映画レビュー0130 『マイネーム・イズ・ハーン』

ほんとは洋画じゃないんですが、カテゴリー作るの面倒なんで洋画にしてます。てへ。

※ブログ引っ越し時に邦画・その他に変更

マイネーム・イズ・ハーン

My Name Is Khan
監督
カラン・ジョーハル
脚本
シバニ・バティージャ
出演
シャー・ルク・カーン
カジョール
ジェニファー・エコルス
クリストファー・B・ダンカン
エイドリアン・カリ・ターナー
音楽
シャンカル・イフサーン・ローイ
公開
2010年2月12日 インド
上映時間
162分
製作国
インド

マイネーム・イズ・ハーン

アスペルガー症候群のイスラム教徒・ハーンは、ヒンドゥー教徒のマンディラと結婚、幸せに暮らしていたが、「9.11」を境に生活が変わっていく…。

“人間むき出し”の愛情物語。

8.0

いわゆる「ディア・ハンター方式」と僕は勝手に呼んでいるんですが、序盤は長くて結構ダレます。1時間ぐらいでどうにも眠くて仮眠取ったのはナイショですが、その仮眠後ぐらいから物語が急展開、以降は眠くなる暇もなく引き込まれました。この辺もまったくもって「ディア・ハンター方式」。

アスペルガー症候群もイスラム教も、どちらも普通の日本人にはやや縁遠いものですが、そのフックのおかげで描かれている世界が逆に鋭利に見えたのがすごく印象的。

劇中いろいろな人間が登場しますが、どれもすべて“人間そのもの”。「人間っていいなぁ…」「人間って嫌なものだな…」という善悪両面をしっかりと見せてくれるので、ある意味で非常にリアルなお話でした。

アスペルガー症候群というのは僕も詳しくは知りませんが、劇中での主人公の描かれ方から察するにやや自閉症の傾向があり、周りからすると「人と少し違う」感じを受ける、「純粋すぎる」人、という感じでした。

この「純粋すぎる」というのが物語全般を通して非常に大きな意味を持っていて、純粋すぎるが故に普通の人なら配慮する場面でも自分の気持ちを通してしまったり、逆に普通の人なら成し得ないような大変なことも愚直にやり通したり、ちょっと「普通の人」とはフィルターが違うんですね。

この違うフィルターを通すことで、彼が接する「普通の人」の本当の姿が、綺麗な面でも汚い面でもあぶり出され、結果的に「人間とはこういうもの」という現代の人間像みたいなものをわかりやすく描くことにつながっていた気がします。

彼の奥さんや周りの人に対する愚直なまでの愛情というものは、それだけでもかなり考えさせられるテーマではありましたが、やはり印象的だったのは「9.11」以降の、特定の人たちを排除しようとする集団心理ですね。

これはアメリカに限らず、日本でもどこでも起こり得ることだけに非常に怖いし、自戒を込めてしっかり頭に留めておかないといけないものだと思います。価値観や宗教上、理解できない人たちを「理解できない」と判断するのは仕方がない面もあると思いますが、でもそこで共存を考えるのではなく排除に向かってしまうと、どうしても争いや不幸なことにつながってしまうわけで、そういった「受け入れられないもの」に対する接し方を考えるためにも、いろいろな人に観て欲しい映画だと思いました。

この映画も、途中で主人公の環境を変えていく力にジャーナリズムが使われていましたが、これは毎度のことながらマスメディアが腐りきった日本に生きる人間としては羨ましくもあり、自国を思うと悲しくもあり…。被災地に自分たちで物資を運んで復興を手伝う姿なんて、今の日本と重ねると違う意味でものすごく切なかった。

被災直後の東電の記者会見で「笑えてきた(笑)」なんて言っている人間が記者を名乗る某フジテレビみたいなのが「報道」を名乗ってるかと思うと、この国の将来はどうなるのかと暗い気持ちにならざるを得ません。

心ある、ジャーナリズム魂を持った人たちが表に出られる環境が出来ないものか、そう言った「日本が今抱える問題」にも目を向けさせられた社会派映画でした。

このシーンがイイ!

非常に短い些細なシーンでしたが、ハーンが500ドルを「寄付」するシーン。あれはすごく印象的なシーンでしたねぇ。

主人公の人間性と、イベント主催者側の「歪み」を見事に理解させる素晴らしいシーン。

ココが○

インド映画というと、なんかわかんないけど最終的には踊る、みたいなイメージがありましたが、この映画は音楽がインドとかイスラムの匂いを感じさせる面はあったものの、演出や話の展開は非常にハリウッドっぽいというか、ビックリするぐらい洗練された演出だった気がします。

そのおかげですごく理解しやすかったし、入り込みやすかったなぁと。邦画でこの域に達してる映画ってあるのかな…。大して観ないからわかりませんが、邦画よりよほど「映画らしい」、すごく賢く作られた映画だったと思います。

ココが×

…っていうのは逆の側面もあってですね。

うますぎるが故に「綺麗すぎ」て見えてしまうような面もありました。良くも悪くもフィクション臭が強くなるような。元々フィクションだからいいんですが、話の筋はすごくいいだけに、もっと不器用な映画になった方がより感動できたんじゃないかなぁと思います。ただそうなると集中しにくい面も出てくるので難しいだろうとは思いますが…。

そんなわけで、序盤の眠さに-1、「綺麗すぎ」な作りに-1で、8.0かな、と。

MVA

奥さん役の人の、感情の起伏の演技はなかなかいいなぁと思ってたんですが、まあこの映画はこの人かな、と…。

シャールク・カーン(リズワン・ハーン役)

やっぱり日常的に病を抱える人を演じるのは難しいと思うんですが、ここで嘘くさくなるとすべてが台無しなだけに、しっかりとした演技は文句なし。何気に結構イケメンなんですよね。

そのイケ具合も変に話に合わなくて違和感を感じるようなものでもなかったし、夫婦ともどもナイスキャスティングでした。

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