映画レビュー1274 『ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私』

今回はウォッチパーティより。

グロそうだったので嫌だなと思いつつ…。

ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私

Open 24 Hours
監督

パドレイグ・レイノルズ

脚本

パドレイグ・レイノルズ

出演

バネッサ・グラッセ
ブレンダン・フレッチャー
エミリー・テナント
コール・バイグ
ダニエル・オメーラ

音楽

ホリー・アンバー・チャーチ

公開

2020年7月20日 イギリス

上映時間

102分

製作国

カナダ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私

邦題がクソオブクソ。

7.0
連続殺人犯の元カレがトラウマになっている主人公、そこに再び現れる元カレ
  • 幻影なのか現実なのか、メンタル病み気味の主人公にストーキング元カレ
  • ほぼワンシチュエーションで描かれる低予算ホラー
  • しかし割としっかり作られていて決して悪い映画ではない
  • ただし邦題(とジャケット)がクソオブクソなので「コレジャナイ」が起こりやすそう

あらすじ

このちょっとラノベっぽい(と言いつつラノベよく知らないので適当な印象)タイトルと、ジョジョっぽい(と言いつつジョジョ読んでないので適当な印象)ジャケット(ポスター)のビジュアルのせいで「あ、これ観ようかな」と思った人が「期待してたのコレジャナイ」となる案件が非常に多発していそうな気がしますね。それ故にネットでの評価も不当なほど低い気がします。

実際は(好き嫌いはもちろんありますが)すごく真っ当にホラーを作ろうとしていて好印象でした。その制作側の熱意と邦題の軽さのミスマッチが多くの不幸を呼んでいる気がする…。

主人公のメアリー(バネッサ・グラッセ)の元カレは連続殺人犯で、彼女は彼に火をつけ殺したつもりがまあ結果生きていたわけですよ。

彼女はその罪によって服役したのち社会復帰し、ガソリンスタンド(そう、タイトルの「ザ・スタンド」は超能力的なアレではなくただのガソリンスタンドのことなのだ!)で働くことになるんですが、しかし彼女は今でもその元カレの幻影に悩まされていて、ややメンタルを病んでいるような状況。

仕事中にも被害妄想的なものに苛まされ、最初は「ああ彼女の妄想か…」と思っていたら実はマジで元カレが戻ってきてヤバい、バイヤーだというお話です。

真面目な映画に不真面目な邦題

僕はもう邦題から「元カレがヤバくて困っちゃった☆」みたいな軽い乙女のノリのコメディホラーに近い映画なのかと思って観始めたらもうのっけから雰囲気がまるで違い、ガチのサイコホラーというかスラッシャーホラーというかそういうやつでした。(ホラーの細かいジャンルよくわかってない)

物語としてはいわゆるホラー映画の「ファイナルガール」(同名映画のことではなくホラー映画で最終的に生き残る“最後の一人”)のその後、という感じでしょうか。

タイトルの言っていること自体は間違ってはいないんですが、にしたってちょっとこの“文脈”はいくらなんでも違うだろと言わざるを得ません。配給会社の人間は真面目にやってるんでしょうか。

ただ(ミスリードなのは百も承知で)こっちの方に持ってこないと客が呼べないぐらいネームバリューの無い映画と言われればそれもまた事実なだけに、担当者の深い悩みも想像できます。

嘘でもやっつけないと仕事が終わらん的な姿がアリアリと想像できますね。有名俳優が出ているわけでもなく、カナダのB級映画ともなるとなかなかに微妙な立ち位置です。

ですが中身は最初に書いた通り、かなり真面目に作ろうとしている雰囲気が感じられるので、早い話が…子どもが真面目に書いた作文を「読んでもらえるように」いらん配慮によって茶化したタイトルに直しちゃうような空気の読めない大人みたいなクソさが感じられる非常にセンスのないタイトル及びジャケットだと思います。いくらなんでも。

ただ真面目に作ってはいるものの、序盤の中心である彼女の「妄想なのか現実なのか」みたいな曖昧さが割と即座に意味をなさない作りになってしまっているのはちょっと詰めが甘い感じはしました。

要はかなり序盤から彼女の預かり知らないところで被害が出てるんですよね。それはつまりもう妄想ではないわけで。

徹頭徹尾「彼女の妄想なのかはたまた現実なのか」を突き詰めてくれれば、最終的に結構ビックリ展開に持っていける(夢オチと紙一重ですが)可能性もあるだけに…惜しい。

まあそこの不器用さも含めて「真面目に作ってるな」と思えるというのもあります。そして同時に邦題がクソだなというのもついてくる、と。エンドレス。

悪くはないけど今ひとつ

ホラーとしてどうなのか、というのは正直こっち方面に疎いのでよくわからないんですが、元カレのサイコな殺しっぷりはかなり嫌だったので目的は達成しているのではないかと思います。

「元カノ元カレ」の関係性のせいで妙にウェットな展開に引っ張ってきたら嫌だなと思いながら観ていましたが当然そんな展開もなく、きちんとサイコパスで狂ってるのが良かったですね。

ただその分観客としては期待する部分もあったんですがそれについてはネタバレになるので言及は避けます。が、そこの期待に応える部分でイマイチ跳ねなかったのかなというのも思いました。

総じて「思ってたより全然悪くない」けど「びっくりするぐらい良いわけでもない」辺りの評価に落ち着く気がします。そこがB級っぽくて良いのかもしれませんけどね。

このシーンがイイ!

まーやっぱり見せ場としては元カレの殺しのテクニックお披露目シーンになるんでしょう。急にグロ出てきて嫌だったけど。

ココが○

くどいようですが真面目に作っている点。

何度も書いてますが僕は観客に媚びてたりカッコつけてたりする作りが大嫌いなので、まっすぐ作ろうとしている映画はそれだけで好感が持てます。

ココが×

やや消化不良な点。あわよくば続編作りたいんです感がすごい。この辺は逆にゾンビーバーの潔さを見習ってほしい。

MVA

まあ順当に…。

バネッサ・グラッセ(メアリー役)

主人公の女子。かわいい。

まーね、かわいければそれでよしですよ。こういう映画はなおさら。

親友もすごくいい子でかわいかったし、女子二人が良いのはそれだけで良いです。むしろそこだけです。

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