映画レビュー0756 『ネイキッド』

今年はちょっとNetflixオリジナル映画を掘っていきたいなと思っていまして、その思いを触発されたブログに載っていた「去年観たNetflixオリジナル映画ランキング」の10位からまず観ていこうじゃないかと。ということで10位だったこちらをチョイスしてみました。

ネイキッド

Naked
監督
マイケル・タイデス
脚本
コリー・コラー
リック・アルバレス
原作(オリジナル脚本)
トーケル・クヌーツソン
マーティン・クヌーツソン
出演
マーロン・ウェイアンズ
レジーナ・ホール
J .T.ジャクソン
スコット・フォーリー
イライザ・クープ
ロレッタ・デヴァイン
音楽
公開
2017年8月11日 各国
上映時間
96分
製作国
アメリカ
視聴環境
Netflix(PS3・TV)

ネイキッド

直後に結婚式を控えたロブ。いまだに婚約者のお父さんには結婚相手として認められていない中、絶対に失敗できない結婚式当日、目覚めるとなぜか裸でエレベーターの中に閉じ込められていた…。

アイデアは面白いんだけどもう一捻り欲しい。

6.5

上のあらすじだけではわからないんですが、実はこの映画はタイムループものです。なんと。

主人公のロブは生徒に人気の臨時教師なんですが、正式に教員として雇うよ、と誘われても断るぐらいに「テキトーに生きたい」感じの人。その彼も美人(と一応言ってますが正直そうは見えない)婚約者で敏腕医師でもあるメーガンとの結婚式を控え、良い嫁さんゲットできて俺の人生成功が約束されてるぜ的な感じでしょうか。

ですが、メーガンパパ(24のパーマー大統領でおなじみのデニス・ヘイスバートが演じます)にはそのテキトーな性格ゆえにあからさまに嫌われており、結婚式前日に実母の目の前ですら結構な嫌味を言われるというなかなかキツイ状況。それ故に明日の結婚式は失敗できない…! でもその前に飲み行こうぜーっと親友と飲みに行き、気付いたら全裸でエレベーターの中に閉じ込められていましたよ、と。

で、この映画の変わっているのはここからで、この「全裸でエレベーターの中に閉じ込められている」状況をスタートにして、彼はこのあと1時間程度のアレコレを繰り返すことになります。

タイムループものということで「ミッション: 8ミニッツ」や「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を思い出させる作りですが、言うなれば「オール・ユー・ニード・イズ・全裸」というところでしょうか。ひたすら同じ時間を繰り返し、一つミスっては戻ってそれを挽回し、また新たにトラップが見つかってはそれを潰し…と繰り返しつつ果たして彼は無事愛しのメーガンと結婚できるのか…! というお話でございます。

ぶっちゃけちゃうと、もうこの設定がすべてというか設定オチというか…これ以上でも以下でもないお話ではありました。

当然ながら「失敗して戻るお話」なので、トライ&エラーの繰り返しで少しずつ目標(無事結婚)に向かう男の話をひたすら追うだけになります。この辺は上記2作品も似たような部分はあるものの…やっぱりコメディだからというのもあるんでしょうが、〆の部分で「おお〜こうなるか」みたいな部分は希薄だし、途中の進展のさせ方も今ひとつ工夫に欠ける気がして、もう少しひねって欲しかったなぁというのが正直なところ。

それなりに伏線も張られてはいるんですが、数としても意外性としても見せ方としても今一歩感は拭えず、設定が面白いだけにもうちょっとやれたんじゃないのかなーという思いが強い映画でした。

コメディ&タイムループらしくそれなりにテンポもいいし、気楽に観られるという意味ではなかなか悪くない映画だとは思いますが、ただその設定以上に見るべきものが特に無いというのがやっぱりちょっと残念だな、と。

ただ、タイムループを繰り返すことで少しずつ元カノ・元カレとの関係性も見せていく辺りはなかなかウマイ部分もあるし、決して観て損するほど悪いわけではありません。というか前フリごっそりなくしてタイムループスタートから徐々に背景を全部見せていく感じで良かったんじゃいのかなーという気も。何せオープニングでベッタベタに「結婚させたくない!」と嫁パパが荒ぶってくれるので、その辺無くしてタイムループを通して「ああ、反対されてるのね」ってわかる構成でも良かったんじゃないかなーとか。

まあ、この辺は作る苦労もわからないクソ野郎の戯言なので無視していただいて結構なんですが、せっかくの面白さを活かしきれずにところどころ顔を出すベタさが少々残念なお話ではありました。

でもまーとは言えオリジナル映画でこういうのを作っちゃうのはなかなか面白いですよね、やっぱり。「(ある程度)やりたいことがやれるオリジナルだからこそ」のエグい描写とかも無いので、そこがむしろ普通に観られるとっつきやすさにつながっているのもポイントでしょう。

気楽な映画が観たいぞ、ってときには良いんじゃないかと思います。

ネタバレッド

やっぱり「なんでタイムループする(している)のか」にまったく触れずに終わるのはちょっと気になりましたね。コメディだから良いでしょと言われればそれまでなんですが…もう少し理由付けが欲しい。

ほぼ1時間、鐘が鳴ったら戻るという設定からズレてはいないんでしょうが、途中でお母さんが酒飲んでるシーンとか少々時間の扱いも怪しい気がしたりして。この辺もコメディにマジレスすんなよっていう話だとは思うんですが、そこを詰めた方が納得感もあるだろうし。

そもそも後半は「前半で学習したから」といろいろすっ飛ばして話が進むんですが、そこも実際1時間でそこまでできるか? みたいな部分も多く、いろいろアラが目立つお話だったのは確かでしょう。

このシーンがイイ!

ネタバレになるので具体的には書きませんが、結婚式の参列者の変遷がわかるシーンはタイムループものっぽくて好きです。

ココが○

設定でしょう。良い設定。この手の映画たくさん作って欲しい。「またタイムループかよ!」って言いつつ観ちゃいそう。

ココが×

基本1時間の設定のはずなんですが、後半「前にこの人との絡みは描いたからカットするよ」的にバッサリカットしつつ、1時間でそこまでできるか? みたいな部分が結構多かったのが気になりました。

主人公以外もタイムループしているなら納得ですが、当然ながら他の人たちは毎回「初めてロブに会う」わけで、それでなんでそこまで関係性作れるの? っていうのが気になったんですよね。まあそれこそマジレスすんなって話だとは思うんですが。

MVA

正直申し訳ないんですがちょっと二軍感のあるキャスティングだったのは否めない気がします。特にヒロインである奥さん。あそこまで持ち上げるならもうちょっと美人さんをあてて欲しかった…。

主人公のロブを演じるマーロン・ウェイアンズは初めて観ましたが、役に合わせた演技で頑張っていたと思います。が、ちょっとオーバーすぎるかなという気がしました。コメディだから良いんだろうけど。

ということで今回はこちらの方に。

ミンカ・ケリー(キャリー役)

物語の鍵を握る(?)、ロブが前日夜に会った女性。

役どころは観ていただくとして、雰囲気からして一番役者感が出ていたというか。この人だけハッとさせる雰囲気があって、そこが良かったなーと。

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