映画レビュー0448 『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』

久々の邦画。この時期録画したものには邦画が多かったので、また近いうちに邦画のレビューが登場予定。

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

Railways the story of a man who became a train driver at the age of 49
監督
錦織良成
脚本
錦織良成
ブラジリィー・アン・山田
小林弘利
出演
中井貴一
高島礼子
三浦貴大
奈良岡朋子
音楽
吉村龍太
主題歌
『ダンスのように抱き寄せたい』
松任谷由実
公開
2010年5月29日 日本
上映時間
130分
製作国
日本

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

大手家電メーカーの経営企画室長・筒井肇は、取締役への昇進も視野にあるほどのエリートサラリーマンだったが、仕事最優先の姿勢に家族の反発も強かった。そんな中、ある日彼の母が故郷の島根で倒れたという連絡が入り、地元に帰って看病するうち、かつて見ていた「一畑電車の運転士になる」という夢が頭をもたげ…。

邦画の一つの結論では?

8.0

最初にお断りしておきますが、僕は鉄道については特に詳しくも好きでもなく、完全にただの普通の人です。きっと鉄ちゃんが見ればまた全然違った感想になりそうですが、その辺の視点は持ちあわせておりません。

さてこの映画。大手家電メーカーの重役にあるアラフィフのサラリーマンが、一転してかつての夢を追い求めるため現在の地位を投げ捨て、家族との絆を見つめ直す物語です。テーマとしては、「都会と田舎」「仕事と家族」「夢」と言ったところでしょうか。

主人公の肇が会社を辞めて電車の運転士を目指す決意の面が結構唐突で、えらい急だなと思わされたりもしましたが、総じて人情味たっぷり、大人向けの落ち着いた人間ドラマですごく良かったです。都会での出世競争を勝ち抜く人生がいいのか、それとも田舎でかつての夢を追い求め、本当に望んでいた生活がいいのか、今の日本人(の特に男性)なら誰でも考えさせられる設定でしょう。

田舎暮らしは良い点しか描かれていないこともあってすごく平和で緩やかで温かくて、これぞ理想だよなぁと思わされましたが、実際は間違いなく経済的な事情が絡んできてしまうので、なかなか(大手企業の重役という経歴を持つ)この主人公のようにお金のことは気にせず夢を追うんだ! というわけにはいかないのが現実ではあるでしょう。

それでもやっぱり、今の経済性最優先の都会的な生活に「それでいいんかいな」と疑問を感じる人間としては、羨ましいのと同時に、まだこういう日本が残っている(であろう)ことに喜びを感じたりもしました。

もうとにかく島根の風景が素晴らしい。

本当に昔からある、いわゆる「田舎」なんですが、その印象通りに人々の温かさもしっかりと描かれていて、失われつつある「昔ながらの日本」にじっくり思いを馳せることができました。きっと若い人はあんまり良さがわからないんだろうなぁ。歳をとれば取るほど、こういうのってたまらなくなるものだと思います。

元々僕自身が東京大嫌い人間というのもあるんですが、かと言って「東京もこういう風景にしろ!」なんてバカげたことを言うつもりは当然なく、都会には都会の、田舎には田舎の良さがあるものだと思うので、ずっとこういう「日本の原風景」的なものが残っていくといいな、と改めて思いましたね。

観るまでは完全に、もっと鉄道推しの運転士中心の話なのかと思ってましたが、実際は娘との関係、母の残りの人生、夫婦生活、仕事に対する姿勢、同期の「夢を諦めた」若者の存在…といろいろ盛りだくさんに人間ドラマが詰め込まれています。

それでも穏やかな流れなので疲れるどころか癒されるし、(演技という意味でも)無駄を極力配した構成で、スッと入ってくる作りなのはお見事。はっきり言ってベタと言えばベタな話ではあるんですが、だからこそ日本の良さを感じる映画になっていたし、ヘンにハリウッドの真似事をしてチープさが際立つような映画を作るよりも、こういうどっぷり「これが日本です」って映画にしちゃった方がいいよなぁと改めて思いました。

印象としては、「ウェールズの山」とかに非常に近い。その国の田舎の、古くからあるコミュニティを暖かく見守るような映画。

派手さはなく、無理はしない。でもそこには「普通の人たち」への愛情がある。こういう映画、すごく好きですね。なんてことないシーンでもうるっと来ちゃう感じがたまらない。

つくづく、こういう日本は失って欲しくないですね。

このシーンがイイ!

一番印象に残ったのは、新人運転士二人で夢について語っているシーン。ある意味で切ない話なんですが、でもすごく温かくて、この映画らしさを感じるシーンだなと思います。

ココが○

軸にあるのは電車ですが、でも「電車推しです!!」と思わせない自然な作りなんですよね。その上うま~く電車を物語に絡ませていて、使い方がすごく良い。田舎の電車の役割、人々との関わり方が見えてくるのも良かった。「電車の運転士が憧れ」っていう価値観自体が田舎っぽさを感じさせるし、そこがまたいいんですよね。等身大の物語というか。

それと書いておきたいのがキャスティング。主要キャスト、全員すっごく良かった。

ココが×

最初に書いた通り、主人公の決意が急だなっていう点ぐらいでしょうか。そこが急だったので、性格もなんか急に変わっちゃった感じがしたし、割り切って作ったんでしょうがもうちょっと丁寧さが欲しかったかな、と。でも気になったのはそこぐらい。

「コレだから邦画は…」みたいな、邦画嫌いとして突っ込みたくなるようなポイントは皆無でした。

MVA

本当にみなさん非常に素晴らしくてですね…。

中井貴一の映画は初めて観たんですが、ここまでうまい人だったのかー、とびっくりしました。細かい部分で表情の演技がすごく良かった。

そんなわけで本当は中井貴一にしようかなと思ったんですが、この人にしたいと思います。

奈良岡朋子(筒井絹代役)

主人公・肇のお母さん。

田舎に暮らすお婆ちゃんそのもので、芯が強くて、でも底抜けに優しい感じ、もうたまらなかったですね。方言もすごくよくて。お婆ちゃんがハマる女優さんは大事だなぁと勝手に思ってます。

あとは本仮屋ユイカもやっぱり外せないですね。かわいいししっかり演技していて。こういうポジション、すごく似合う気がする。

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