映画レビュー0974 『レディ・プレイヤー1』

正直元々は(子供向けじゃねーの的に)あんまり興味のない映画だったんですが、ツイッターで結構な人から大絶賛されていたのでじゃあ観ないといけないな、ということで配信終了を機に鑑賞。

レディ・プレイヤー1

Ready Player One
監督
脚本
原作

『ゲームウォーズ』
アーネスト・クライン

出演
音楽
公開

2018年3月29日 アメリカ

上映時間

140分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

レディ・プレイヤー1

6.5
現実が過酷すぎてVRに引きこもる人々、そのVR世界での覇者を目指す人々の戦い
  • 人類がVRに引きこもっている近未来、そのVR世界のすべてを手に入れるための戦い
  • 基本はVR世界ながら徐々に現実も絡んで来る
  • 話は至って王道、近未来アドベンチャー的映画
  • 小ネタが多い分見どころも多いが…

あらすじ

ということでちょっとハードルが上がりすぎていたかもしれないですね。正直「そんな言うほどじゃないじゃん…」とがっかり寄りの感想です。

もうブログだからぶっちゃけるけどさ、ツイッターは「これは傑作!!」とかしょっちゅう言ってる人とかいるしアテにならん。何を言ってるかよりも誰が言ってるかが大事、ってやつですね…。

舞台は2045年。例によって荒廃した地球と化してしまった的な状況です。さすがに北斗の拳ほどの荒廃っぷりではないものの、今よりも環境汚染が進んでよりスラム化が深刻になってきているような雰囲気。

リアルがこんなクソだったらもう仮想現実に生きるしかねぇ! ってことで人々はVR(一応書いておきますがバーチャルリアリティの略です)内に作られた「オアシス」という世界で大半を過ごすようになっていました。クウネル以外はオアシスだぜ、的な雰囲気。

体感ボディスーツみたいなものもあるのでムフフなことも完璧な模様ですがその辺はスピルバーグなのでほとんど描写はされません。

この「オアシス」、一応はゲームという形ではあるんですが、言ってみれば“究極のオープンワールド”みたいなイメージでしょうか。何でもできるし何やってもいいし、みたいな。

んで、そのオアシスを作った人物であるハリデー(マーク・ライランス)はもう故人なんですが、死と同時にタチの悪い種を蒔くんですよ。「最初に“イースターエッグ”を見つけた人物にはオアシスの所有権と全遺産(5000億ドル)を授与する」と。

まるでワンピースのゴール・D・ロジャーじゃねぇかと。「この世のすべてを置いてきた」って言うわけですよ。

そしたらもう当然ながら人々は“イースターエッグ”を手に入れるために戦いに明け暮れる日々を過ごすことになるんですが、しかしハリデーの死から5年が経った物語開始時点でも、3つあると言われるイースターエッグへの鍵のうち1つ目の鍵すら見つかっておらず、人々はまだオアシスで遊び呆けてるようなひどい世の中になっております。

まあ当然映画が始まった以上はその均衡も破られる…ということで、スラムに暮らし、実親もおらずオアシスに入り浸っている少年、ウェイドが最初の鍵が手に入るとされるレースに参加するところから物語は始まります。

当然ながらそんな代物は誰もが欲しいものなので、組織的にゲームを研究してイースターエッグを手に入れようと画策する存在(IOI)もあり、当然彼らとも戦いを繰り広げることになるんですが…あとは観てくださいませ。

昔のアドベンチャームービーを現代に

そもそも「イースターエッグ」というのはですね、古き良き時代によく見られた懐かしの概念なんですが…いわゆる「スタッフのお遊び」的な隠し要素だったり隠しアイテムだったり、ってやつですよ。

昔は…それこそファミコンの頃にはこの手の話は無数にあって、どうやれば出せるかとかキッズたちは熱中したもんですが、今はもう何かとガチガチに固められちゃってることがほとんどなのであまりその存在自体聞かなくなっちゃいましたね。

そんな概念をストーリーの核に持ってくる辺りからも伺えますが、この映画はかなりサブカルに対する愛みたいなものがそこかしこに感じられ、「みんながゲームに熱中していた古き良き時代」を現代(≒近未来)のVRに蘇らせつつ比較的低年齢層向けのアドベンチャームービーに仕立て上げました感が強い映画だと思います。

話は全然違いますが、イメージ的には「現代版グーニーズ」みたいな。VRの中で冒険しつつ現実を良くしようとする少年(と言っても二十歳ぐらいですが)の物語になっています。

登場するサブカルのキャラやアイテムは枚挙に暇がなく、それこそ主人公はBTTFのデロリアンに乗ってたりするし、波動拳打ったりもするし、物語上「シャイニング」が重要なキーになってきたりするし…とてんこもり。

僕が気付いたのはかなり少ない方だと思います。サブカルに詳しい人であれば「うわこんなのまで!」みたいにいろいろ喜べることは間違いないでしょうね。ただ、それだけに「ファンサービスが目に付きすぎる」きらいもあり、その辺の小手先に頼らずもう少し真っ向勝負してくれた方が気持ちよさもあったんじゃないかなぁという気もします。

まあこれは多分僕の天の邪鬼な性格が災いしてるんだと思うんですけどね。どうしてもあざといものが引っかかるタイプなので。ただ「あざとエロい」みたいなのは大好きです。(余談)

良くも悪くも「娯楽映画」

話としては王道中の王道で、やっぱりやや対象年齢が低いんじゃないのかなという部分が強く感じられたので僕としてはあまりハマらなかったなぁというのが正直なところ。

そもそもこれだけ荒廃した世の中でありつつ、IOIのような「普通の企業」っぽいところも出てきているので舞台的に少し中途半端な気もする。普通に働ける環境があるんだったら「オアシス」に熱狂してる大半の人間はクソニートなんですか? みたいな違和感が結構ありました。

いわゆる悪役的にIOIが必要なのはわかるんですが、主人公サイドはニートしかいないと思われるだけにあんまり感情移入できないのがつらい。もちろん「現実を良くするために(お金を得るために)」という動機はわかるんですが、あまり現実に対する執着心も見せず、ほぼVR主体の話なだけにそこに対して応援しようという気持ちも湧きにくいと思うんですよ。もうちょっと主人公の背景を描いてくれた方が良かったんじゃないかなぁと。

リアルと絡める展開は間違いなく必要だと思いますが、その割にVRからリアルに劇的な流れを呼び込むような話でもないので、結局「VRはVR」の話でしか無いのも不満でした。もっと希望のない現実世界に大変革をもたらすような話だったらなーと。(そういう面もあるにはあるんですが)

あくまで主眼は「VRでの戦いが現実にも影響してくる今っぽい世界観」であって、価値観とか倫理観の部分で強いメッセージが発せられることもなく、良くも悪くも「娯楽映画」でしかないところが残念だし、それもまた「オアシス」の投影なのかな、みたいな。

なんでしょね、もう一歩、リアルに深く刺さって欲しかったなと。

やっぱり若い人向け?

当然ながらスピルバーグなので一定以上のデキは保証されてるようなものだし、「つまんねーな」とはならないと思いますが、しかしそれなりの長さの割にはあんまり残らないなと残念感が強かったのも事実です。

やっぱりこれはある程度若い子向けの夢と友情を描いた物語なんでしょうね。未来にさして希望もないおっさんが観てグッと来るような映画ではなかったですよ。

技術的にもすごいんだろうとは思うんですが、舞台がVRなだけにむしろアニメを観ている感覚に近いものがあり、実写にCGをうまく組み合わせてすげぇな、みたいな受け取り方にならなかったのも惜しまれるところです。

作るのはすごく大変だったらしいんですけどね…。見た目よりも中身にもっと力を入れて欲しかったなぁと思います。

このシーンがイイ!

もうズルいなと思いつつも「シャイニング」が出てくるところはさすがに興奮しました。っていうかこっから先全部映画絡みになるのか!? と無謀な期待もしましたよ。当然その期待は外れたんですが。

ってか「シャイニング」って結構いろんな映画に出てくるよな…。

ココが○

王道でわかりやすく、スピルバーグらしい全世代で楽しめる感みたいなのはあったと思います。無害さがすごい。

ココが×

僕ぐらいのおっさん世代にグッと来る設定(イースターエッグ)の割にその辺の世代に響く話でもないので、そこら辺がちょっとチグハグかなと。同じゲーム設定としては「ピクセル」の方がよっぽどグッと来たな…。

それとVR内のキャラデザインが(当たり前ですが)完全に欧米向けなので、そこはかなり好き嫌いが分かれる部分だと思います。あのキャラデザどうしても愛せない…。

こんな願いはまったく意味がないし筋違いなのもわかってはいるんですが、主人公にせよヒロインにせよ、もう少し日本っぽいかわいさがあったら…多分全然印象が違ったんじゃないかなと思います。段々欧米向けに変化していった「ソウルキャリバー」シリーズを観る気持ちだったよ…。

MVA

申し訳ないんですが主人公の子がねー。パッとしない感が強かったですね…だからいい、のかもしれないんですが。

ということで…消去法的にこの人かなぁ。

ベン・メンデルソーン(ノーラン・ソレント役)

IOI社長。本作の悪役です。

まあこの人はね、いろいろ悪役で観るよなって感じで安定感もあり。「ローグ・ワン」でもこんな感じだったような。

ヒロインのオリヴィア・クックはかわいかったんですが、でも一番かわいかったのはショウ役のキッズ(フィリップ・チャオ)でしょう。めっちゃかわいい子供でびっくり。

あとやっぱりサイモン・ペグはいいよねというお決まりのパターンです。

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