映画レビュー1595 『ワン・バトル・アフター・アナザー』

普段なら160分超えの映画はなかなか気合いが必要なレベルなんですが、「サタンタンゴ」を観たおれたちにはこんなの朝飯前だぜ! と余裕綽々で観るぞと決めました。
おれたち is おれ。

ワン・バトル・アフター・アナザー

One Battle After Another
監督

ポール・トーマス・アンダーソン

脚本

ポール・トーマス・アンダーソン

原作

『ヴァインランド』
トマス・ピンチョン

出演

レオナルド・ディカプリオ
ショーン・ペン
ベニチオ・デル・トロ
レジーナ・ホール
テヤナ・テイラー
チェイス・インフィニティ
アラナ・ハイム
ウッド・ハリス
シェイナ・マクヘイル
トニー・ゴールドウィン
ジム・ダウニー

音楽

ジョニー・グリーンウッド

公開

2025年9月26日 アメリカ

上映時間

162分

製作国

アメリカ

視聴環境

U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

ワン・バトル・アフター・アナザー

Fワード言いまくりディカプリオにハズレなし。多分。

8.5
かつて革命に身を投じた男が16年後に再び追われる
  • 革命グループの活動家が同志と結婚するも妻は捕まり、娘とともに逃げる
  • 16年後、再び残党狩りが活発化し親子バラバラに逃げる
  • 追う側・追われる側ともに濃いキャラで先も読めず飽きさせない
  • 例によってFワード言いまくりのディカプリオ、もはやおなじみ

あらすじ

ポール・トーマス・アンダーソン監督作品はひねくれたものが多い印象であんまり合わないことが多いんですが、今作はさすが大絶賛されているだけあって素直に面白かったです。

移民を解放したりの革命運動に勤しむ「フレンチ75」のメンバー、パット(レオナルド・ディカプリオ)とパーフィディア(テヤナ・テイラー)はラブラブな同志でございます。
パーフィディアは活動中に遭遇した収容所の指揮官、ロックジョー警部(ショーン・ペン)に何故か勃起を強要し屈服させ無事移民を解放しますが、ロックジョーはそのことで性癖が歪んだのかパーフィディアに異常に興奮するようになってしまい、後にリベンジ的に捕らえるもセックスを条件に解放してしまいます。
パットとパーフィディアは結婚、めでたく娘・シャーリーンが誕生しますがそれを境に娘最優先となって革命から遠ざかるパットと革命優先のパーフィディアはすれ違い。
ある日パーフィディアは逮捕されてしまい、ロックジョーの甘言に負け仲間を密告、証人保護プログラムを経て姿を消します。
パーフィディアの密告により崩壊寸前のフレンチ75ですがパットはなんとか逃げおおせ、それから16年後。
パットはボブ・ファーガソンと名を変え、シャーリーンはウィラ・ファーガソン(チェイス・インフィニティ)となり超過保護家庭として暮らしていましたが、改めてフレンチ75への捜査が再開されまさに目前まで迫ってきたとき、ファーガソン親子はそれぞれ別々に逃走を始めますが…果たして…!

ずっとなんか面白い

様々なサイトの概要を見ても大体「逃げるよ」という内容だったので、結構単調な逃げるだけの話なのかな…と思っていたんですがアカデミー賞を席巻した作品だけに当然そんな単純なものではなく、時折攻防入れ替わったりすることもあってまったく飽きること無く観終えました。
160分超えという長さなので途中で中だるみもしそうなものですが、全だるみと言ってもいいサタンタンゴをクリアしてきた男にはまったく問題なく、なんなら短かったねぐらいの印象でしたよ。これぞサタンタンゴパワー。
最初に書いたように、個人的にはポール・トーマス・アンダーソン監督作品はあまり合わないと思っていた上に、今作は「インヒアレント・ヴァイス」と同じトマス・ピンチョン原作映画でもあるのであんな感じでちょっとクセがあって乗り切れない感じなんじゃないかと思っていたんですが、クセがあるのは登場人物のキャラクターぐらいで話や流れは非常に入り込みやすい娯楽感があってとても面白かったです。
まーやっぱり主人公を演じるディカプリオのだらしなさと彼を追うショーン・ペンの異質さがアンサンブルを奏でてる系ですよ。よくわかんないけど。
方やもはやこんな役ばっかりな気がするFワード連発ディカプリオ、方や変態軍人ショーン・ペンですからね。面白くないはずがない。
そしてこの状況では被害者としか思えない娘ちゃんも「革命家の娘」を感じさせる強さでただの悲劇のヒロインではないところも面白いし、ディカプリオに助力するベニチオ・デル・トロ演じるセンセイ(空手の先生のためそう呼ばれている)の飄々とした大物感もめちゃくちゃ良くて、1シーン1シーンがワクワクする楽しさ。
逃走劇なので深刻に描こうと思えば描ける内容ですが、今作はちょっと変わったテンポを感じさせる劇伴がすごく効果的に使われていて、深刻そうなシーンでもちょっと面白いシーンだなと思わせてくれる辺りが本当にお上手でした。
なんか面白いんですよね。なんか。
「面白いな」ってシーンじゃないのに、なんか面白いわ、ってニヤニヤしちゃうんですよね。コントとか漫才の笑いどころではない時間帯みたいな感じ。こっちが笑うモードになっちゃってるというか。
もちろん全編がそうというわけではなく後半は徐々にシリアスになってはいきますが、序盤の雰囲気で文字通り“つかみ”が出来ているのでその先どう展開していっても信頼できる感覚があるような。
この雰囲気の作り方はすごいなぁと感心させられました。

安全圏から楽しめる良さ

特にこれ以上言うことなく。いつも通り観方が浅いのでここがどうであそこがああでと語れません。「なんか面白かった」としか言えません。
やっぱり結局主人公二人(ディカプリオとショーン・ペン)がどっちも違う方向でおかしいからそりゃ面白いよね、って映画なんだろうと思います。
ショーン・ペンは怖い寄りの面白さ、ディカプリオはダメ寄りの面白さで観客が中央から上も下も面白がることができる良さというか。逃走&追走劇なだけに安全圏から観ていられる楽しさみたいなのはあったでしょう。
どっちも違う方向で変な人な分、自己投影せずに娯楽として楽しめるのも良い点ですね。ディカプリオと同化しちゃうとドキドキ大変ですからね。出自が革命家の時点でもう自己同一視する人はほぼいない点は狙ってやってるのかな、とか。
なんにせよ、これだけの長尺を飽きさせずに見せきる力量は恐るべし、といったところではないでしょうか。

このシーンがイイ!

センセイの家で電話しているシーンがめちゃくちゃ笑いましたね。ディカプリオの顔芸もあるし話が噛み合わないしで最高でした。
あと道場に逃げ込んだディカプリオが「ヌンチャクじゃ戦えないよ!」ってヌンチャク持って出てきたところは爆笑しました。

ココが○

長いもののテンポが良いのは間違いないと思うので、やっぱりテンポって大事だなと思います。
芸術的で長いのはね…眠くなっちゃうからね…どの映画とは言わないけどさ…。

ココが×

なにせショーン・ペンが変態なのでやや下ネタ的に気になる点はあります。その辺りダメな人はダメそう。

MVA

皆さん素晴らしくてですね。
ディカプリオはやっぱりさすがだな〜とか、ショーン・ペンはアカデミー賞取っただけあるな〜とか、娘ちゃんもこれからの役者さんだろうに意志を感じる強さが良いな〜とかそれぞれ良かったんですが、キャラ的にもズルかったのでこちらの方にします。

ベニチオ・デル・トロ(セルヒオ・セント・カルロス役)

センセイ。ディカプリオの逃走を手助けする移民コミュニティのリーダー的存在。
まあ観ればわかりますがめちゃくちゃいいキャラでした。落ち着いてるけど独特の面白さがあって。
こういう役をデル・トロがやったらそりゃあ良いに決まってますよ。キャラが良すぎる。
この映画を観てセンセイを好きにならない人はいるのか!? って感じでしたね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です