映画レビュー1231 『ニック・オブ・タイム』
今回はJAIHOに戻ります…が、かなりの有名作ですね。
大昔に観たような気もするんですが、調べたら多分観てねーなということでいい機会だし観ました。
ニック・オブ・タイム
パトリック・シーン・ダンカン
ジョニー・デップ
クリストファー・ウォーケン
チャールズ・S・ダットン
ローマ・マフィア
マーシャ・メイソン
ピーター・ストラウス
グロリア・ルーベン
G・D・スプラドリン
アーサー・B・ルビンスタイン
1995年11月22日 アメリカ
90分
アメリカ
JAIHO(Fire TV Stick・TV)

最後の力技がつくづく惜しい。
- 謎の男女に娘を人質に取られ、否応なしに暗殺を命じられる男
- ほぼリアルタイムで展開する「プロトタイプ24」
- ジリジリとした面白さは色褪せないものの最後は結局力技
- イラつくウォーケンが見どころ
あらすじ
途中までは先が気になる感じで惹きつけられつつ、「これ終わらせ方大事だけどイマイチダメそうな気がするな〜」と思ってたら実際ダメだった、という惜しい映画でした。惜しい。惜しくて惜しい。
娘とともにとある駅にやってきた会計士のジーン(ジョニー・デップ)は、警官を名乗る男女にバンに乗らされ、あーだこーだしているうちに娘は人質に取られ、「無事返して欲しければ90分以内にある人物を殺害しろ」と脅されます。
お膳立ては整ってるからお前は引き金を引くだけの簡単なお仕事だよ、と言われながら現場となるホテルに到着、ターゲットを確認したところなんとカリフォルニア現知事のエレノア(マーシャ・メイソン)でしたとさ…!
あの手この手で時間を引き伸ばすも謎の男スミス(クリストファー・ウォーケン)に監視されているために逃げることも出来ず、刻々と迫るタイムリミット。
果たしてジーンは、そして娘ちゃんはどうなる!?
設定の面白さ vs オチの凡庸さ
「90分以内に暗殺しろ」と強要されるこの映画、上映時間も90分。最初のあーだこーだは別として、ホテルに入ってからはほぼリアルタイムの当時としてはなかなか珍しい、面白い試みの映画です。
当然ながらその性質上、どうしても「24」がよぎってしまうわけですが、24のシーズン1は2001年だそうなので(もう20年以上前なのかよ)それよりも5年以上前に作られた、まさにプロトタイプ的なイメージ。
しかも話の内容も「娘を人質に取られ、要人(政治家)暗殺を強要される」という「24シーズン1」前半とかなり近いものになっていて、なおさら「24はニック・オブ・タイムからインスパイアされたのか…?」と思わざるを得ません。20年を経ての答え合わせです。(観るのが遅いだけ)
あれだけ爆発的な大ブームを起こした「24」の原型的な映画なだけに、当然当時としてはかなり先進的な映画であることは間違いなく、また現代になってもこの手のリアルタイム映画はそんなに数もないので今観ても結構新鮮で、なかなかいいスリラーになっていると思います。
そもそも「この窮地をどう脱するのか」というわかりやすい“引き”もありつつ、ジョニデに暗殺を強要する謎の男クリストファー・ウォーケンは何者なのか…が良いスパイスになっていて飽きさせません。ウォーケンの時点でたまらないという説もあります。個人的に。
オープニングを除けば舞台もホテルのみで完結するほぼワンシチュエーションなのでかなり情報が絞られた内容でもあり、それ故に集中しやすくわかりやすく面白い…んですが、こういうのはやっぱり「どうケリをつけるのか」が重要なので、その部分でかなり不満があり、総じて「もっと面白く出来ただろうに惜しい」という例の評価に落ち着くわけです。
若干ネタバレ気味になりますが、早い話が「珍しい作りの映画なのに終わり方が超ベタ」なんですよね。そこに力入れなくてどうするんだよ、っていう。
すごく緻密に“逆襲”に転じるのか、はたまた意外にも屈してしまってバッドエンドか、どんな形にせよ意外性が欲しかったんですが…結局は力技で「はいはいそういうパターンね」ってなケリの付け方で終わるので、途中まで面白かっただけにひどくがっかりしました。
途中は結構「おおっ、そう来るか」みたいなシーンもあったので、なおさら終盤のおなじみ感が許せないというか。まあもうこの辺はハリウッド映画の宿命みたいなものもあるんでしょう。
今であればもっとウォーケンがワケアリだったりとか色々変えようもあると思うんですが、良くも悪くもこの頃らしいストレートな内容なので余計にラストのひねりのなさのガッカリ感が増したのかもしれません。
もっとも、何度も書いているように今の自分は「お決まり展開飽き飽きシーズン」中なので、それこそこの映画も公開当時、リアルタイムで観ていればもっと面白く感じたのかもしれませんリアルタイム映画なだけに…!
24も観よう
映画というのはどうしても終わり方で大方の評価が決まってしまう面があるので、それ故どうしても途中までの面白さは吹っ飛ばして「イマイチだったな」と思いがちな部分はあるんですが、ただ今観ても新鮮ではあるしオチの捉え方は人それぞれだとも思うので、未見の方は一度観てみることをオススメします。
そしてこれが面白かったらぜひ「24」を観てほしいなと思う次第。24はマジで面白いですよ。最初の3シーズンぐらいは特に。
と24の宣伝をして終わるという謎のレビューとなりました。グッバイ。
このシーンがイイ!
途中でウォーケンがアレするところ。あの辺がピークでした。何をするかは興を削ぐので書きませんが、あれで大体の立場がわかったところでそこからもう一捻りほしかったよなぁ、というところ。
ココが○
ほぼリアルタイムでわかりやすいストーリーは今も楽しめていいと思います。
それとまったくの余談ですが、舞台となるウェスティンボナベンチャーホテルは僕が一度だけ行ったアメリカ旅行時に滞在したホテルだったのでめちゃくちゃ懐かしかったです。阪神大震災のニュースをここで見た思い出。(つまり撮影時期もかなり近い)
ココが×
とにかくオチ。あんなにジリジリ進めてたのが一気に力技で台無し。しょうがないんだろうけど。
MVA
ジョニデが若い! まだ怪しい役だらけになる前、って感じで逆に新鮮でしたが…まあご贔屓ということもあってこちらの方に。
クリストファー・ウォーケン(Mr.スミス役)
ジョニデを“スカウト”する謎の男。
やたら脅す割には実力行使に及ばないので、実はいい人なのでは…? と思わせといて別にそんな深いキャラでもない、という残念さ。
ここが違えばなー。「彼なりの正義」みたいなものがもっと感じ取れればまったく印象が変わっただけに残念。
ただウォーケンがイラついてハッスルしてくれてるだけで僕は満足です。いつまでも元気でいて欲しい。