映画レビュー1002 『オンリー・ザ・ブレイブ』
今回はツイッター上で最も自分と映画の好みが近いと思われる方が大絶賛していたのを目撃し、「そこまで言うなら…!」と早速観てみることにしました。そういう映画が配信で即座に観られるのはありがたさ以外ないですね。
そのため現在(2020年5月時点)もネトフリやアマプラで配信中の映画です。
オンリー・ザ・ブレイブ
ショーン・フリン
2017年10月20日 アメリカ
134分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

実話の重み、人間ドラマ、崇高な任務、すべてが高レベル。
- 今も各地で頻発している森林火災の実際がわかる伝記映画
- 指揮官と隊員たちのドラマも過不足なく描かれ胸熱
- 撮影も大掛かりで素晴らしいリアリティ
- ジェフブの歌のサービスもあるよ
あらすじ
大絶賛していた人は「今現在今年観た中で一番」と言っていたんですが、その評価もなるほど納得というレベルでとても素晴らしい映画でございましたよ…。
今は新型コロナのせいですっかり吹っ飛んでしまいましたが、少し前にはアマゾンの大火災が世界的な問題になっていたこともあって、「森林火災」そのものについて知ること自体にも意義を感じるし、実話を元にしていることもあってズシンと胸に響く、心に残る映画になったと思います。
主人公の一人、ジョシュ・ブローリン演じるエリック。彼は地元の森林消防団の指揮官を勤めているベテラン消防士で、的確な判断力で森林火災の被害を最小に食い止める仕事に誇りを持っているんですが、ただ彼の所属する消防団は野球で言うところの二軍に当たるため、ある日の任務で一軍にあたる“ホットショット”隊に対処法を進言するも「うるせえ二軍が」とあからさまに見下された結果被害が大きくなる、という憂き目に遭い、「俺たちの隊もホットショットにしなければ」と今まで以上に厳しい訓練と地元への働きかけを進めることを誓います。
もう一人の主人公、マイルズ・テラー演じるブレンダンは、彼のシーンを5分も観ればはっきりとわかるぐらいに清々しいほどのクズ男なんですが、そんな彼もかつての恋人が妊娠したことを知って彼女に会いに行くも「助けはいらない」と拒絶された挙げ句に出産を決断した姿を見て、心を入れ替えて生きていこうと手始めにエリック率いる消防団の面接を受けることにします。
消防団には学校でエリックと同期だったマッケンジー(マック)もいて、ヤク中でまったく良い評判を聞かないブレンダンの採用に難色を示すんですが、何かを感じ取ったのかエリックは採用を決め、かくしてホットショットへの昇格を目指す彼らの日常が描かれていきます。
始めは馴染めなかったブレンダンも次第に仲間として認められるようになりつつ、繰り返される森林火災に対応しながら、果たして彼らは無事「ホットショット」になれるのか…というお話です。
映像のリアルさで伝わる現場の過酷さ
最初に書いた通りこれは実話を元にした映画で、登場人物もほぼ実在の人物で、描かれる火災も実際にあったものだそうです。
ちなみにメインとなる火災は2013年に起きたもので、映画の公開が4年後なのでかなりスピーディに制作された映画と言えると思いますが、それだけこの火災が(アメリカ)社会に与えたインパクトが強かったんでしょう。
制作の順番については詳しくはわかりませんが、原作があって脚本を書いて金銭的な折り合いがついて製作が決まり、さらに訓練して撮影して編集して公開、という段取りを実際に起きた火災から4年後に終わらせる、っていうのはかなり早いと思うし、それだけ制作陣の熱のようなものがこもった映画なんだろうと思います。
実際、出来上がった映画はかなり強い「映画として公開する意義」を感じさせるものになっていて、その事実の重みと残したものの意味を考えると…とても価値のある作品であることは間違いないと思います。
ちなみに映像もすごくリアル…というか実際に山火事の現場で撮影したとしか思えないもので、「これどうやって撮影したんかなー」と思っていたんですが、観るきっかけを与えてくれた方曰く「キャストが実際に森林火災対応の訓練をして、大掛かりなセットを組んで実際に燃やした」そうです。もしかしたら山も買ってたりして…。
実際のところはわかりませんが、とにかくその鎮火活動シーンのリアルさだけでも一見の価値があると思います。建物火災じゃないですからね。森林火災ですから。その規模感と勢いの強さは作り物とは思えないすごさで、それ故に森林火災に対応する消防士たちの仕事の過酷さ、使命の重みを体感として理解させてくれる“強さ”がありました。
森林火災の実際を知る
これも最初に書きましたが、最近はアマゾンだったりオーストラリアだったり、森林火災の深刻さをニュースとして目にする機会が多かったこともあって、森林火災そのものへの興味というか、実際のところどうなんだろうというのは思っていた人も多いと思うんですよ。
常識的に考えて、建物火災のように水をぶっかけて消すのはまず無理なのはわかるし、もちろん酸素を無くすことも無理だし、そしたらもう雨乞いする以外に方法無いんじゃないの? みたいな。
実際にどう対処するのかはぜひ観ていただければと思いますが、そんな素朴な無知を補完してくれる、知識欲を満たしてくれる面でも良質な映画になっているので、きっと誰が観ても価値を見出だせる作品ではないかと思いますね。
それと実話ベースとは思えないぐらいに人間ドラマの方もしっかりしていて、あまり書くと興を削ぐので書きませんが、早い話がすごく劇的なんですよ。
完全ダメ野郎だったヤク中男の再生物語としても(事実だからこそ)胸に迫るものがあるし、多くを語らないながら隊員たちの友情としても熱いものがあるし、隊を率いるエリックのプロフェッショナルとしての行動も熱い。
ありとあらゆる角度から胸に響く内容になっていて、これはもう文句なしに傑作と言って差し支えないと思います。
なんとしても観るべき映画の一つ
できる限り事前情報無しに観た方が良いと思うのでこの辺にしますが、ことここに至るまでまったくタイトルすら目にしたことがなかった映画なのが信じられないほど素晴らしい映画だったので、ぜひ皆さんにも観ていただきたいと思います。
かなり男臭い映画でもあるんですが、そこがまた良さでもあるかなと。久しぶりに僕もこういう「男らしい職業」に憧れ、尊敬を抱くような感情を持ちましたよ。
ちなみにジョシュ・ブローリンが演じてはいるものの、当時のエリックは今の僕と同年代なので…またも自分の不甲斐なさみたいな面に向き合わざるを得ず、その意味では少し“痛さ”を感じる鑑賞でもありました。
それがどこかで役に立つのかと言われればきっと役に立たないんですが、それでもこうして自らを省みて責める機会を持つことは大事なのかな、と改めて思いますね…。
このシーンがイイ!
えーと…あまり書けませんが、終盤エリックがジェシーに言う「お前もだ!」のところですかね…。観た人なら伝わると思います。あの一言にいろんな情報が含まれていて、その言葉の重みに涙しましたよ…。
それと好々爺的な消防署長を演じていたジェフ・ブリッジスがですね、ワンシーン歌うシーンがあるんですよ。ご存知の通り彼は「俳優で最も歌がうまい」と言われるぐらいに素晴らしい歌手なので、もうそこだけでファンサが止まらねーなと嬉しくなりました。素晴らしい美声。
ジェフブはほんと脂が抜けていい感じの爺さんになってきましたよねぇ…。
ココが○
実話を知る側面でも素晴らしいし、人間ドラマとしても素晴らしいし、映像面でも素晴らしいし、とにかくあらゆる面で素晴らしいです。文句無しですよ。
ココが×
特になし。
MVA
うーん、これは悩みますね…。主役どっちも良かったしなー。でもこっちかなー。
マイルズ・テラー(ブレンダン・マクドナウ役)
新入りクズ野郎。
クズの頃の演技も本当にそれっぽいし、感極まる演技も見事だし、若いのに大したもんだ…と思ったら「セッション」の彼だったんですね。納得。
もう一方のジョシュ・ブローリンはもうさすがとしか言いようのない安定感でお見事です。「このシーンがいい」に挙げたシーンでの一言も素晴らしく、本当に火災現場でリアルタイムに撮ったんじゃないかと思えるほどの見事な演技でした。この人はすげぇよ。すげぇ。
ジョシュ・ブローリンとジェフ・ブリッジスはどっちも大物ですが、初共演だったんでしょうかね。ちょっと気になったな。


