっとはしたものの他の人の解説を読んで「なるほどー」とピースを埋めていく作業が楽しかったりもしたので、まあ結果的には世間で言われる通り良く出来た映画なんだろうなと思うに至りました。

というかこういう鑑賞後にいろんな意見を漁りたくなる映画って、もうそれだけで(自分にとって)良い映画なんだろうと思うんですよね。本当にまったく響かなければ答えを知りたいとも思わないし、どうでもいいわで終わっちゃいますから。

しかし好き嫌いで言えばどちらかと言うと嫌いな方の映画ではありました。もうちょっとはっきり示して欲しいし、二度三度観ることを前提にした映画はあまり評価したくありません。(一回で全部わかる知能があれば別なんでしょうが…)

ツギハギ感が気になるような気がする

もう一点、気になる点としては…これは後付けで知った話なんですが、どうやらこの映画は当初テレビドラマとして企画・撮影が進んでいたもののお蔵入りになり、その後映画化の話が来て慌てて結末を考えたという話らしいんですよね。

で、監督はヒントは言いつつ今も答えを示さずに「ご想像にお任せします」的な扱いにしているので、それはそれで良いんですが…早い話がちょっとツギハギ感が出ちゃってるというか、全部が全部整合性のあるように作られていない感じがしちゃうんですよ。経緯からして。

最初からビシッと「こういう話にしよう」って決めた上でわかりにくい作りにして答えも言わない、ならまだ良いんですが、とりあえず風呂敷広げておいて後で答えを付けました、っていうのはこれまたちょっとモヤるんですよね。

ただこんなの知らないだけでいくらでもある話なんだろうし(ジャンルは全然違いますがミッション:インポッシブル/フォールアウトとかも撮りながら脚本書いていったらしいし)、本当に後付けで文句言ってるだけなんですけどね。文句っていうかなんか気になるというか。

ビシッとスキのない話ではないよな〜となんとなくモヤモヤしていたところ、この映画化の経緯を知って「そういうことか」と納得したような感じ。

自分の中には、これだけ謎めいた話にするのであれば緻密なストーリーであって欲しい、みたいな願望があるんでしょう。そうじゃないからまたモヤる、という。思わせぶりなだけで特に意味がない要素も結構あって、その辺も少し気になった面もありました。

それと、女優志望の主人公だからなのかはたまた描きたいテーマ故に主人公を女優志望にしたのかはわかりませんが、いわゆる“ハリウッドの裏”的な話が結構唐突と言うか、ぶっちゃけいらなくね感が感じられてこれもまたちょっとモヤったんですよね。ただこれはネタバレになっちゃうのでここでは控えておきます。

とは言えなんだかんだ言って面白いし気になる話

なんだかんだ少し不満気味に書きましたが、それでもまあ面白い映画であるのは確かでしょう。

きっちりとした答えを求めるタイプの人は不満が多いとは思いますが、いろいろ想像して補完するのが好きであれば、かなり好きになってもおかしくない映画な気がします。

僕はどちらかと言えば後者なんですが、ただその想像のさせ方はあんまり好きではないかなと言う感じ。それでも面白かったですけどね。

それでも世間的な評価はちょっと高すぎる気はしました。本当にみんなこの映画のこと、そんなわかったの…?

ネタバレンド・ドライブ

いろんな考察は賢い方々がいくらでもなさっているのでそっち方面はお任せしておいてですね、僕が気になった点を。

上に書いた“ハリウッドの裏”的な話、端的に言えば「上層部らしきメンバーが監督に主演女優をゴリ押して飲ませる」エピソードなんですが、あれいりますかね?

ゴリ押そうとした女優(もしくは弾かれた女優)が主役のどっちかなら全然わかるんですよ。でも二人とも関係ないじゃないですか。全然。夢でも現実でも。

あのすごく印象的な、広い部屋で後ろに人を控えさせておいてずっと座ってるだけのお偉いさん、最初に観た時の黒幕感からすごく期待していたんですが、結局何者だったのかもさっぱりわからず、なんなら一番いらねー感が強いじゃないですか。あれはすごいガッカリしたな…。

監督がブチ切れて車破壊しても大して後に響いた様子もないし、カウボーイも何者なのかよくわからないし、監督が飲んだ結果も特に描かれないしで、単純に当時リンチが同じような仕打ちを受けて不満だったから描いてやったぜみたいなどうでもいい内容にしか見えなかったんですよね…。そこがすごく引っかかったんですよ。

序盤に怖がって浮浪者ご登場でぶっ倒れた兄ちゃんもよくわからないし、「傑作」と言うにはちょっとノイズが多すぎる映画じゃないかなーと思ったんですが…賢い人なら全部理由がわかるのかなぁ…。その辺が一番モヤモヤしたポイントでした。

主役の女性二人の話に絞ってたなら、もっとグッと来たような気もするんですけどね。

このシーンがイイ!

イリュージョンの舞台のシーンは不気味さと怪しさと儚さといろいろ相まって素晴らしかったですね。あそこは本当に印象的でした。

それと謎の「ずっと座ってるだけのおっさん」の元にインターホン越しに話しかけるシーン、鏡のように話している人の顔も写ってあそこもまたいい感じに不気味で良いシーンでした。

それとベティのオーディションシーンがすごく生々しくて、話の上でも大切なシーンだっただけに、その熱演っぷりがとても良かったというのも書いておきたいところ。

ココが○

不安感を煽りつつ、「これこういう話なのか…?」と予想を楽しませてくれるという意味ではとても惹き込まれるものがありました。一言で言えばサスペンス感、って言うんですかね。そこはさすが。

ココが×

ネタバレ項にいくつか書きましたが、ちょっと「ノイズが多い物語」だと思うんですよ。謎を楽しませる映画ならもう少し余計な要素は削って欲しかったな、と。「結局あれなんだったんだよ」が多いとストレス感じちゃう。

MVA

主演のお二人どちらも良かったんですが、まあやっぱりこの人ですよねぇ。

ナオミ・ワッツ(ベティ・エルムス役)

女優志望のキラキラガール。すげーかわいいの。でももうこのとき30超えてんの。

さすがナオミ・ワッツですよ。50歳を過ぎた今でもかわいいですからね、この人。若い頃もさもありなん、と。

30過ぎてから主演したこの映画から売れた、ってことは結構な苦労人だったわけですね。詳細は避けますが、序盤と終盤の表情の違いや、文字通り体を張ったシーンも出て来るし、かなり意欲を持って臨んだ映画だったんだろうと思います。おっぱいも出てくるしね。ラッキーやで!

上に書いた通り、元々この映画はテレビドラマとして企画されていたものを焼き直したという経緯があるわけで、仮に予定通りテレビドラマとして放送されていたら、もしかしたらナオミ・ワッツはその後テレビのスターとしてキャリアを築いていた可能性もあるわけで、今の活躍っぷりも考えれば…このときドラマは頓挫してよかったのかもしれないと思わずにはいられないわけです。まさに運命のいたずらだよなぁ…。

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