映画レビュー1069 『ホステージ:ペルー日本大使公邸占拠事件』

ホステージ:ペルー日本大使公邸占拠事件

Rehenes
監督

フェデリコ・レモス

公開

2017年12月4日 ペルー

上映時間

95分

製作国

ペルー

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

ホステージ:ペルー日本大使公邸占拠事件

観る価値はあるものの、ドキュメンタリーとしては至って普通。

6.0
「在ペルー日本大使公邸占拠事件」当事者たちの証言
  • 事件で実際に人質になった人たちを中心にインタビューしたドキュメンタリー
  • 構成としては極めてオーソドックス
  • ペルー国外における情報的な価値については微妙なところ

あらすじ

僕もこの事件は連日ニュースになっていたことぐらいはうっすらと覚えてはいるものの、詳細はまったく記憶になかったので勉強になる面はありましたが、しかしやはりドキュメンタリーであるが故によほどの興味と集中力がないとなかなか厳しいのも確かで、昼過ぎに観てしまったがために例によって眠くなったよというお話です。サーセン。

1996年12月17日、ペルーの首都リマにあった駐ペルー日本国大使公邸にて行われていた天皇誕生日祝賀レセプションに武装集団「トゥパク・アマル革命運動(MRTA)」が乱入、人質をとって立てこもる事件が発生。

その事件の当事者となった、当時の駐ペルー日本国特命全権大使・青木盛久をはじめ、閣僚や海軍の提督、現地で報道していたメディア関係者、MRTAとの交渉を担ったフアン・ルイス・シプリアーニ大司教などから当時の話をインタビューしたドキュメンタリーです。

事件自体に興味がないと厳しい

この事件が今に至っても人々の記憶に残る強烈なインパクトを残した理由の一つとしては、その長さにあるでしょう。僕もすっかり忘れていたんですが、なんと事件発生から解決まで4か月以上かかっています。

12月17日に事件が発生し、解決は4月22日。ペルーは南半球のため季節は日本と逆になるので、当時は夏真っ盛りでそれはそれは暑く、また劣悪な環境故に食事が腐ったり衛生状態も良くないなど、武器による直接的な命の危険とはまた別に精神的な厳しさが強かった事件のようです。

そもそも武装集団は(もちろんこの事件が肯定されるものではありませんが)ペルー国内における格差や貧困問題に起因した集団であるため、人質に対しては比較的穏やかに接していたそうで、なんなら一緒にサッカーをしたりしてある程度の関係性を築いていたという話もあり、どことなく「狼たちの午後」のようなものを感じました。

また当時のフジモリ大統領率いるペルー政権は支持率低下に悩まされていたらしく、そうした政治的背景が事件解決の手段に影響を与えていたと思われる事の顛末にはいろいろと示唆に富んだ面もあり、現代社会を観ていくフィルターとしても価値のある内容でしょう。

しかしそれとは別に、やはりドキュメンタリー映画としては至ってノーマルな「当時の関係者たちから状況を聞き取る」シーンを主体に構成された映画であるため、当該事件についての興味がそのまま映画に対する集中力につながってくるので、僕のように「ああそう言えばこんな事件あったし一応観てみるかな」ぐらいだと結構しんどいです。早い話が飽きちゃう。昼食後で眠くもなったし。

なのでよほどこの事件に興味があるか、またはドキュメンタリー鑑賞そのものを趣味にしているとかでもない限りは、勉強にはなるものの興味をそそられるような次元にまでは至らないような気がします。

これは当然ながらこの映画が悪いわけではなく、観る側のチョイスの問題です。

また日本国大使公邸が舞台ということから日本人的に興味を持った面もあったんですが、実際のところ事件を起こす対象が日本である必然性はあまりないように感じられ、結局はテロ組織のターゲットになる人物たちが一堂に会する機会が上記レセプションだったから、という理由しかないと思われるので、「日本人だから」観てみようかなというのもあまり意味はなく、そういう観点からの興味で鑑賞するのもオススメはしません。むしろペルーに行く、ペルーで暮らすような人が観るべき内容でしょう。

ドキュメンタリーの難しさ

おそらく現状国内で観るには例によってネトフリしかないと思うので、観るべき or 観ないでいいと言ったところで配信終了が来てしまっているため観られないのがなんとも残念ではありますが。

映画としての(面白い、興味をそそるという)評価はあまり高くできませんが、とは言えドキュメンタリーとは大体がそういうもので、逆に言えば僕が面白かった、良かったと言っているドキュメンタリーも僕個人の興味や趣味趣向に沿っているからそう感じられているだけで、見せ方の面ですごく良いドキュメンタリーというのはなかなか無いだけに、いつも以上にこの採点はアテにしない方が良いと思います。

また変に見せ方がうまい、面白そうに見えるドキュメンタリーというのもそれはそれで問題で、どこか嘘くさく見えてきちゃう面があるんですよね。どうしても性質上「事実を並べる」ことが最重要視されるジャンルだと思うので、となると変に演出や構成が巧みな映画は作為が感じられて危険でもあるわけです。

この辺りは本当に難しいというか、ドキュメンタリーを観るときだけはやっぱり少し構えを変えないといけない面があるなと改めて思いました。

そんなわけでこの事件に興味があるのであればぜひ、そうでないならスルーでいいかなと思います。

このシーンがイイ!

ドキュメンタリーなので該当無しで。

ココが○

至って普通、ということは特に作為もなくきちんと事実を積み重ねていると思うので、その実直な作りは間違いなく○でしょう。

ココが×

やっぱりどうしても地味だし話しているシーンばかりが続くので…タイミングを選ばないと僕のようにグーグー寝ます。

MVA

これもドキュメンタリーなので該当無しとします。

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