映画レビュー0570 『名探偵登場』

やっぱり映画ファン的には少し気になるので、最近HuluとかNetflixとかAmazonプライム・ビデオとか少し調べてみているんですが、結局観られる映画は大作ばっかりなんですよね。

もちろん見逃していて「これ観たい」っていうのもあるし、「わざわざレンタルするほどじゃないけど観たい」的な映画もあるんですが、とは言え月額払って入るんだったらやはりヨーロッパ系の映画とか、いわゆるミニシアター系の映画も集めてほしいわけで、となるとスルーだなと思います。

どっかでマニアックな映画を集めてやってくれないですかね…。儲からないだろうからやらないとは思いますが…。

名探偵登場

Murder by Death
監督
ロバート・ムーア
脚本
ニール・サイモン
音楽
公開
1976年7月23日 アメリカ
上映時間
94分
製作国
アメリカ

名探偵登場

謎の大富豪トウェインは、ある日世界中で最も有名な名探偵5人を自らが住む豪邸に招待し、晩餐会の場で「0時になったらこの中の誰か一人が、この中の誰かに殺されて死ぬことになる。事件を解決したものには100万ドルをあげよう」と彼らに告げる。かくして“殺人探偵ゲーム”の夜が始まる…。

チープながら豪華キャストな、シニカルB級コメディ。

7.0

“ミステリー”というジャンルを嘲笑するかのようなミステリー・コメディ。時代性もあるとはいえ、オープニングから演出含めてとてもB級臭の強い、かなりアクの強い映画で、特に探偵を招待した主人・トウェインの悪趣味っぷりは結構くどいし鼻につくものがありましたが、それでも映画自体に不思議と味があるというか、観ていて段々のめり込んでいく感じが面白かったです。

ここで簡単な説明だ!

トウェインに招待された探偵は5人。それぞれが助手やら妻やらを連れていて、総勢10名。僕は(後から調べて名前ぐらいは知っているものもありましたが)元ネタはサッパリわかりませんでしたが、どうやらこの当時、(アメリカの)世間的にかなり流行っていた探偵モノの主人公たちをパロった登場人物のようです。おそらくこの辺の元ネタを知っているとかなり面白さが増すんでしょう。

日本で言うなら、古畑任三郎にコナンくん、金田一耕助に杉下右京にガリレオ先生が集められ、「お前らの誰か死ぬけど誰か解決したら金やるよ」と言われた、みたいな感じでしょうか。なんて豪華な。

今の時代ではいろいろうるさいだろうし、この時代だからこそできた企画のような気もします。

そしてそんな彼らを演じるのが、「刑事コロンボ」でお馴染みのピーター・フォーク(コロンボのパロ役ではないよ)、「博士の異常な愛情」その他で有名な演技派ピーター・セラーズなどなかなか豪華な面々。さらに盲目の執事役に初代オビ・ワン役でお馴染みのアレック・ギネス、探偵の妻として出てくるのがまだ若かった頃のマギー・スミス、さらに探偵の助手の一人に同じく若かりし頃のジェームズ・クロムウェルと、なかなか現代の映画好きにも興味深いキャスティングでした。

そしてなんと大富豪トウェイン役を演じるのは作家のトルーマン・カポーティ。カポーティって俳優もやってたのか! と思いましたが、どうもこの映画だけっぽいです。そういう意味ではかなり貴重な映画のような気もします。いろいろとアクが強い部分も含めて、なかなか他にない雰囲気を持つ映画でした。

ジャンルとしてはミステリー・コメディということで、基本は怪しい館で起こるその「晩餐会の夜の事件」を軸に、推理合戦と知恵比べを若干盛った設定でお送りしつつ、はてさて最後はどうなんねん、という内容になっております。有名探偵(のパロディ)を一堂に会しただけあって、推理モノやミステリーに対するちょっとシニカルな視点も盛り込まれた、かなり皮肉なストーリー。

一応コメディではあるものの、若干(狙って)趣味の悪い色合いが強いので、ゲラゲラクスクス笑うと言うよりは、鼻でフンッと笑いつつ「皮肉だねぇ」と言うような、ちょっと醒めた感じで観る映画な気がします。

ミステリー界隈はもちろん、それを好きな観客も込みでコケにしている感じも若干アリ。ただ映画としてふざけているわけではなく、あえてチープな作り・設定で言いたいことを強調しているような印象がありました。うーん、説明が難しいんですけどね。

序盤から語られる探偵の人間性であったり、盲目の執事と耳が聴こえず喋れない新人メイドのやり取りだったり、一応笑わせに行っているんでしょうが僕にはとても悪趣味に見えて、正直観ていてあまりいい気分にはならなかったりしたので、人を選ぶ面はあるような気はします。

そもそもが古い映画なので、それなりに古い映画に対する理解や寛容さがないと受け入れ難い面もあり、映画としてはやや上級者向けの印象。

ですが、最初に書いた通りなかなか面白いキャスティングだったり、ミステリーに対する「それそれ!」感のある皮肉たっぷりのセリフなど、見所もなかなかあるので、気になる方は観てみるといいかもしれません。

古い映画の割には、その古さが気にならず、価値観一本勝負で観られる内容なので、一風変わったサスペンス系映画として楽しめるでしょう。

B級好きの人にはもっとオススメ。

このシーンがイイ!

「ラスト5ページ」のセリフはもうあるあるすぎてお見事。

印象的だったのはオープニングとエンディング。チープながら今でも色褪せない薄気味悪さがすごく良かった。

ココが○

観客含めた全方位をバカにしているような雰囲気はなかなか珍しく、そこがこの映画の良さなんじゃないかと思います。

ココが×

結局はサスペンスっぽい仕上がりにしつつも「コメディだからね」で済ませるような、あの仕組みはなんだったんだよ的な細かい部分が気になる面はありました。

それとまあこれは余談ですが、あからさまにアジア系をバカにしている感があり、特に「日本人の養子」と言いつつ「シャンハーイ!」って叫ぶみたいな適当さはどうなのよ、と。

MVA

やっぱりピーター・セラーズがすごくてですね。この人イギリス人なんですが、なぜか中国人役でした。でも拙い片言英語の感じとか、甲高い声が本当にそれっぽく、この人の佇まいそのものがコメディというなんともこれまた気味の悪い感じがスゴイ。本当にこの人はスゴイですね。今やったら中国からものすごく叩かれそうだけど。

で、この人と悩んだんですが、こちらの方にします。

アレック・ギネス(ジェームズサー・ベンソンマム役)

盲目の執事役。

当たり前ですが本当に盲目っぽく見える見事さと、この人の存在感の気味の悪さがイコールで館の気味の悪さにつながるという素晴らしさ。この人もまた名優ですねぇ。

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