映画レビュー0449 『パブリック・エネミーズ』
年初から結構書き溜めていたものがあったつもりが気付けば枯渇してしまい、いい加減もっと映画観ないとな、という状況です。別に観たくないわけじゃないんですが、なんかいろいろやることがあってなかなか映画に時間を割けない状況という。まあ、どうでもいいですね。
ただ何度も書いてますが、細々とは続けるつもりなので、見に来てくれる方はたまにでも覗きに来てもらえると嬉しいです。はい。
パブリック・エネミーズ
過不足のない作り。
映画自体が久々でありつつ、寝不足故に途中でごっそり寝てしまい、一旦戻してからまた観て…という感じで観たので、割と人間関係とかがイマイチ入ってこなかった残念鑑賞となったわけですが、だがしかし作りはなかなかで、やや地味ながらマイケル・マンらしい硬派な内容になっていて、この手のマフィアや犯罪モノ好きの方にはたまらない映画になっていると思います。いまさらですがもっとちゃんと観たかった…。
ご存じの方も多いと思いますが、「ジョン・デリンジャー」という人は実在する人物で、無駄な殺生はせず、金持ちのお金だけ(と言っても銀行強盗ですが)を狙い、日本で言うねずみ小僧的な義賊として、アメリカでも(いまだに)かなり人気のあるお方です。そのデリンジャーをテーマに書かれたノンフィクションが原作になっている映画のため、大部分は事実に基づいたお話のようです。
観るまでは「ジョニー・デップの映画」というぐらいにしか認識が無かったんですが、共演陣にマリオン・コティヤール、クリスチャン・ベール、ビリー・クラダップ、ジェイソン・クラークとなかなか実力派の面々を揃えていて見応えがありました。
デリンジャーはいわば「強盗集団」のようなものを率いていて、その仲間たちとFBIの対決、そしてデリンジャーが惚れた女性・ビリーとの恋模様を描いています。この「組織とFBIの戦い」は定番ではあるものの、ここもまたさすがマイケル・マン、ドンパチ描写もお手の物だし、徐々に仲間が減って追い込まれていくデリンジャーの描き方も妙に情緒的になることもなく、すごくバランスの良い作りだったように思います。
いまだに人気の高い人物なだけに「犯罪者だけど魅力がある」という部分もやはりきっちり描いていて、人間味を感じさせるクールなデリンジャーをジョニー・デップが好演しています。個人的に、ジョニー・デップはちょっと変わった役を演じることが多い気がするので、久々にすごくまともな、人間臭いジョニー・デップを観たような気がしましたね。
寝ちゃったせいもあるとは思うんですが、登場人物が多いこともあって、最初に書いた通りちょっと人物相関がわかりづらい面はある気がします。
やっぱりどうしても夜の場面が多くなるので、全体的に暗めということも手伝って、誰が撃たれたのかとかがわかりにくかったり。ただこれは本当に、今回自分の鑑賞の仕方に問題があったと思うので、あんまりアテにならない話かもしれません。
いつにも増してうっすいレビューで申し訳ないんですが、「ギャングモノ」という字面よりは深い感じがしたし、なかなか最近の映画らしい、「大人の娯楽」的な内容は映画好きなら割と楽しめると思います。
このシーンがイイ!
最後かな~。すごくいいラストシーンだったと思います。
ココが○
やや地味(でも力のある作りですが)な面を補う意味で、実在する人物というのが効いている気がします。
主人公のデリンジャー以外にも、「オー・ブラザー!」でもチラッと出てきた“ベビーフェイス”ネルソンだったり、FBI初代長官として「J・エドガー」でも描かれたフーヴァー長官だったり、「破滅に導く運命の女性」という隠語の元になる「赤いドレスの女」が登場したりと、現実とのリンクがすごく面白かった。
ココが×
固有名詞さえしっかり追えれば、特に無いような気がします。こりゃもっかい観た方がいい気がする…。
MVA
主要メンバーとしてはビリー・クラダップだけちょっと違うかなーという気がしてましたが、でも若い頃のフーヴァー長官ってこんな感じだったようなので、意外と合っていたのかもしれません。
そんな主要メンバーの中ではマリオン・コティヤールがよかったな~と思いますが、ワタクシこの手の役者さん、役柄に弱いので、この方に。
スティーヴン・ラング(チャールズ・ウィンステッド捜査官役)
応援でやって来た敏腕捜査官の一人。
登場シーンは少ないものの、非常に大事な役割とセリフを与えられていて、まさにいぶし銀の脇役そのもの。カッコ良かった。