映画レビュー1264 『ローマの休日』

BS録画シリーズ最後の一本はようやく観ましたこの映画。

ちなみに一度熱量の高いレビューを書いたんですがなぜか消えてしまい、久しぶりに泣く泣く書き直してます。つらい。

ローマの休日

Roman Holiday
監督
脚本

ダルトン・トランボ
イアン・マクレラン・ハンター
ジョン・ダイトン

原案

ダルトン・トランボ

出演

グレゴリー・ペック
オードリー・ヘプバーン
エディ・アルバート
ハーコート・ウィリアムズ
マーガレット・ローリングス
パオロ・カルリーニ

音楽

ジョルジュ・オーリック

公開

1953年8月27日 アメリカ

上映時間

118分

製作国

アメリカ

視聴環境

BSプレミアム録画(TV)

ローマの休日

古き良き映画の良さ全部入り。

9.5
公務から逃げ出した隠密王女、大スクープ狙いの新聞記者と出会う
  • 身分を隠して羽根を伸ばしたい王女、気付いていない(フリの)新聞記者にエスコートを頼む
  • 王女のプライベートをスクープして大金ゲットを目論む新聞記者とカメラマン
  • 「これがあの!」と思わされる名所と名シーンがザクザク
  • 楽しくキュートでほろ苦い、エンタメの王道中の王道を行く大傑作

あらすじ

観る前は「普通の恋愛映画」なんだろうと思っていたので期待半分不安半分という感じでしたが、しかし観てみたらこれは確かに後世に残る大傑作だなと納得するしかなく大満足。「恋愛映画」ではなく「ラブコメ」な点も個人的にポイントが高いです。

ヨーロッパ某国の王位継承者であるアン王女(オードリー・ヘプバーン)は、王室外交的にヨーロッパ各国を表敬訪問。しかし最後の滞在地であるローマにて過酷なスケジュールについに爆発、ストレスマックスで当たり散らし周りを困惑させます。

しっかりお休みになられるように…と鎮静剤を射たれた王女ですが、直後に宿泊地であるお城(?)を脱走。夜のローマに繰り出します。

しかし鎮静剤が効いてきてしまい、道端でムニャムニャそのまま寝てしまいかねない始末。偶然通りがかった新聞記者のジョー・ブラッドレー(グレゴリー・ペック)は王女であることに気付かず、でも若い女性がこのまま道端で寝るのを見過ごすわけにもいかない…とホテルに帰そうとしますが彼女はなにせ王女なので帰るホテルもなく、会話になりません。

やむなく自室のボロアパートに連れ帰り、ソファで寝ろと言いつつベッドを占領されたりと翻弄されながら結局翌日昼頃まで二人揃って寝坊してしまいます。

しかしその時点で“この女性”の正体に気付いたジョーは、「ローマを観光したい」と言う彼女についていくことで“王女の秘密のプライベート”を(彼女に気付かれずに)独占取材、大スクープをゲットできると目論み、上司とも掛け合って大金の約束を取り付け、友人のカメラマン・アーヴィング(エディ・アルバート)にこっそり撮影をお願いしながら彼女をエスコートすることにします。

彼らの企みにまったく気付いていない王女は素直にローマの一日を満喫。それに付き合いつつスクープの準備を着々と進めていく男二人。

はてさて王女の“お忍びの一日”はどのような結末を迎えるんでしょうか。

なんと言ってもヘプバーン

ということでもはや説明不要の一本。知名度だけで言えばなんプロ1かもしれません。

それ故ネタバレだのなんだのあんまり気にするほどのこともないと思うのでまあそこそこ触れちゃいますけども、当然最終的にはアン王女とジョーがいい感じになるわけですよ。ラブコメですからね。

もちろん僕も観る前からそのことは当然知っていて観たんですが、まず「二人が一日デートする」話じゃないのに驚きました。カメラマンいるじゃん!

そもそもジョーはあらすじに書いた通り「王女のプライベートを記事にして大金をもらう」ことを目的に彼女のエスコート役を買って出ているわけで、それ故にアーヴィングも連れて行くし年の差もあってかアン王女のことは恋愛対象として見ていないフシがあります。

っていうか「王女」と気付いた時点で普通恋愛対象とは見なしませんよね、きっと。僕でもそうだと思います。「かわいい」含めその他諸々の性的な視点よりも好奇心とか貴重さが勝ってしまうというか。

異性同性関わらず、有名人と一日一緒にいる機会を得るのと同じような感覚になりそう。友達に自慢できるぜ、みたいな。要は恋愛云々よりミーハー心が勝る感じですね。

まあそもそも成り行きで連れ帰ってきて翌日「じゃあ一日一緒に観光を」ってなった時点で恋だのなんだの考えちゃったらそれはそれでちょっと突っ走りすぎというか童貞かよ的な話でもあるし。

しかしそれでもなんだかんだ一日一緒にいて、それなりにデートっぽい行動だったりトラブルだったり色々「共通の思い出」を作っていくうちに、お互い心が近付いていってしまうのもまた道理…!

まずその「自然な近付き過程」がすごく良いんですよ。あざとくないし、あからさまでもない。でもこんな一日を過ごせば普通は意識しちゃうよなぁ、っていう作りの上手さ。

またそう納得させるぐらいに双方の人物描写も素晴らしい。ジョーは(お金目当てとは言え)紳士的でスマート、グレゴリー・ペックらしい好人物だし、オードリー・ヘプバーンの“王女感”たるや言うまでもなく最高です。

でもまーなんと言ってもね。ヘプバーンですよやっぱり。

この映画をもって世界に出ていく形になる彼女ですが、いまだにこの人を超える「アン王女」を演じられる人はいないだろうと誰もが“惚れてしまう”最高のキャスティング。本当にキュートでお茶目で最高にかわいい!

この映画を撮る前にもすでに舞台の主演や映画の脇役で活躍してはいたようですが、「ハリウッド映画の主演」として大舞台に立つのはこれが初めてになるわけで、言ってみればまだ一部のローカルな女優だった彼女が世界の大スターとして羽ばたいていく“お披露目”としての初々しさと、「世間知らずの王女」という役柄が絶妙にマッチしているまさに歴史的なキャスティングだったことがよくわかります。

またただのお嬢様然とした王女ではなく、お転婆さが垣間見えるのも(ベタですが)すごく良くて、それによってまた彼女の魅力が爆発するという喜び。

ちなみに有名な「真実の口」のシーンで手が噛みちぎられた演技はグレゴリー・ペックのアドリブだそうですが、それに対して叫んだヘプバーンは素のリアクションだったそうです。このシーンだけでも彼女の魅力がよくわかるし、その初々しさはやっぱり彼女にとって飛躍の、最初の大作だったからこそのものだろうと思うので、話の出来だけでなくそういった環境的な要因も相まって最高の一本足り得たんでしょう。いやマジで。ええ仕事したでペック。

マジで面白い

まあこれ以上四の五の言ってる場合じゃないですよ。こんな傑作まだ観てないの? と今年のゴールデンウィークに地上波放送で初めて観た人たちよりさらに遅れて観た人間が今さらマウント取っちゃうぐらいに映画好きには言うまでもなく必見の一本です。

この手の歴史に名を残す名作は仮につまらなくても「面白かった」と言わないと立つ瀬がないぜ的な評価もされがちですが、恥ずかしげもなく正直に感想を書くことを信条としているなんプロとしては何一つ忖度すること無く全力で「マジで面白かった」と声を大にして言いたいと思います。本当に面白かった。

話の面白さに加えてヘプバーンの魅力が爆発している以上、傑作にならないはずがないのは自明です。もう嫌というほど納得しましたよ。なぜここまで愛される映画なのか、と。

ご存知の通りこの映画はモノクロなんですが、でも不思議と頭の中でシーンを思い出すと色がついているような、なぜかカラフルな映画として記憶に残っています。もう勝手に脳内で着色されちゃうぐらいに光り輝く映画というか。

それもやっぱりヘプバーンの魅力によるところが大きいし、同時にこの映画によって観光名所となったローマの各地を別の映像で観た記憶とつながっているのもあるんでしょう。

本当にまだ未見の方はぜひ観てほしいですね。僕はBSで録画したやつを観ましたが、何気に(2022年11月現在)Amazonプライムビデオにもありました。

古い名作を観たときによく言うことではありますが、やっぱり「映画が一番の娯楽」だった時代の強烈なサービス精神が宿った傑作だと思います。

今の時代には作れない何か、純度の高い結晶のような映画です。

このシーンがイイ!

ラストシーンすごく良かった…やっぱり古い映画はラストシーンが素晴らしいなと改めて思います。

その前の、とあるアイテムの使い方もコメディ的にすごく良かった。

ココが○

上に書いてない軽いポイントとしては、アン王女が「ショートカットにする」のがショート派としてもう最高でした。めっちゃかわいいしやっぱり世の中もっとショート派が(男女ともに)増えてほしいと70年近く前の映画を観て思う、っていうね。

ココが×

王道ではあるのでベタな面はある程度否めません。古い映画にそれを言うのも酷ではありますが、それでも当時から「安心して観られる」ぐらいには王道だったと思うし、意外性は期待しない方がいいでしょう。

逆に言えばそれでも良いんだから大したもんですよ。王道には王道の良さがある、と改めて感じました。

MVA

グレゴリー・ペックも相手役としてまったく不満のない良さがありましたが、とは言えこの映画は100人いたら50000人がこの人を選ぶでしょう。

オードリー・ヘプバーン(アン王女役)

公務のストレスから脱走した王女。“一日限りの一般人”です。

お転婆っぽさがありつつも、やっぱり王女らしいオーラがあるのがすごい。美しさはもちろんですが、なんと言っても姿勢の良さが大きい気がしますね。マジで猫背やめたいと思いました。個人的な話です。

かわいくて親しみやすく凛としている、これほど王女が似合う人はいるのかと。

もう観ながらずーっと「結局この人を超える女優さんは出てこないんだろうなー」と思いながら観ていました。それぐらいに素晴らしい。

全女性憧れの存在だろうし、何なら男性としても憧れです。ちんこ切ってアン王女になれるなら今すぐにでも切りますよ。麻酔お願いシマース。(最高の映画のレビューが最低の形で終了)

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