映画レビュー0193 『ロープ』
最近ちょっとサボり気味ではありますが、観たい映画は目白押しなのです。「コンテイジョン」もすごく観たいし、「マネーボール」も観たい。「ミッション:8ミニッツ」ももう一回観たいし、来月になれば「ミッション:インポッシブル」の最新作。
こんな同時期に劇場に行きたくなる映画が多いのは初めてかも、というぐらい劇場意欲が沸いているわけですが、当然そんなリッチでもないので控えてBS録画シリーズですよ、と。
ロープ
古さを感じさせないおもしろさ。
全編ワンシーンでリアルタイム進行という「実験的な試み」という触れ込みの映画。「実験的」というとどうしてもクソ映画に成り下がるイメージがあったために結構懸念してたんですが、なかなかどうしておもしろかったです。
何がよかった、ってまずその実験的な感じがなかったのがよかったですね。
テープチェンジのために背中とかを大写しにしてシーンをつなげたり…という若干違和感のあるシーンはでてきたものの、それが逆に「む、なんかの伏線か?」と。
「リアルタイム進行」という面は、「昼間の犯行」からラストは夜景になっているあたりちょっと怪しいかなという気はしますが、ただ「全編ワンシーン」という作りのおかげで何かをカットしてたり、裏で何かが起きてたり、というような類の問題は出てこないので、非常にわかりやすい話になっています。
ワンシチュエーションもの的に言えば、「十二人の怒れる男」や「12人の優しい日本人」を観ている感じにすごく似ていました。
物語が会話と小道具、心理戦だけで展開するので、置いて行かれる感じがないんですよね。それに事件自体も時代性を感じさせるものではないので、かなり古い映画でありながら今観てもまったく違和感がないのが○。
ただ、展開的に少し違和感があるというか、「ここは普通こうしないんじゃない?」みたいな面も若干見受けられたので、突き抜けた良さはなかったかな、という感じ。
でもまあ、80分という多忙な現代人に優しい尺の映画なので、軽くサスペンスでも観たいぜ、なんて時にはいいんじゃないかと思います。
このシーンがイイ!
ラストシーン、フィリップがピアノを弾くんですよね。ここはなかなか味わいがあってよかった。
ココが○
上に書いた通りですが、他に挙げるなら、ところどころで印象的なシーンがあって、それがサスペンスっぽい味わいにつながってていいな、と思いましたね。話してる人たちの声は拾ってるんだけど映像は別のものをずっと写してる、みたいな。
今となっては定番ではありますが、それでもやっぱり雰囲気を出すにはいい使い方だったような気がします。
ココが×
特にアラのようなものはなかったですねぇ。
ワンシチュエーションものだけに、前から書いてるような、ヒッチコック映画の「古さゆえの悲しい映像処理」みたいなものも無かったし。今まで観たヒッチコック映画の中では一番おもしろかったなぁ。
MVA
ジェームズ・ステュワートがいつもの感じじゃなくてそこがまたよかったんですが、この映画はきっとこの人の映画でしょう。
ファーリー・グレンジャー(フィリップ・モーガン役)
次第に正気を失っていく共犯者。
そもそもこれだけメンタル弱いなら殺人なんて犯すなよ、と思いますが、まあその辺を突っ込むのは御法度ってやつでしょう。なんというか、怪しい二流男っぽさがお上手でした。