映画レビュー1118 『オキシジェン』

今回はネトフリですが、終了間際ではなく配信直後です。ツイッターで見かけて気になったので早速観てみました。

オキシジェン

Oxygen
監督

アレクサンドル・アジャ

脚本

クリスティ・ルブラン

出演
音楽
公開

2021年5月12日 各国

上映時間

101分

製作国

フランス・アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

オキシジェン

ワンシチュエーションながらサスペンス要素で飽きさせない。

8.0
密閉された医療機器内で目覚めた女性、記憶もない中脱出を模索するが…
  • 終始医療機器内で展開するワンシチュエーションSFスリラー
  • AI対話と外部通信で徐々に真相が明らかになっていく
  • やや読める部分はあるものの、持続する緊張感のおかげでじっくり観ちゃう
  • 空気残量による時限効果が優秀

あらすじ

この前観た「密航者」といい、ネトフリオリジナルはSFワンシチュエーションが多いような気がするんですが「たまたまお前がそういうのを選んで観てるだけじゃボケ」と言われれば反論できないところです。ただ予算的に少なく済むしアイデア勝負で作りやすいジャンルだろうと思われるので、オリジナル制作に向いているのかもしれないですね。個人的にはこの手の映画は好きなのでありがたい傾向。

繭のようなものに包まれた女性(メラニー・ロラン)が突如目覚めますが、そこは狭い医療機器の中。脱出しようにも出方がわからず、また拘束されてもいるために難しい状況です。

さらに彼女は自分の名前すら思い出せない記憶喪失の状態。どうしようもないかと思われましたが、そこに「ミロ」という名のAI(マチュー・アマルリックボイス)が話しかけてきます。

彼女はミロとの対話を通し、外部との連絡や自分自身の過去について掘り下げていきますが、脱出方法はわからず。そうしているうちに酸素残量はどんどん減っていき、残された時間も少なくなっていきます。

なぜ彼女はここにいるのか、そもそもここはどこなのか、そして彼女は何者なのか…すべての謎が明らかになるとき、この映画は終わる…!(当然の情報)

程よいミニシアター感

メラニー・ロラン主演のワンシチュエーションサスペンス。声の出演にマチュー・アマルリック他が数人(?)いて、過去シーンにもう1人男性(マリック・ジディ)が登場しますが、あとはもう完全にメラニー・ロランの一人芝居です。スゴイ。マジで大半一人芝居。しかも狭い場所のワンシチュエーションなので動きも少ない。でも観られちゃうのがまたスゴイ。「月に囚われた男」以上に一人芝居感が強いかもしれません。

映画としてはあらすじに書いた「なぜここにいるのか」「ここがどこなのか」「彼女は何者なのか」がすべてなので、わかりやすいと言えばわかりやすいし、これ以上どうこう語るようなものでもありません。ただそのシンプルな問いの背景にある世界を小出しにしつつ惹きつける作りはなかなか良かったですね。アイデア勝負の映画は基本的に好感が持てます。

ただどうしてもSF慣れしていると「これこういうことじゃね…?」とある程度予想がついてしまうのも確かなので、あまり読もうとせずにただ観る方が無難ではあります。でもどうしても「こうなのか?」と“考えさせる”作りになっているために「ただ観る」のが難しいのも事実で、そこに少々矛盾を感じる面はありました。そこが惜しいと言えば惜しい。

ただ演出や展開の歩みのスピード、そして上映時間とどれも無駄なくしっかりしているのも事実で、ただ観ているだけではとても低予算のワンシチュエーションだなと“安く”観ることができないぐらいには巧みに作られていると思います。

むしろ下手に豪華キャストでお金を使う映画をウリにするよりも、「Netflixはこういうオリジナル映画で勝負します」とこの路線で行ってくれた方が今後も期待できるなと思えるぐらいに程よいミニシアター感みたいなものがあって、ネトフリなかなかやるじゃんと上から目線で思った次第です。

水平思考ゲームっぽさが良い

映画の性質上、物語を読み解く上で最も重要なのはメラニー・ロランとAIだったり外部通信だったりとの対話になるわけですが、その「会話で少しずつ情報を得て状況を考察する」感覚が、ほんのり「ウミガメのスープ」っぽくてですね。水平思考のゲーム。

このゲームは問いに対して質問し、マスターが「はい」か「いいえ」か「関係ない」だけで回答して答えを推測していくゲームなんですが、まさにそんな感じで「ってことはこういうこと…?」という答えを想像していくのが楽しい時間になる、まさにサスペンス・スリラー的な楽しみに富んだ映画だと思います。

が、そうなると今度は上に書いた通り、ある程度読めてきてしまうのが少し残念というジレンマ。

そんなに単純な“よくある話”と言うよりは、最近流行ってきてよく見るよねこのパターン…みたいな感じなので、SFにアンテナを張っている方からすれば本当に予想通りになってしまうでしょう。なのでそこだけもう一歩、意外性があれば嬉しかったですね。

ただ一応言っておくと、僕が予想がついてしまったのはとある他SF作品のせい(終盤の展開がかなり似ている)なので、それに触れていなければあんまり気にならないかもしれません。ただその作品名を書いちゃうとその時点でネタバレになるだけにここでは書けないんですが…。(ネタバレ項に書いておきます)

もっとも読めたとしてもその過程は十分に楽しめるし、最近ホットなテーマも感じられる、まさに今だからこそ出てきた映画の一つでもあると思うので、気になる方はぜひ観てみてください。

ネタバレン

実はこの映画の終盤の展開…というか全体の設定部分ですが、これはPS4の某人気アドベンチャーゲームとほぼ一緒でした。一応心当たりがある方のためにワンクッション置くので、今心当たりのあるゲームをやっている人はここは見ない方が良いよとだけお断りしつつ、タイトルを書きます。

そのゲームとは「十三機兵防衛圏」です。

この映画における最大のビックリ要素的な部分が丸々あのゲームと一緒なので、僕は「もしや」と気付いてしまったわけですが、しかし当然ながらゲームの方が時間も自由な(長く取れる)分話も深くなるし、登場人物も多い分奥行きも出てくるので、どうしてもそれと比較すると少し落ちる印象が感じられてしまうのが残念なところ。

見方によっては「十三機兵防衛圏に登場する一人がトラブルに合った数時間」をピックアップしたのがこの映画、とも言えるぐらいに似ています。と言うかほぼ一緒。

それだけにこの手の話は今アツいテーマなんでしょうね。実現可能性もなんとなく見えてきているような気もするし。近未来SF的に絶妙にリアリティがある設定なんでしょう。

このシーンがイイ!

これなぁ…何を書いてもネタバレになっちゃうだけに書けない…。

差し障りのないところで言うと、鎮痛剤だったかを注射するために登場するマシンが無駄に生き物っぽいところがなんかおかしくて気になりました。あんなウネウネ動くことないじゃん、っていう。

ココが○

上に書いた通り、ワンシチュエーションで登場人物も一人なのに最後まで見せきる力量はなかなか。正直僕が展開を読んじゃうきっかけになった他作品にさえ触れていなければもっと評価していた気はします。

ココが×

読める読めないを除けば特に悪い点は無かったかも。なかなか良く出来た映画だと思います。

MVA

これはもうほぼ一人芝居なので問答無用で。

メラニー・ロラン(女性役)

役名については早めにではありますがそこも徐々に明らかになっていくところでもあるので、一応伏せておきます。

一時期「好きな女優」を聞かれて答えるぐらいにはお気に入りだった彼女もさすがに少々歳を取ってきた感があり、少し残念な気持ちはありつつしかし一人でこれだけ熱演されたらもう文句は言えません。

ちなみに今回は(合作だけど)フランス映画なのでフランス語です。フランス語の方が母国語なのに英語ロランばっかり見慣れてるせいか「すごいなー」と思っちゃう不思議。ポンコツ視点。

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