映画レビュー0177 『パピヨン』
「ゴーストライター」観に行きたいんですが、僕の主戦場である109シネマズ菖蒲では公開しないんですよねー。やっぱりサスペンスって儲からないのかな…。
一番近くはコクーン新都心なんですが…観に行こうか悩み中。
パピヨン
不思議な緩さが魅力。
いわゆる「脱獄モノ」の定番的な話なのかな、と思いきや、なかなか他にない雰囲気の映画でした。特に後半、逃走中の出来事は観ててなんかやたらシュールな気がしましたねぇ。裸族的な人たちのところでのエピソードとか。
歳を取ってからの島での生活もどこかコントのようでもあり…。ほんと不思議な感じでしたね。
面白いんだけど、のめり込んで観ると言うよりは、ゆるい雰囲気で眺める感じと言うんでしょうか…。「脱獄」というテーマの割に緊張感が無い映画、って言うのかなぁ。
ただそれは悪い意味ではなく、そこがこの映画の独特な雰囲気を醸し出している要因になっていていいんじゃないかな、と思います。途中で出てくる死体役の人がことごとく息をしてたりとかね。はっきりわかっちゃうレベルで。その辺の大らかさがこの時代らしくもあり、初観賞でも懐かしい感じで良かった。
でも終始ゆるい感じなのかと言うとそうでもなくて、序盤の、特に独房での2年間は壮絶でした。生きるための努力、生きることへの欲求を描くことが主体になっていて、マックイーンもなかなか壮絶な演技を見せてくれます。メイクの功績もありますが、あの死にかけっぷりはすごい。
そういう前フリがありつつの後半戦だったのでちょっと違和感が出た面はありましたが、最終的には爺さんになっても俺はやるんだという意気込みと、そこにくっついてくる友情もあって、なかなか爽やかな後味。
結構過酷な内容の映画なんですが、その不思議な雰囲気のおかげか、深刻になりすぎずに観られるのもこの映画の良い面かもしれません。ただ、その映画自体が持つ独特のゆるい雰囲気もそうですが、追う側のゆるさもまたこの時代特有なものがあって、「いやいやそれはないだろ」みたいなところもあります。
まあ、歯を食いしばってギリギリ手に汗握って観ようぜ、というよりは、深く考えずに執念と友情を眺める映画なんじゃないかな、と。言うなればエンタメ系脱獄モノ、ってところかなぁ。でもある程度は実話ベースの部分もあるようなので、なかなかスゴイ話ではありました。
このシーンがイイ!
序盤、パピヨンとドガがワニを捕まえるシーン。もうほんとコントかと思った。
ココが○
脱獄モノ、って結構精神的にエグい場面が多かったりしますが、この映画はあんまりそういう部分がないので、比較的誰でも楽しめる映画じゃないかと思います。
ココが×
何分やっぱり古い映画なので、上に書いたように、どうしても詰めの甘さみたいな面はあります。そういうのも含めて、「この時代の映画ってこうだよねー」と楽しめるかどうかで評価も変わってくるんじゃないかと。
MVA
今回はこの人に。
ダスティン・ホフマン(ルイ・ドガ役)
まさに瓶底のような分厚いメガネの役なんですが、そういう外見と真面目で温厚な性格というのが、この映画の印象をだいぶ左右したんじゃないかなぁと思います。
マックイーンは壮絶だったりちょっとおかしかったりでなかなかの活躍ぶりでしたが、この映画に関してはダスティン・ホフマンの存在感の方が大事だったと言うか、彼がいてこそのこの雰囲気だったんじゃないかと思います。
まあ、でもどっちもよかったですね。(結局)