映画レビュー1088 『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』
本日は「ウォッチパーティ」の投票にて選ばれたこちらの映画。
公開当時から結構「シティーハンターしてる!」と話題になっていたので気になっていましたが、はてさて。
シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション
フィリップ・ラショー
フィリップ・ラショー
ピエール・ラショー
ジュリアン・アルッティ
ピエール・デュダン
『シティーハンター』
北条司
フィリップ・ラショー
エロディ・フォンタン
タレク・ブダリ
ジュリアン・アルッティ
ディディエ・ブルドン
カメル・ゴンフー
ラファエル・ペルソナ
ソフィー・モーゼル
パメラ・アンダーソン
ミカエル・トルディマン
マキシム・デプレ
2019年2月6日 フランス
93分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

最高にシティーハンター、最高に愛を感じる!
- フランス発・実写版シティーハンター
- 監督・主演・脚本のフィリップ・ラショーがシティーハンター好きすぎて作った半ファンムービー
- あらゆるところにシティーハンターリスペクトが感じられ、愛がほとばしる傑作
- 主演の二人はプライベートでもパートナー
あらすじ
いやー参りましたね。これは。ちょっと迷いましたが、例によって「これだけ面白けりゃ満点でしょ!」と勢いで満点つけました。端的に言って最高。
主人公のニッキー・ラーソン(フランス版のシティーハンターにおける冴羽獠の役名。演:フィリップ・ラショー)は探偵兼ボディーガード兼殺し屋という…簡単に言えば“裏のなんでも屋”といったところでしょうか。通称は「シティーハンター」。女好きで美人にめっぽう弱い、しかし拳銃の腕はピカイチで決めるときはしっかり決める男でございます。
相棒は親友の妹、ローラ・マルコーニ(こちらもフランス版シティーハンターにおける槇村香の役名。演:エロディ・フォンタン)。
二人はとある依頼人により、「嗅いだものを魅了する」“キューピッドの香水”の警護の依頼を受けるものの、即座に一瞬のスキを突かれ何者かに奪われてしまいます。
この香水は「48時間以内に香水瓶に装着された解毒剤を使用しなければ永遠に効果を解除できない」代物で、試しに使用していた二人はそれまでに奪還しなければまずいぞ、ってことで香水を取り戻すべく奔走する…というお話になっております。
最高の実写化
オープニングに登場する一般人の患者さんの名前が「モッコリーさん」というのっけから下ネタ&小ネタ満載で、全編通してサービス精神旺盛。むちゃくちゃ面白かったです。
ちなみに僕は「シティーハンター」についてはそんなに詳しくもなく、連載当時に少し読んだかな〜という記憶があるぐらい(この時点で結構な歳なのがバレてしまう悲しみ)。アニメはシティーハンターに限らずほぼ通ってきていないのでこれまたあまり詳しくはないんですが、ある程度ベース的な知識(声優は神谷明でエンディングにはGet Wildが流れる、とか)はあるよ、という程度。
そんなレベルの人間から観ても、とにかく全編通して「シティーハンター愛」ほとばしる映画になっていて、あらゆる部分で「シティーハンター好きだぜ!」という制作者(主に監督・脚本・主演を兼ねるフィリップ・ラショー)の原作者・北条司に対するラブレター感がすごい。この映画単体としてきちんと成立した映画でありつつも、それ以上に(公私混同すら感じさせるレベルの)“ファンムービー”的な色合いが強く感じられ、その愛の強さに引っ張られ大して詳しくもない人間のくせに「シティーハンター最高だよな!!」と思わずシティーハンター派になってしまうような、とてつもない勢いを持った大傑作でした。
ストーリー自体はオリジナルなんですが、まあとにかく細かいネタをグイグイ差し込んでまったく飽きさせないし、でもそれがシティーハンターの世界観を壊さない、むしろマンガで読んでも違和感がないんじゃないかと思えるぐらいにきちんと守るべきところを守っているような内容に感じられ、これはもう本当にやられました。すごい。愛が。
BGMもところどころアニメ版と同じものを使用していたり、(今回は字幕で観ましたが)日本語吹き替え版ではオリジナルキャストの人たちがオリジナル通りの役を演じていたり(主演の二人は違うものの別のところで登場してます)と、とにかく色々と「原作のファンをガッカリさせないように」考えて作られているし、その上そういった配慮主体でつまらなくなるわけではなく、むしろそこに乗っけてさらに実写版として完成度高く作り上げています。ドラゴンボールの実写版はなんだったんだ。(まだ観てないけど)
もはや「マンガ(アニメ)の実写版映画」として最高の部類と言っていいと思いますね。外見的にもすごく頑張ってるし、海坊主なんて再現度高すぎて登場シーン(オープニングだけど)から爆笑ですよ。
映画オリジナルキャラの使い方も上手い
またこの映画オリジナルのキャラクターたちが物語上(コメディ上でも)とても大きな存在になっているんですが、それも「原作にいないキャラが目立ちすぎ!」みたいな違和感も無いんですよね。原作で言えば「各エピソードに登場するサブキャラがいいキャラしてた」みたいな感じで。
これはやっぱり主要キャラがしっかりしてるからなのかなと思うんですよ。冴羽獠は完全に冴羽獠で、美女に弱いし下ネタだらけだけど決めるときはしっかり決めるかっこよさがあり、こっちが安心して「冴羽獠だ」って認められる強さがあるんですよね。香にしてもそうだし、海坊主にしてもそうだし、冴子もすごく冴子っぽい色気があって。
もう序盤から完全に「これはシティーハンターの世界だ」と観客に思わせてくれるので、そこに強めの(この映画の)オリジナルキャラが出てきても全然ブレないわけです。これがまた見事でしたね。
つまり原作に配慮して似たようなエピソードをフランスで作りましたよ、というレベルからもっと先の、物語的に“美味しい”オリジナルキャラを盛り込みつつ全体的には「完全にシティーハンター」という実写映画を作り上げているわけで、この上手さ、強さは衝撃を受けるほど。いやホントに素晴らしかった。
ということでね、もうとにかく観てくださいという話ですよ。まあ満点つけちゃったので問答無用で観ろよ案件なのは言うまでもないところです。
ウォッチパーティで観た他の人達も総じて絶賛していて、その中には僕よりももっとシティーハンターに詳しい人もいればシティーハンターをまったく知らない人もいましたが、それでも口を揃えて「面白かった!」と言っていたので、シティーハンター云々あまり気にせず誰が観ても面白い映画ではないかなと思います。だからこそ満点。
基本コメディなので気楽に観られるし、笑いとしても国の違いが気になるようなタイプでもなく普通にゲラゲラ笑っちゃうぐらいに良く出来てるし、そして「シティーハンター」らしく決めるところは決めるしで一粒で何度も美味しい映画でした。
近々吹替版も観ようと思います。もうソフトが欲しいぐらい好きですね、この映画。
このシーンがイイ!
Get Wildを意識してなのか…「アスファルトタイヤを切りつけながら 暗闇走り抜ける」シーンがあるんですよ。んでそこがまた爆笑なんですよ。あのシーン最高だったなー。
あとはやっぱり終わり方がもう「シティーハンター!」って感じで素晴らしい。本当に最初から最後まで裏切らない素晴らしさ。
ココが○
オリジナルストーリーでありながらちゃんとシティーハンターしつつ、しかも面白い。文句無し。
ココが×
何もないですねホントに。マジで。ジーマーで。
MVA
うーん、各人それらしくてとても良かったですが…きっとこの映画を観た人はこの人にするんじゃないかなと…。
タレク・ブダリ(パンチョ役)
香水の力で香に惚れてしまった男。
まーね、役がちょっと美味しすぎましたね。もう彼が出てきた時点で笑っちゃうレベル。美味しすぎ。最高でした。
それとやっぱりすべての愛の元凶であるフィリップ・ラショーも外せません。この人あってのこの映画なのは間違いないところですからね。
自分が好きで作った割に冴羽獠としても違和感のないビジュアルだったし、これだけのものを好きで作っちゃうんだからスゴイ。
ちなみにこのフィリップ・ラショーとテレク・ブダリ、香水を持って行っちゃうおっさんを演じたジュリアン・アルッティ、そして香役のエロディ・フォンタンの4人はコメディグループを作っているらしく、他の映画もいろいろ作っているようで俄然他の映画も気になります。配信に来ないかなぁ。