映画レビュー1151 『アワ・ボディ』

今回もJAIHOから。前回とても良かった「小公女」と同カテゴリーとして紹介されていたのですごく期待して観ましたが…。

アワ・ボディ

Our Body
監督

ハン・ガラム

脚本

ハン・ガラム

出演

チェ・ヒソ
アン・ジヘ
キム・ジョンヨン
シン・ミヨン

音楽

イ・ヘイン
スー・イオン・リー

公開

2019年9月26日 韓国

上映時間

96分

製作国

韓国

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

アワ・ボディ

意外と難解、スピリチュアル。

7.0
人生どん詰まりアラサー女子、ランニングと出会う
  • 親からも見放され居場所のなくなった女子が、カッコいいランニング女子と出会って…
  • 徐々に変化していく自分と環境、前向きな人生に変わって行きそうだが…
  • いろんなテーマを内包していそうな意外と複雑な映画
  • 憧れランニング女子が超美人

あらすじ

と言うことで大傑作だった「小公女」と比べると、良いのはわかるんだけどちょっと俺には難しいぜと申し訳なくなるようなやや難解な映画でした。きっと同年代の女性が観るとまただいぶ違った感覚を受けるのではないかなと思います。

31歳のチャヨン(チェ・ヒソ)は、いまだに就職もせず公務員試験の勉強に明け暮れる日々…でしたが、ある日気持ちが切れてしまったのか…受験することをやめます。

そのことを知った母は「家から出ていけ」と激怒、やむなく中学時代の同級生のツテを頼ってアルバイトをしながら一人暮らし。

付き合っていた彼氏も去っていき、孤立を深めるチャヨンですが、ある夜すれ違ったランナーの女性(アン・ジヘ)が気になって、自分もランニングを始めてみることに。

やがて彼女と一緒に走るようになり、交友を深めていく2人。仕事も順調で人生が少しずつ前向きに変わっていく中、とある事件が起こりますが…あとはご覧ください。

難しいお話

タイトルは「アワ・ボディ」、つまり「我々の体」ってことですが…これはチャヨンと憧れの女子・ヒョンジュのことを指しているんでしょうね、きっと。それがなぜか、と言うのはネタバレに抵触するので避けますけども。決して理解していないからではありません。

僕も以前一時期ランニングを習慣にしていたことがあるので、「走ることで前向きに」的なニュアンスは結構わかります。いい感じに疲れるとネガティブな思い自体がめんどくさくなってくるし良い意味で開き直れる感じがあるんですよね。

んで、そういう話なんだろうと思っていたらちょっと意外な角度の展開を見せていくので、少し混乱したと言うか…「運動良いぞ」みたいな単純な話ではないのは確かです。

この話はむしろランニングだの運動だのはただのきっかけに過ぎず、それによって始まった人間関係から受ける主人公の変化や成長(と一概に言えないような気もしますが)で、彼女の価値観が変遷していく様を描いた話なのかな、と思います。

ただそれも単純に「彼女が変わっただけ」の話とも言い切れず、もしかしたら世の中の様々な価値観に対する疑問や提示も含まれているような気もするし、いろいろと価値観を問いかける内容の映画なのではないかなと思いました。

韓国に限らず日本でも30過ぎの女性が、職歴も資格もないまま1人で就職もせずに生きるのはなかなかいろんな面で厳しいのは想像に難くないだけに、その社会環境に対しての何らかの抵抗と言うか、なんならちょっとした皮肉すら感じるような話にも見えました。

主人公が頼った同級生が、彼女に対して「あなたは浮世離れしている」と非難するシーンがあるんですが、これが結構印象的なセリフで…裏を返せば「浮世離れしなければ生きていけない」つらさが現環境にあって、常識的に見ればおかしいように思える主人公のいくつかの行動は、自分を守るためにあえてやっているのかもしれない、と思うとこれがまたいろいろ考えさせられる面があるんですよね。

ちょっと詳細は書けませんが、彼女はランニングを始めて前向きになるも、その後のとある事件をきっかけにまた元に戻ってしまった気がします。

走る習慣は残りつつも、精神的には以前のどん詰まりだった頃に引き寄せられていってしまい、そのために自分を守ろうと「浮世離れ」していくような。

そこを“現実”とつなぎ合わせるのが“アワ・ボディ”で、そこにすがろうとする彼女の姿を辿っていく映画なのかな、とか。いや全然的外れな可能性もあるんですが。僕はそんなような解釈をしました。

ネタバレ回避が難しい映画

ネタバレを回避すると語るのが非常に難しいタイプの映画なので、あとはもう何も書けないよと言うことで。気になる人には観ていただいて。

全然考えはまとまってないんですが、ネタバレ項の方につらつら書こうと思うのでネタバレが気にならない人や鑑賞後の人はそちらもどうぞと告知しつつ、今日はここで終わりたいと思います。

内容が薄くてサーセン。

ネタ・バレィ

いくつか思ったことを。

まず大前提としては、憧れのヒョンジュが死んで(おそらく自殺ですよねあれは)しまい、もしかしたら物語冒頭以上に精神的に追い込まれつつあったチャヨンは、ヒョンジュの“遺品”と彼女の思い出と同化していく(まさにアワ・ボディ)ことで自身を(無意識に)この世につなぎとめようとしたお話なのかな、と。

途中でヒョンジュが自殺した場所とまったく同じ場所を走るチャヨンのシーンがありますが、あそこで妹ちゃんが出てこなかったらそのまま後を追ってそうな危うさが怖かった。そこでなんでこの世に留まったのか、それは妹ちゃんのおかげなのか、はたまたただ我に返っただけなのかはわかりません。ただあそこを経て更にヒョンジュとの同化が進行していったのは確かじゃないかなと思います。

またヒョンジュに対しても、ただの“憧れ”だったのか、はたまた恋愛感情も含まれるものだったのかも気になるところで、ラストシーンがヒョンジュの語る“セックス”ではなく自慰行為で終わった辺りに…ヘテロセクシュアルではなくなった意味合いが込められてたりするのかな、とか。でも上司のおじさんとやっちゃってるしその辺りはなんとも言えないところではあります。

純粋にヒョンジュの願いを叶えて同化していくのであれば、最後もちゃんと男性を連れてきてセックスして欲しかったなとは思いますが…なんとなくセックス終わりって映画的に難しそうな気もする。とは言えそんな理由で自慰行為になったとも思えず、よく理解できなくてモヤモヤ。

このシーンがイイ!

ヒョンジュが「飲むために走ってる」って言うシーンはなんか良いなと思いますね。すごくかっこよくてストイックに見えて、その実動機は至って俗っぽいのが人間らしいなって。

ココが○

淡々としつつも先が読めないだけに結構惹きつけられる映画だと思います。なんとなくじっくり観ちゃう、そんな力のある映画。

ココが×

やっぱり監督の意図するところが少し難しくて、本当はもっと言いたいことがあるんだろうと思いつつもそこまで理解が及ばなかった気がして歯がゆい。モヤモヤしますね。

MVA

主演のアラサーらしい美しさと地味さを両立させたチェ・ヒソもすごいなーと思いましたが、この映画はやっぱりこの人だなと思います。

アン・ジヘ(カン・ヒョンジュ役)

チャヨンがランニングを始める動機になった憧れの女子。

もう見た目からして美しさしか無い感じですごく魅力的でした。一緒に走ってる男性2人が普通に接してるのも意味わからないぐらい。奪い合いが発生しててもおかしくなくない!?

サバサバしてる雰囲気も素敵だし、こりゃー良い女優さんだなと思ったらあんまり売れてないようでびっくり。もっといろいろ出てても良さそうなのに…。

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