映画レビュー0872 『クーデター』
また平常運転のネトフリ終了間際シリーズにお戻りです。
クーデター
ジョン・エリック・ドゥードル
ジョン・エリック・ドゥードル
ドリュー・ドゥードル
オーウェン・ウィルソン
レイク・ベル
スターリング・ジェリンズ
クレア・ギア
サハジャック・ブーンタナキット
ピアース・ブロスナン
2015年8月26日 アメリカ
103分
アメリカ
Netflix(PS3・TV)
ただ観てるだけでOKのわかりやすいアクションスリラー。
- 新しい仕事がんばるぞー! と思った直後に命を狙われることになる不幸な一家
- パンピー一家は非常事態宣言状態の国から無事逃げられるのか!?
- 思わせぶりな謎のイギリス人の正体は!?
- ひたすら逃げるのを観ているだけの気楽な(しかし怖い)映画でさっくり観やすい
あらすじ
例の特徴的な鼻でお馴染みのオーウェン・ウィルソン主演の映画ってことでね。この人脇役イメージ強かったので主役は意外。
そのオーウェン・ウィルソン演じる主人公のジャックは、元々小さな会社を経営していたようですがあまりうまく行かず、再就職してやり直すぞ、と心機一転活躍の場を(会社事情で)アジアに求めて一家揃ってお引っ越し。
物語上いろいろ問題もありそうということで劇中では国名は明かされていませんが、東南アジアのどこかの(おそらくは架空の)国のようです。「ベトナムが隣って言ってるからカンボジアかラオスだろ」とか予想するのはやめて差し上げろ。
彼は(悪名高き)「カーディフ社」というアメリカの水道会社の技術者なんですが、その会社による支援事業として現地にやってきたところ即座にクーデターが発生、しかもその原因にどうやら自分が関わる事業も関係しているらしい…ってことで命を狙われることに。
住まいとなるホテルも破壊されて戦争状態、安眠する場もない中、奥さんと小さな娘2人を守りながら、果たして彼は無事逃げることができるのか…というお話です。
いきなりハードモード一家
ってことでね。今話題の水道事業ですよ。日本でも民営化法案通っちゃいましたからね。一説によると竹●平蔵と麻●太郎の利権絡みらしいですが。
「ザ・ウォーター・ウォー」よろしく、命に直結するインフラは経済合理性が絡んでくるといろいろと厄介な状況を招きかねない、ってことで…さすがに日本でこんな非常事態は起こりにくいとは思いますが、それでも少しざわつくような、ある意味ではタイムリーな映画かもしれません。
一応オープニングでクーデターの模様は描かれるんですが、あとはもう本当にひたすら逃げるだけ。いきなりハードモードですよかわいそうに。撮影もしんどかったでしょうね…。
クーデターそのものはぶっちゃけ(舞台背景として以外では)さしたる意味もなく、ただ「主人公一家が追われる」セッティングとしてしか機能していません。が、そのおかげでわかりやすいし余計な部分で間延びすることもないしでなかなか割り切った作りが良かったと思います。
主人公はあなたです
ネットで見かけたレビューに「形を変えたゾンビ映画だ」と言っている人がいて、なるほど言い得て妙、それもそうかもしれないなと。
もちろん相手は生身の人間なので、ある意味ゾンビの方が(イメージ的に)遅いし楽なんじゃねーの、ってぐらいに「普通に見つかれば殺される」移動が続くしんどさったら無いですよ。
なにせこっちは武器もないしただの一般人ですからね。つまりはあなたですよ。ユー。そしてミー。ユーアンドミーですよ。
おまけに一人ならまだ隠れやすいけど小さい娘も2人いるし。そりゃあ大変です。この時点でノットミーですが。悲しみ。
実際問題こういう場面に直面する運が悪い人っていると思うんですよね。この話のように「完全にターゲットになる」ことはかなりレアだとは思いますが、単純にこうした危険な状況に直面しちゃうケースってあり得るじゃないですか。特に中東とか外務省が行くなよって言ってるような地域で商売してる人とか。
そういうある種のリアリティがあるので、結構自分の身に置き換えて観やすい=アトラクション的に集中しやすい映画だと思います。
もう本当に「逃げるだけ」の単純な話ではあるんですが、それだけにリアルなのが良いですね。これで急に主人公が激強だった的に素手でバッタバッタと倒して行ったら台無しですからね。
頭空っぽにして観てください
他にも一応フックとして「クーデターの背後関係」的なお話もちょろっと出てきて、単純に「アジア最悪だな」って話でもないのが今どきっぽくて◎。
その辺の事情に絡んでくるピアース・ブロスナンの人選もさすが(というかある意味待ってました感)だし、小粒ですがなかなか勘所を押さえた映画だと思います。
意外性のある映画ではないので、予想以上にガツンとやられたみたいなことはなかなかないとは思いますが、しかし強烈な話ながらグロさもあまりなくて観やすいし、頭空っぽにして「ヤバイヨヤバイヨ」と出川ばりに見守るには良い映画かもしれません。
このシーンがイイ!
序盤のビル渡りは見せ場でしょう。あれはなかなかドキドキしました。
あとはピアース・ブロスナンがねー。やっぱり銃の構えがかっこいいんですよ。昔取った杵柄的なね。「キタキタキター!」って感じで。あそこも良かった。
ココが○
この映画は良く見せようとして余計な話を盛り込むとダメになっていくタイプの映画だと思うので、その辺身の丈に合った作りで「逃げる」一本に絞ったのは好判断でしょう。その分、尺も短めで◎。
ココが×
やっぱり…この手の話は仕方がない面があるんですが、どうしても「やばい!」って時にギリで助かる、みたいなシーンが多いんですよね。
一応観客のマナーとして「これは流石に死ぬでしょー?」って脳内で良いお客さんを演じるんですが、でも結局「ああやっぱり助かるよね」の繰り返しなので…もはやどうしようもないんですが、この辺で(助かる・死ぬ以外含め)予想外の展開が無いとなかなか「こりゃすげぇ映画だ!!」とはなりにくいかな、と。
MVA
オーウェン・ウィルソンもしっかり良い意味での「普通のお父さん」を演じてくれてて良かったし、ピアース・ブロスナンもやっぱりイケオジでイイねって話なんですが…この人にします。
レイク・ベル(アニー・ドワイヤー役)
奥さん。
一番感極まった感じとか、子供を守らないと感とかよく出てたかなと。
序盤を観ていた時の僕の予想では「奥さんだけ早々に退場」だったんですが…果たしてどうなんでしょうね!?